柄本佑監督『ippo』が、2023 年 1 月 7 日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国 順次公開することが決定致しました。公開決定にあわせて、柄本監督のコメントが解禁となりました。
映画が好きで、小学校の卒業文集に将来の夢「映画監督」と書きました。文中にはフェリーニの『道』が世界一面白い映画だと書き、文末には「誰もが感動して泣ける映画が撮りたいです」と、なんともアホな事を明言してました。そんな彼が映画を撮りました。タイトルは『ippo』といいます。この映画を実現に導いて下さった関係者の方々に本当に感謝です。そしてまだまだ撮りたいものが沢山あるので関わったからにはもう逃がしませんよ、とだけお伝えしておきます。では「誰もが感動して泣ける映画」をどうぞ。
―柄本佑
**劇作家・演出家の加藤一浩による3本の演劇戯曲を原作に、
柄本佑が「映画」の息吹を与えた短編連作集―**
近年、映画にドラマに、ますます活躍の幅を広げる俳優の柄本佑。
2021 年には「アクターズ・ショート・フィルム」(WOWOW)にも参加し、短編『夜明け』(主演:森山直太朗)を監督。実はそれ以前からすでに何本もの短編を自主製作で監督してきました。
『ippo』は、そんな柄本佑が 2017 年から 2022 年のあいだに撮った 3 本の短編をまとめた短編集です。
そして 3 本すべて が、ひとりの作家による演劇戯曲を原作としています。
劇団「東京乾電池」に所属し、柄本の旧知の仲であり、ユニット「曖昧なカンパニ ー」も主宰する劇作家・演出家の加藤一浩です。『ippo』の3作品は、原作戯曲を書いた加藤と柄本監督のふたりによるコラボレーションの積み重ねによって生まれた短編連作集です。ユーモアと知性に溢れた加藤の戯曲に、柄本佑が「映画」という新たな息吹を与えました。
そしてこの短編 3 本すべてが、男ふたりの物語です。演じるのは、これまた素敵な俳優たち。
『ムーンライト下落合』で久々に再会する友人ふたりに加瀬亮と宇野祥平。
『約束』の兄弟に渋川清彦と柄本時生。
『フランスにいる』の画家とそのモデルに加藤一浩と高良健吾。
スタッフには、柄本佑が主演を務めた『きみの鳥はうたえる』(18)の四宮秀俊が、全編撮影を担当。ほかにも映画監督の三宅 唱や俳優、映画監督の森岡龍らが助監督で参加している作品もあります。 俳優もスタッフも、柄本が一緒に映画を作りたい人々に声をかけ、小さなチームで丁寧に撮りあげた 3 本の短編たち。
真面目で不思議、ユーモラスでセンチメンタル、そしてときに楽しくも不条理なその世界を、ぜひ味わってみてください。
各作品紹介
『ムーンライト下落合』
2017 年/30 分
肌寒さを感じる、ある春の深夜。東京・下落合にある長田(加瀬亮)のアパートに、友人の三上(宇野祥平)が泊まりにきている。久しぶりの再会だ。眠れぬ夜を過ごすふたりは、互いのいまを探り合うように会話を続ける。
撮影:四宮秀俊|照明応援:竹本勝幸 蟻正恭子|録音:魚野智生|
整音・効果:黄永昌|助監督:三宅唱 森岡龍|
製作:柄本佑 松井宏|制作主任:佛木雅彦|タイトルデザイン:可児優
出演:加瀬亮 宇野祥平
『約束』
2022 年/27 分
梅雨どきのある日。昔ながらの団地の一角の広場に、ふたりの兄弟がいる。
スーツ姿の兄(渋川清彦)と作業着姿の弟(柄本時生)。
ふたりはどうやらお金に困っている様子なのだが......。
撮影:四宮秀俊|音響:黄永昌|助監督:滝野弘仁|制作主任:飯塚 香織|
撮影助手:村上拓也|制作助手:前田明|制作応援:鈴木徳至 橋本大駕|
製作:柄本佑 松井宏|タイトルデザイン:可児優
出演:渋川清彦 柄本時生 西村順乃介 西村廉乃介
『フランスにいる』
2019年/17分
フランスの、ある田舎町。
一人旅をする日本人の男(高良健吾)と、同じく日本人の画家(加藤一浩)。
画家はいままさに、自分のアトリエで男の肖像画を描こうとしている。
全編 iPhoneで撮影された 1 本。
撮影:四宮秀俊|音響:黄永昌|助監督:登り山智志|
監督助手:小林 瑛美|制作主任:鈴村悠|制作応援:細野牧郎 宮﨑輝|
車両:岩井克人 吉田大樹|製作:柄本佑 松井宏
出演:高良健吾 加藤一浩
■プロフィール
監督 柄本佑 えもと・たすく
1986 年東京都生まれ。映画『美しい夏キリシマ』(03/黒木和雄監督)で映画主演デビュー。2018 年『きみの鳥はうたえる』(三 宅唱監督)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(冨永昌敬監督)、『ポルトの恋人たち -時の記憶-』(舩橋淳監督)などにより、キ ネマ旬報ベスト・テン最優秀主演男優賞、毎日映画コンクール最優秀男優主演賞などを受賞。その他、主な出演作に『GONIN サー ガ』(15/石井隆監督)、『火口のふたり』(19/荒井晴彦監督)、『アルキメデスの大戦』(19/山崎貴監督)、『痛くない死に 方』(21/高橋伴明監督)、『心の傷を癒すということ-劇場版-』(21)、『殺すな』(22/井上昭監督)、『ハケンアニメ!』 (22/吉野耕平監督)、「空白を満たしなさい」(22/NHK)、「初恋の悪魔」(22/NTV)など。また監督作品として第 29 回あ きた十文字映画祭でお披露目した『帰郷★プレスリー』(09)や『夜明け』(『アクターズ・ショート・フィルム』(21/WOWOW)など がある。公開待機作として『カラダ探し』(22/羽住英一郎監督)、『シン・仮面ライダー』(23/庵野秀明監督)など。
脚本 加藤一浩 かとう・かずひろ
1972 年愛知県生まれ。早稲田大学中退。1997 年、劇団東京乾電池に入団。以後、劇作家・演出家として活動中。劇団主催 のワークショップや所属事務所であるノックアウト主催の俳優研究所「アクターズ・ラボ」にて専任講師、また 2011 年より城西国際大学 メディア学部にて兼任講師も務めている。2008 年、戯曲作品『黙読』が第 53 回岸田國士戯曲賞の最終選考にノミネート。ほか主 な戯曲作品に『イリーニャの兄弟』、『コーヒー入門』、『たぶん散歩中』(特別編集「せりふの時代 2021」収録)、など。また短編オムニ バス映画『風雲』(10)の 1 本である『アジアンテイスト』を監督。自身が主催する「曖昧なカンパニー」では多様な表現が融合した、ジ ャンルの曖昧な舞台作品を上演している。
『ippo』2022年/76分(総尺)/カラー/1.85
監督・脚色・編集:柄本佑
脚本:加藤一浩
エンディング曲:山口ともこ「知らない人の足音だ」
製作:がらにぽん Pigdom
配給・宣伝:ブライトホース・フィルム