美しくどこか懐かしい、失おうとしている大切な風景とそこに住む人たち。
色とりどりに描かれた映像と奏でられる音楽が交錯する特集上映が開催。
映像作家・坪川拓史は、かつて串田和美、吉田日出子らが率いる劇団「オンシアター自由劇場」に所属。その頃よりアコーディオン演奏者としても活動し、現在、映像と音楽の二方向で活躍を果たしている。彼が紡ぐ映画は失われようとしている場所や芸事、そこに集う人たちの心の機微が描かれ、上質な音楽が世界観を盛り上げる。
このたび、4月6日より12日まで、新宿K’s cinemaにて坪川拓史監督全作品が一挙上映されることが決定。
長編映画『美式天然』、『アリア』、『ハーメルン』、『モルエラニの霧の中』、短編映画『十二月の三輪車』、『日本人アンナ』を上映する。ほか、京都の出町座にて近日上映も決定している。
長編一作目の『美式天然』(うつくしきてんねん)は、代表作「上海バンスキング」を筆頭に数々の舞台・映画・テレビドラマの出演作品で評価されている吉田日出子と舞台俳優や声優(ムーミンパパなど)として活躍していた高木均が主演を務める。長万部町の映画館「長万部劇場」の取り壊しを前に、その姿を撮影するために制作を開始。9年の歳月をかけ完成した作品。伊・トリノ国際映画祭グランプリおよび観客賞二冠受賞。長編第二作目の『アリア』は、流山児祥主催の演劇団で看板俳優を背負い、主に舞台で活躍する塩野谷正幸が主演。『美式天然』と共に東京の劇場にて初公開となる。
2013年公開作品『ハーメルン』は、現在放送中のTBSドラマ「さよならマエストロ」が好評の西島秀俊が主演、倍賞千恵子や坂本長利ら重鎮俳優が出演。また、2021年公開作品『モルエラニの霧の中』は、室蘭市の美しい風景とともに失われていく街の記憶をめぐる物語を七話連作で描かれた作品で、大杉漣、大塚寧々、香川京子らが出演。『美式天然』以来、全ての作品に出演する小松政夫の名演にも注目してほしい。短編映画の上映時には、劇団「オンシアター自由劇場」出身で坪川監督と共に結成したバンド くものすカルテットの片岡正二郎による活弁やバンドの演奏も実施予定。
上映決定を記念して、坪川監督よりコメントが到着しました。