蔦哲一朗監督の劇場用長編映画『黒の牛』の撮影が5月11日より開始致しました。
『祖谷物語-おくのひと-』(2013)が国内外で高い評価を受けた蔦哲一朗の新作劇映画『黒の牛』が
5月11日、徳島県三好市で撮影を開始したことがリリースされました。
作品は、禅宗の教えを十枚の絵で表現した「十牛図」にヒントを得た蔦自身のオリジナル脚本の映画化で、山間部に暮らす一人の男と一頭の牛とが過ごす日々をモノクロ映像で描く。撮影は35mmフィルムで行われ、一部のシーンは長編映画では日本初となる65mmフィルムで撮影される予定である。
主役を演じるのはヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞した『愛情萬歳』(1994)等で知られる台湾の巨匠・蔡明亮監督の全作品に出演し、同監督作品『郊遊<ピクニック>』(2013)の演技により台北金馬奨主演男優賞を受賞した名優・李康生(リー・カンション)。映画の中で重要な役を担う禅僧を世界的に高名な舞踊家で、『たそがれ清兵衛』(2002)以降、多くの映画で活躍する田中泯が演じる。撮影は『祖谷物語-おくのひと-』に続き青木穣が担当。美術を部谷京子、音楽を坂本龍一が担当することも決定している。
蔦哲一朗監督のコメント
コメント
「これは、人と牛が、大地とともに心を耕し、仏教的な“無”に至る映画です。今回、李 康生さんの相手役となるのは牛です。言語を越えて、肉体で牛と語りあい、一つになっていく姿をフィルムでおさめられるのが大変楽しみでなりません。また、台湾の皆さんと一緒に切磋琢磨しながら映画を作れることが、何より嬉しいです。閉鎖的で画一 的な思考で作りがちな日本映画ではなく、自由な発想を受け入れてくれる国際共同製作という体制をとてもありがたく思っています」
本作は日本、台湾、アメリカの国際共同製作作品。
撮影は徳島県三好市を中心とする四国各地で6月中旬まで行われ、その後台北市での撮影も予定されている。完成は2023年3月の予定。日本での劇場公開は2023年秋以降を予定している。
なお、本作は、TAICCA、台北フィルムコミッション、三好市、文化庁(国際共同製作映画支援事業)、J-LOD(経済産業省)の製作助成を得ている。