広瀬すずと松坂桃李をダブル主演に迎えた李相日監督最新映画『流浪(ルビ:るろう)の月』が、大ヒット全国公開中です。
実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳の時に、誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かない さらさ)を広瀬が、その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえき ふみ)を松坂が演じる。また、事件から15年経った現在の更紗の恋人・亮を横浜流星が、癒えない心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じ、加えて、趣里、三浦貴大、白鳥玉季(子役)、増田光桜(子役)、内田也哉子、柄本明らが共演に名を連ねている。
2人の限りなく稀有な関係性をスクリーンに描き出すのは、デビュー以来そのエモーショナルで骨太な作風で観客の心を鷲掴みにしてきた『フラガール』『悪人』『怒り』などの李相日(リ・サンイル)監督。また、『パラサイト 半地下の家族』『バーニング 劇場版』『哭声/コクソン』『母なる証明』など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきた撮影監督・ホン・ギョンピョ、『キル・ビル Vol.1』『ヘイトフル・エイト』『フラガール』『悪人』『三度目の殺人』など、世界を股にかけて活躍する美術・種田陽平ら、国境を越えた才能が集結した。
この度、大ヒット全国公開中の本作の主演をつとめた広瀬すず(松坂桃李とW主演)と李相日監督を迎えたスペシャルトークイベントが行われました。公開から間もなく1カ月が経つ現在でもSNS上では感想の声が日々発信されていますが、今回はそんな本作を見たばかりの観客にむけて、ここでしか聞けないトークを展開。会場に詰め掛けた鑑賞直後の観客に向けて、今だから言える撮影時の話など様々な話題が飛び出し、笑いと拍手に包まれたイベントとなりました。
■日時:6月15日(水)21:10~21:40
■場所:新宿バルト9 シアター6
(東京都新宿区新宿3-1-26 新宿 三丁目イーストビル)
■登壇:広瀬すず(23)李相日監督(48)
<6月15日(水)開催『流浪の月』スペシャルトークイベントオフィシャルレポート>
2020年本屋大賞を受賞した作家・凪良ゆうによる傑作小説を原作にした映画『流浪の月』スペシャルトークイベントが行われ、広瀬すずと李相日監督が参加した。
この日のイベントは司会者を立てることなく李が広瀬に質問するスタイルで展開。10歳の時に誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗を演じた広瀬は、更紗の現在の恋人・亮役の横浜流星との距離感について、お互い人見知りゆえに「距離は縮まるけれど知ることができない感じがあった」としながらも「撮影しながら触れ合う瞬間に一気に何も隠すことも遠慮することもなくなった。肌と肌が触れ合う瞬間に私自身が信用できるようになったというか、飛び込めるというか。それを感じたからこそ余計に信頼できたのかもしれません」と打ち明けた。
また李から物語後半で距離が近づいていく松坂演じる文との関係について「文(松坂)とのシーンでは『桃李さんが遠い』と悩んでいたよね?」と明かされると、広瀬は「亮君との距離が近くなる中で、文=桃李さんを想うことに対して距離ができてしまい、気持ちの切り替えが難しかった」と告白。更紗と文の関係性はその複雑さゆえに、広瀬が「桃李さんとは撮影現場では朝の挨拶と出る時の挨拶以外は喋っていなくて。スタンバイも別々のところにいました」と打ち明けると、李も「文と更紗の関係に気を使っていたのかも。劇中で会話を交わすまでの緊張感も必要だからね」と理解を示していた。
