芥川賞受賞作家・今村夏子のデビュー作を映画化した『こちらあみ子』が、2022 年 7 月 8 日 (金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開となります。
主人公は、広島に暮らす小学5年生のあみ子。少し風変わりだが純粋なあみ子の行動が、家族や同級生など周囲の人たちを否応なく変えていく過程を、少女の無垢な視線で鮮やかに描き出します。
原作は「むらさきのスカートの女」で第161 回芥川賞を受賞した今村夏子が、2010年に発表した処女作「あたらしい娘」(のちに「こちらあみ子」に改題)。本作で太宰治賞、三島由紀夫賞を W 受賞して以降、新作を発表するたびに現代文学ファンの間で大きな話題を呼んでいます。
この度、実写映画化となった本作で、主人公のあみ子を演じるのは、応募総数330名のオーディションの中から見いだされた新星・大沢一菜(おおさわ・かな)。圧倒的な存在感で“あみ子の見ている世界”を体現していきます。父親役には、是枝裕和監督作『ワンダフルライフ』(’99)から河瀬直美監督作『朝が来る』(’20)など世界的な人気を誇る監督の映画から TV ドラマ「最愛」 まで幅広い活躍を見せる井浦新。そして母親役には、主演作『茜色に焼かれる』(’21)が数々の映画賞を受賞するなど、日本 映画を代表する俳優、尾野真千子。監督は、大森立嗣監督をはじめ、日本映画界を牽引する監督たちの現場で助監督を務めてきた森井勇佑。原作小説と出会って以来、映画化を熱望してきた監督が、原作にはないオリジナルシーンやポップでグラフィカルな映像描写で“あみ子の見ている世界”に新たな風を吹き込み、念願の監督デビューを果たしました。
あみ子の魅力について、森井監督は「世界の輪郭はもっと、ぐにゃっとしていて、きらきらしていて、不気味で、粒だって生きいきしているのだということ。社会とは別に、そんな世界のありようがあるのだということ。この感覚を映画にしたいと思いました」とコメン トを寄せています。一途に自分を貫き通すあみ子の姿は、常識に縛られ、違和感や生きづらさを感じている現代の私たちにとっ て、かつての自分を呼び覚まし、勇気や力をもたらす存在となってくれるはずです。
劇場公開決定の一報と合わせ、両 A 面のティザービジュアルと超特報を解禁されました。あみ子の小学生時代から中学生時代までを描いた本作。
片面には、大沢一菜演じる中学生のあみ子がこちらに向かって手を伸ばしている写真、もう片面には、下校途中、力強く立つ小学生時代のあみ子の写真が使われています。
タイトルロゴには劇中に登場するトランシーバーをあしらい、キャッチコピーにはあみ子の印象的なセリフ「応答せよ、応答せよ」を使用。この度のあみ子役のお披露目に合わせ、キャラクターの表情、たたずまい、そして心の声を全面に押し出したビジュアルが完成しました。
そして子どもらしさ全開の小学生時代のあみ子の姿を収めた3種の超特報映像「あみ子、川であそぶ。」「あみ子、だんご虫をさわる。」「あみ子、お兄ちゃんとセッション。」も到着。
本作の音楽を手がけたのは、繊細な歌声とやわらかなクラシックギターの音色で聴く者を魅了し続け、国内だけでなく海外からも人気を集める音楽家、青葉市子。
この度のニュースに合わせ、青葉からのコメントも到着しました。「どんなときも、どんなことで も。そっと見守って、そっと聞かせて。あみ子さんのまっすぐな心に寄り添えたらと、音を選びました。劇場で公開されるのを楽しみに待っています。」と語ります。
青葉市子(音楽)コメント
どんなときも、どんなことでも。
そっと見守って、そっと聞かせて。
あみ子さんのまっすぐな心に寄り添えたらと、音を選びました。
劇場で公開されるのを楽しみに待っています。
森井勇佑(監督)コメント
今村夏子さんの原作小説をはじめて読んだときから、あみ子という存在が、僕の中に住み着いて離れなくなりま した。それはたぶんあみ子に、僕の根っこの部分が共鳴したからなのだと思います。世界の輪郭はもっと、ぐにゃっとしていて、きらきらしていて、不気味で、粒だって生きいきしているのだということ。社会とは別に、そんな世界のありようがあるのだということ。この感覚を映画にしたいと思いました。
オーディション会場の待合室で、大沢一菜が椅子にただ座っている姿を見たとき、この子があみ子だとすぐに思いました。一菜の目はどこか遠くを見ていて、まるで僕には見えていないなにかを見ているかのようでした。 一菜はとても自由で、なににも縛られない、台風のような子です。彼女が撮影現場に現れると、ものすごい勢いで現場が沸き立ち動き出すのでした。僕たちは必死にそれを撮影しました。一菜やみんなと過ごした時間は、僕にとってかけがえのないものです。
あみ子はいまなにを思っていて、どんな景色が見えていて、どんな音が聞こえているのか。あみ子を取り巻く世界はどんなものなのか。みんなで目一杯想像しながら、たくさん遊んで作った宝物のような映画です。そんな時間も、公開とともにもうすぐ終わっていってしまうのかなと思うと、とても寂しいものがあります。でもそれと同時に、これからこの映画を観てくれる人たちとあみ子が、いったいどんな新しい出会いをするのか、とても楽 しみでもあります。どうか良い出会いとなりますように。
超特報
「あみ子、川であそぶ。」編
「あみ子、だんご虫をさわる。」編
「あみ子、お兄ちゃんとセッション。」編
大沢一菜 井浦 新 尾野真千子
監督・脚本:森井勇佑
原作:今村夏子(ちくま文庫)
音楽:青葉市子
製作:ハーベストフィルム エイゾーラボ