4/23(土)より新宿K‘s cinemaにて開催されるチェコ・アニメーションの巨匠・カレル・ゼマン特集「チェコ・ファンタジー・ゼマン!」の予告編を解禁致します。
カレル・ゼマン(1910-1989)は、人形アニメーションや絵本で人気の高いイジー・トゥルンカ(1912-1969)と並ぶチェコ・アニメーションの創設者のひとり。ゼマンは第二次世界大戦中、チェコ・アニメーションの発祥地ズリーンを拠点にアニメーションの制作を開始した。チェコの伝統でもある人形劇への愛着を強く持つ一方で、切り紙アニメに人形アニメ、実写とアニメの合成など様々なスタイルを駆使した斬新な作品を多く生み出した。ゼマンの描くその世界は、少年時代にのめり込んだジュール・ヴェルヌの小説のように、潜水艦や飛行船、恐竜や架空の動物など魅惑的な乗り物や動物が次々に登場するSF冒険小説を思わせる作風が特徴的だ。
今回、そのジュール・ヴェルヌ原作の『悪魔の発明』、『盗まれた飛行船』、加えてG ・ビュルガーの原作をアニメと実写の合成で作り上げたゼマンのファンタジー大作『ほら男爵の冒険』ほか全10作品と短編『プロコクウ氏 映画制作の巻』を上映。ゼマン初期から晩年に至る詩情とロマン溢れる代表作が一挙に見ることができる貴重な機会となる。
この度、解禁された予告編では、『悪魔の発明』『盗まれた飛行船』『クラバート』を中心に構成されている。アニメと実写が融合された万華鏡のような作品の数々の片りんを垣間見ることができる。これら数々の作品群はこれまでに多くのファンを魅了し、スピルバーグ、宮崎駿、ルーカス、P・ジャクソンなどの監督たちにも多大な影響を与えた。
CGが発達し、リアルな映像表現が可能になった現代だが、改めてゼマンの作品を観ることで、少年のような遊び心と、溢れ出る想像力の豊かさに、今なお魅了されるに違い無い。
是非、この機会をお見逃し無いようにご覧ください。
「チェコ・ファンタジー・ゼマン!」予告編
◆作品紹介
『鳥の島の財宝』(1952年/73分/カラー)
©Czech National Film Archive
小さな美しい島では皆が平和に暮らしていた。ある日突然、島に黄金がもたらされたことから人々の暮らしぶりが一変する。古いペルシャの寓話を元にして作られた牧歌的人形アニメ。
ペルシャ細密画のような作風で描いた”大人の絵本”のようなゼマン初の長編作。
『前世紀探検』(1955年/93分/カラー)
©Muzeum Karla Zemana
ボートに乗った4人の少年が“時間の川”を上りながら古代世界を冒険していく。
ブロントザウルス、ティラノザウルスなどの恐竜との遭遇、そして未知の生きものの発見。『ジュラシック・パーク』のはるか先駆ともいうべき恐竜映画史に残るSFトリック・フィルムの傑作。
『悪魔の発明』(1958年/82分/B&W)
©Muzeum Karla Zemana
科学者ロック教授とその助手アールは新型爆弾の開発に没頭していたが、完成寸前で何者かに拉致されてしまった。「海底二万マイル」などのSF小説の祖として名高いジュール・ヴェルヌの原作を映画化したゼマンの代表的特撮冒険SF映画。
『ほら男爵の冒険』(1961年/85分/カラー)
©Muzeum Karla Zemana
宇宙飛行士のトーニークは人類初の月面着陸に成功した、と思ったが降り立った月面にはすでに何者かの足跡が残されていた…。G・ビュルガーの原作から飛び出した“ほら男爵”の奇想天外な大冒険譚が、ゼマンのアニメと実写の見事な合成で最後までノンストップで綴られていくファンタジー大作。
『狂気のクロニクル』(1964年/82分/B&W)
©Czech National Film Archive
17世紀のドイツを舞台に、ヨーロッパ諸国を30年にわたって巻き込んだ宗教戦争を背景に、主人公ピーターを通して戦争の愚かさをゼマン流に描いた。
ゼマンは劇中に登場するキュートな天使をはじめ、重いテーマをシュールにユーモラスな遊び心を織り交ぜて作り上げた。
『盗まれた飛行船』(1966年/90分/カラー)
©Czech National Film Archive
19世紀末のベル・エポックの時代。
飛行船が発明され人々は興奮して大騒ぎ。その最中に5人の少年たちが飛行船を乗っ取り大空に飛び出した…。ジュール・ヴェルヌの代表作「神秘島」の特撮映画化で少年たちの奇想天外な冒険を、実写と書き割りで描き出した。『天空の城ラピュタ』を先取りした傑作ファンタジー。
『彗星に乗って』(1970年/74分/カラー)
©Czech National Film Archive
1868年のフランス領アルジェリア。
フランス軍の若き中尉は町で見かけた絵葉書の美女に一目惚れするが、その時、謎の彗星が地球に大接近してくる。
その彗星は全盛期の恐竜や龍が棲む惑星だった…。『盗まれた飛行船』に続くジュール・ヴェルヌ原作の映画化。鮮やかな色彩に圧倒されるゼマン・アドベンチャー
『シンドバッドの冒険』(1974年/94分/カラー)
© KRÁTKÝ FILM PRAHA
アランビアンナイトの主人公のひとり、船乗りシンドバッドは大海を旅し、異国の王国を尋ねる途中で数多くの驚きに遭遇する。
その冒険譚を7つの短編で色鮮やかに描いたエキゾチックな切り絵アニメーション。
『クラバート』(1977年/73分/カラー)
©Czech National Film Archive
少年クラバートは、夢に誘われるまま水車場の見習いになり、親方から魔法の修行を受けるのだが…。児童文学の傑作をダークなキャラクターで映像化した。アニメーション映画史に刻まれるゼマン晩年の傑作。
『ホンジークとマジェンカ』(1980年/66分/カラー)
©Czech National Film Archive
ホンジークは妖精マジェンカと出会い恋に落ちる。
しかし二人の愛の前には様々な苦難が襲いかかってくる。牧歌的音楽が流れる中での恋の行方は…。
ゼマン最後の長編ファンタジー。
同時上映短編:プロコクウ氏 映画制作の巻(1947年/8分/B&W)
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提供:日本スカイウエイ、アダンソニア
配給:アダンソニア
宣伝・配給協力:ブライトホース・フイルム デザイン:千葉健太郎
協力:Muzeum Karla Zemana、Czech National Film Archive、仙元浩平