話題はクランクアップの日に撮影した重要な“寝顔”シーンについて。広瀬は「色んなものを含めた2カ月半をあの文の寝顔で思い出しました。こんなに誰もいない場所で寝顔を見るという…寝てるときって自分でコントロールできないじゃないですか。そんな姿を見てるということで『信用してもらっている人間としての喜び』を私自身が感じたのを覚えています」と濃い撮影期間を振り返ると李からは「クランクアップだ!せいせいした!というよりは『悔しい』という感情を残してた気がするんだけど?」と鋭い指摘。それに対し広瀬は「間違いなく『終わったー!』というのはありました。『怒り』の時は一生終わらないくらいの気持ちに思っていたので、きっと今回も同じ感覚になるだろうと思っていました。ですが今回は「今だ!」と冷静に実感したシーンもあったので、もしかしたらそうじゃないシーンもあったのかな?と思うと一気にスッキリしたというよりは不安の方が大きかったです」とクランクアップ時も手探りなまま不安な気持ちを感じたことを告白。さらに「桃李さんや流星君のお芝居を目の前で見てたからこその焦りと不安をあんなに感じたのは初めてなんじゃないかと思うくらい感じましたね。最後のシーンは私自身のメンタルがズタボロな感じでした」と共演者たちの熱演を目の当たりにし、より不安を感じたことを明かすと、李は「広瀬すずは技術的に上手にやる人とはちょっと違う感じがする。自分の感情と何かが繋がった時に波を起こす人だと思うので、そういったことが今回見れた気がします。自信持ってください!」と広瀬を激励。広瀬も「このタイミングで李組に参加出来て本当に良かったです。ほかのキャストの方が命を削りながらやっているような姿が刺激的でした」と2度目のタッグで感じた成長を振り返った。
また最初の段階で4時間あったという本作のカットされたシーンの話題になると、更紗と文が電車に乗って旅立っていくという幸せを予感させる幻のラストシーンの存在が明らかに。広瀬は「完成した本編を観て『ラストシーンどこいった!?』とビックリ。『えー!』みたいな」とまさかの未使用に驚いたと言うも、李は「あれがあると満たされてしまっているというか、余韻がなかった。二人の見たい姿を見せて終わってしまった気がして。その後の二人の姿はお客さんが自分の映像として見てほしいシーンだったと撮影後に気づきました。電車を借りて撮影するのは大変なのにね!」と苦笑いしながら解説し「ソフト化の際には特典映像として入れますので」と予告して広瀬と観客を喜ばせていた。
最後は6月19日に24歳の誕生日を迎える広瀬に、李からサプライズで花束贈呈。李の「誕生日おめでとう!」の発声に「え?李さんにお祝いしてもらうなんて嬉しい!」と喜色満面の広瀬。『流浪の月』への参加について改めて「自分の中で大きな何かが生まれて、頑張ろう!と思えた」とし「24歳になっても頑張りたいというか、李監督ともっともっとご一緒できるように努力をしていかなければいけないなとクランクアップからずっと思っています」と未来への抱負を述べていた。
李とじっくりと語り合ったこの日のトークイベントに広瀬は「こんな斬新なトークイベントは初めて!」と嬉しそうで「私もまだラストシーンのワンカットを見られていないので、ソフト化の際の特典が楽しみです!」と期待。すると李は前作『怒り』に続いてのタッグとなった広瀬に「二度あることは三度…ありますか!?」と聞くと、広瀬は驚いて肩をすくめながらも「え?いいんですか!?…という気持ちが大きいですが…ぜひ!」と快諾して客席から拍手喝采を浴びていた。
映画『流浪の月』は大ヒット全国公開中。
『流浪の月』本予告
原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)
出演:広瀬すず 松坂桃李
横浜流星 多部未華子 / 趣里 三浦貴大 白鳥玉季 増田光桜 内田也哉子 / 柄本明
監督・脚本:李相日
撮影監督:ホン・ギョンピョ
音楽:原摩利彦
製作総指揮:宇野康秀
製作エグゼクティブ:依田巽(巽の上は「巳巳」)
製作:森田篤 プロデューサー:朴木浩美 エグゼクティブプロデューサー:小竹里美 髙橋尚子 堀尾星矢 ラインプロデューサー:山本礼二 美術:種田陽平 北川深幸 照明:中村裕樹 録音:白取貢 音響効果:柴崎憲治 編集:今井剛 装飾:西尾共未 高畠一郎 キャスティングディレクター:元川益暢 衣裳デザイン:小川久美子 ヘアメイク:豊川京子 制作担当:多賀典彬 助監督:竹田正明 韓国コーディネーター:鄭信英 音楽プロデューサー:杉田寿宏 宣伝プロデューサー:依田苗子 新田晶子
製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)
製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS
配給:ギャガ
(C) 2022「流浪の月」製作委員会