2022年12月5日に木下惠介監督が生誕110年を迎えます。
喜劇、人情劇、恋愛劇、家庭劇、社会派作品など多彩なジャンルにおいて、時には抒情的に、ある時は革新的な演出により作品を生み出してきました。その全ての作品に通底するのは<本当の人間>の姿を描くということ……。
つまりは「ヒューマニズム」こそが、木下作品の世界を貫く最も重要な要素です。
より複雑化したようにみえる現代において、「なぜ」「わたし/あなたが」木下惠介の映画を「いま」必要としているのかということを、110周年を機会に再検証します。
このたび、東京・新文芸坐にて「生誕110年 信念の人・木下惠介」が開催されます。生涯に残した49本の映画作品のうち、厳選された10本を上映。時代の空気を敏感に捉え、様々な撮影手法に挑戦し、幅広いテーマで映画を撮り続けて日本映画をけん引し続けた、“早すぎた天才”木下惠介の世界に触れる企画です。
特集の初日であり、木下監督の生誕日にあたる12/5(月)には、映画評論家の秦早穂子さんと日本経済新聞の古賀重樹記者によるトークイベントで、「いま木下映画を観るべき理由」に鋭く迫ります。
◆上映作品(全10本):★=デジタル修復版の上映
『カルメン故郷に帰る』★(1951年/高峰秀子、小林トシ子、井川邦子、佐野周二、佐田啓二、笠智衆)
『日本の悲劇』(1953年/望月優子、桂木洋子、田浦正巳、佐田啓二、高橋貞二、高杉早苗)
『二十四の瞳』★ (1954年/高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高廣、笠智衆)
『喜びも悲しみも幾歳月』(1957年/高峰秀子、佐田啓二、田村高廣、中村嘉葎雄、有沢正子、桂木洋子)
『楢山節考』★ (1958年/田中絹代、高橋貞二、望月優子、市川團子(二代目市川猿翁)、宮口精二)
『惜春鳥』(1959年/津川雅彦、石濱朗、川津祐介、小坂一也、山本豊三、有馬稲子、佐田啓二)
『春の夢』(1960年/岡田茉莉子、久我美子、小澤栄太郎、荒木道子、東山千栄子、笠智衆)
『永遠の人』(1961年/高峰秀子、佐田啓二、仲代達矢、乙羽信子、石濱朗、田村正和)
『今年の恋』(1962年/岡田茉莉子、吉田輝雄、田村正和、石川竜二、峯京子、三木のり平)
『死闘の伝説』(1963年/岩下志麻、加賀まり子、加藤剛、田中絹代、加藤嘉、菅原文太)
◆トークイベント:12/5(月)13:30~14:15
秦早穂子(映画批評家) × 古賀重樹