1970年初頭より、おかっぱの前髪に印象的なアイラインの目元で、トップ・モデルとして一世を風靡、日本女性の新たな美のアイコンとなった山口小夜子。
自らの表現をモデルという枠にとらわれず、パフォーマー、クリエイター、唯一無二の表現者として時代の先端を最後まで走り続けました。

画像: 映画『氷の花火』

映画『氷の花火』

そして今年8月、2015年に東京都現代美術館にて開催された展覧会『山口小夜子 未来を着る人』の公式図録が、没後15年を機に、待望の復刊となり、その記念企画として代官山 蔦屋書店にて『山口小夜子 未来を着る人』(河出書房新社)復刊記念フェアが8月11日(木) - 08月31日(水)まで開催されております。
また、同じく代官山シアターギルドにて山口小夜子自身の生前の活躍を追った松本貴子監督のドキュメンタリー映画『氷の花火』が、8月14日より31日までの上映、さらに同期間中に山口小夜子がSUGIZO、柴咲コウと出演する二階健監督『Soundtrack』もカップリングで同時期に上映されます。

画像: 没後15年-トップモデルとしてのみならず、パフォーマー、クリエイター、唯一無二の表現者として時代の先端を走り続けた山口小夜子!代官山各所でイベント開催!特別寄稿も到着!

今回、山口小夜子さんとは、資生堂リバイタルのスタイリストの頃から公私共に長くお付き合いをしており、シアターギルドの企画サポートもしている金上みはるさんの特別寄稿がシネフィルに届きました。

特別寄稿

「小夜子さん」
金上みはる

小夜子さんが亡くなってからもう、十五年も経ってしまった。

この十五年間、実にさまざまな出来事が起きた。小夜子さんが生きていたら、いつもの長電話で、あんなことやこんなことを色々とお喋りしたのになぁといつも思う。

今だったらコロナについて。
健康オタクだった小夜子さんは、いつもサプリメントやミネラルウォーターを特別に取り寄せて、私に勧めてくれた。
きっとコロナ対策の各種ビタミン剤や食品情報を教え合ったりしただろう。
マスクでもオシャレをして楽しんだり、小夜子さんのブランドのマスクなんかも作ったりしてたかもしれない

小夜子さんが生きていた頃はまだ、ミクシィがSNSの全盛期だったけれど、今やインスタグラムや、Facebook、YouTubeにブログなど、様々な手段を使って手軽に、あらゆる表現を発信出来るようになった。
新しもの好きの小夜子さんのことだから、ユーチューバーとかになっていたかもしれないと想像すると楽しくなる。

小夜子さんとは霊能者といわれるスピリチュアル系の方たちとも会ったりしていた。大抵、小夜子さんがどこからか見つけて来て、「ミミちゃんも一緒について来て」って誘われた。奈良の天河神社へも一緒に旅行に行った。楽しい思い出のひとつ。
ここ数年のスピリチュアルブームについて、星占いやら宇宙のパワーなど、お互いに話題は尽きなかったことだろう。

20代の頃から足かけ30年のお付き合いだった。昔の思い出は一杯あるけれど、今生きていたらこんなこともあんなこともと、一緒に遊ぶことばかり思い付いてしまう。
小夜子さんのクリエイティヴィティーは、今の時代更に可能性が拡がって、面白く楽しく沢山創ることが出来たのに、と残念に思う。

今でもたまに夢に出てくるけれど、やっぱりいつもの長電話みたいに、眠くなるまでとりとめもなくたわいのない話を、あの人の事とか最新の情報について、あの独特なスタッカートの効いた話し方で、お喋りしたいなぁと思う今日この頃。

十五年前のあの夏の日より更に暑い二〇二二年の命日に寄せて。

【プロフィール】
山口 小夜子(やまぐち さよこ)
横浜市出身。杉野ドレスメーカー女学院卒業後1972年にファッションモデルとしてパリ、NYコレクションを中心に時代を象徴するデザイナーの数多くのコレクションに出演。1973年資生堂の専属モデルとなり、アメリカ・ニューズウィーク誌より「世界の4人のトップモデル」のひとりに選ばれる。深遠な東洋の神秘を代表するミューズとして脚光を浴び、1977年には「SAYOKOマネキン」が世界中のショーウィンドを飾る。同時に古荘妙子、天児牛大、チ・ソンジャ、勅使川原三郎とのコラボレートを通じてダンスパフォーマンスの世界に進出、ロンドン・オールドヴィック劇場、NY・ヴァム等数々の劇場に立つ。寺山修司、佐藤信等の演劇作品にも出演。1989年NHK音楽ファンタジー「カルメン」(佐藤信演出)は、国際エミー賞を受賞。1998年フランス リヨン国立歌劇場世界初演、オペラ「三人姉妹」(天児牛大演出)で衣裳・ヘアメイクデザインを担当し、フランス批評家協会最優秀作品賞を受賞するなど、オペラや舞台等の衣装デザインも手がける。2001年ロンドンのTHEATRE ROYAL DRURY LANEにて「AMATERASU」主演。日本的な独自の個性の不思議さを、世界基準の美しさに転化させるアーティストとして活躍する。同年、神戸ファッション美術館と東京スパイラルホールにて世界のクリエーター50名による小夜子の個性を服に表現した小夜子マネキン50体を展示する「小夜子展」を開催。その後、鈴木清順監督「ピストルオペラ」、二階健監督「Soundtrack」、木村威夫監督「馬頭琴夜想曲」などの映画に出演するほか、言葉を用いたパフォーマンスの構成・演出・出演を行い、映像作家や音楽家とのコラボレーション作品を次々と制作。またSAYOKOブランドのプロデュース、雑誌の連載を企画するなど、クリエイションの場は多岐に渡った。自らを「ファッションモデル」ではなく「ウェアリスト(着る人)」と名乗る独特の美意識で、ファッションとダンスパフォーマンスの融合を目指し、特に次世代を担う若いアーティストとのコラボレーションを積極的に行った。

【プロフィール】
特別寄稿 金上みはる
1975年、美学校・最終美術思考卒業。1976年~1983年、株式会社資生堂の広告スタイリストとして活動。1984年~1986年、仏Condenast社「Paris Vogue Japon」編集者、2001年~2003年、株式会社デジタルメディアファクトリーの映像ディレクターを経て、2004年よりフリーのディレクターとして、映像企画制作、展覧会を多数企画している。
2010年~2016年3月は音楽実験室「新世界」ブッキングディレクターを務める。
代表作に、浅野忠信監督 映画「トーリ」(2004年)企画制作(株式会社双日)、PARCO40周年記念「TOUCH WOD 」展(2009年) 企画制作(社団法人more trees、株式会社ライトニング)、第15回メディア芸術祭(2011年~2012年)事務局など。
2017年 佐藤直樹個展 「秘境の東京、そこで生えている」の展覧会ディレクター。
現在、代官山シアターギルドの企画サポートアドバイザーなど

『山口小夜子 未来を着る人』復刊記念フェア
詳細は下記より
8月11日(木) - 08月31日(水)まで開催

映画『氷の花火』&『Soundtrack』
上映スケジュール詳細は下記より
8月14日(日) - 08月31日(水)まで開催

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