ミシェル・フランコ監督作で、第77回ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞を受賞した『原題:NUEVO ORDEN(英題:NEW ORDER)』の邦題が『ニューオーダー』に決定し、渋谷シアター・イメージフォーラムで2022年6月4日(土)より公開されます。
これは悪夢か、無慈悲な現実か―――
世界が嫌悪し括目した、今そこにある“悪夢”を描くディストピア・スリラー
第77回ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞など2冠を受賞しながらも、各国の映画祭で激しい賛否両論を巻き起こした本作。監督を努めたのは長編デビュー作から4作品連続でカンヌ国際映画祭に正式出品され、コンペティション部門での脚本賞を含む3冠に輝いてきたメキシコの俊英ミシェル・フランコ。ごく普通の人間の人生がふとしたきっかけで崩壊の危機に瀕していく様を冷徹な視線で描いてきた彼は言う。「我々の暮らすメキシコに限らず、世界は極限状態に追い込まれている。まるで日々ディストピアに近づいているようにね。そしてパンデミックによって事態が更に悪化したことで、期せずしてこの作品は時代に即したものになってしまったんだ」と。これは広がり続ける経済格差とそれがもたらす社会秩序の崩壊、今まさに我々が直面している危機的状況を描くディストピア・スリラーだ。目を背けたくなる、それでも刮目せねばならない“最悪”のリアリティに、観る者の覚悟が試される86分を体感せよ。
この度解禁された日本版ビジュアルには、頬に涙が伝うヒロイン、マリアンの顔と、武装した男たちの姿が対比的に映し出されている。さらに、メキシコ国旗の中の一色で、スペインからの諸州の独立を象徴する緑色がペンキのようにぶち撒かれ、不穏な展開を予感させるデザインとなっている。
<ストーリー>
夢に見た結婚パーティー。マリアンにとって、その日は人生最良の一日になるはずだった。裕福な家庭に生まれ育った彼女を祝うため豪邸に集うのは、着飾った政財界の名士たち。一方、マリアン宅からほど近い通りでは、広がり続ける貧富の格差に対する抗議運動が、今まさに暴動と化していた。その勢いは爆発的に広がり、遂にはマリアンの家にも暴徒が押し寄せてくる。華やかな宴は一転、殺戮と略奪の地獄絵図が繰り広げられる。そして運良く難を逃れたマリアンを待ち受けていたのは、軍部による武力鎮圧と戒厳令だった。電話や通信網は遮断され、ついさっきまで存在していたはずの法と秩序は崩壊、日常が悪夢に変わる。だが、“最悪”はまだ始まったばかりだ。
監督・脚本:ミシェル・フランコ
出演:ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド、ディエゴ・ボネータ、モニカ・デル・カルメン
2020年/メキシコ・フランス/スペイン語/86分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:平井かおり/原題:NUEVO ORDEN(英題:NEW ORDER)
配給:クロックワークス/PG12
(C) 2020 Lo que algunos soñaron S.A. de C.V., Les Films d’Ici