2月4日(金)より、全国公開を迎えた映画『再会の奈良』の劇場公開を記念し、公開初日2月4日(金)に東京・銀座のシネスイッチ銀座にて、本作の主演を務めた國村隼をはじめ、永瀬正敏、秋山真太郎が12:15回上映後、14:35回上映前の2回登壇し、本作への想いや撮影当時のエピソードなどを語った。
●日時:2022年2月4日(金) ①12:15回 上映後 ➁14:35回 上映前
●会場:シネスイッチ銀座 スクリーン1
●ゲスト:國村隼、永瀬正敏、秋山真太郎
●MC:伊藤さとり(映画パーソナリティ)
本作で、行方を消した“残留孤児”の養女・麗華を探す陳ばあちゃんとシャオザーを助ける元警察官“吉澤一雄”を演じた主演の國村隼(以下:國村)は、中国出身のポンフェイ監督からの熱いオファーに応えて出演を決めた背景について「一緒にやろうと言ってもらえるのは役者として嬉しいことですね。ポンフェイ監督、まだすごく若い方なんですが、とても優しい雰囲気を持った人で、この映画自体もすごく優しい作品ですよね。戦争や“残留孤児”という固いテーマを、一人の母親の想いや情感に移し替える作品作りができる人。実際にご本人とお会いして、この人とならおもしろい映画を作れるかなと思って、お受けしました。」と語り、鑑賞後の会場からは大きな拍手が贈られた。
続いて、物語の鍵を握る寺の管理人“剛”役を演じた永瀬正敏(以下:永瀬)は、耳が聞こえず筆談のみで会話するという役どころについて「僕は言葉を発しない役だったんですが、4日くらい前から喋らないようにしていました。現場でも監督とはしゃべらず、筆談やジェスチャーのみで。撮影が終わったとたんにお話ししました(笑)」と当時のエピソードを語り、監督についても「撮影には1日だけ参加させていただいたんですが、穏やかで優しい雰囲気を持った方でした。映画の中にも登場していたのには皆さん気づきましたか?」と本編に監督がサプライズ登場していることを観客に明かすと、会場からは驚きの声が上がった。永瀬は「めちゃくちゃ上手でびっくりしました(笑)」、國村は「あれ監督なんです。事前に監督が演じるとは全然知らなくて驚きました(笑)」と当時の様子を振り返った。
中国からやってきた陳ばあちゃんと一緒に麗華探しをするシャオザーの元恋人“福田健二”役を演じた秋山真太郎(以下:秋山)は、日中合作映画の本作で、海外の監督と初タッグを組んだ感想を聞かれると「脚本を読ませていただいた段階でとても素晴らしかったので、通行人の役でもぜひ参加させていほしいということで、出演が決まりました。僕は監督とは同い年で、すごいコミュニケーションも取りやすくて、優しい、俳優の立場になって考えてくれる監督でした。」シャオザー役のイン・ズー、陳おばあちゃん役のウー・イエンシューとの共演については「イン・ズーさん、監督とは英語で、ウー・イエンシューさんとは中国語の通訳さんに入っていただいてコミュニケーションをとらせていただきました。」と述べた。
全編通してウー・イエンシュー、イン・ズーと共演を果たした國村からは、「まず、シャオザー役を演じたイン・ズーさんは、ほぼ全編日本語のセリフで、大変だったろうなと。それをきちんと伝えて、お芝居をされていてすごいなと思いました。ウー・イエンシューさんは、本当にそこにいるだけで、“陳おばあちゃん”そのものだな、という雰囲気で。まさに撮影中のお二人と映画の物語の中のお二人がシンクロしてしまうような、そんな撮影現場でした。」と語った。さらに、奈良県・御所市で撮影された本作での美しいロケーションについても「ロケーションや風景もそうですが、奈良で撮影させてもらったところにいらっしゃった人が、すごくあたたかく迎えてくださったので、それが映画の中にも映りこんでいるのではないかと思います。」と述べ、本作が生まれるきっかけとなった「なら国際映画祭」で、アンバサダーを務める永瀬も、「美しいところでした。ちょうど紅葉が始まった頃だったと思います。地元の人も本当に協力的で、楽しく撮影させていただきました。」と語った。
これまでも多くの海外作品へ出演してきた國村、永瀬は、海外の監督との仕事の面白さについて尋ねられると、永瀬「新しい文化を学ぶという意味でも色々と楽しいところがたくさんあります。本作のポンフェイ監督は、ツァイ・ミンリャン監督のもとで長年仕事をされて、助監督を務めたり、一緒に脚本を書かれたり、フランスで映画を勉強した方です。僕は、本作のラストシーンが大好きなんですが、そこにツァイ・ミンリャン監督のDNAを入っているように感じました。」
國村も、「これまでも色々な国の監督とは一緒にお仕事させていただきましたが、映画は一つの“共通言語”というのか、言葉の壁とか文化の壁とか、色んな違いがあるのにも関わらず、映画の言語は一つなんだ、といつも感じます。やることはひとつ、とにかく映画を作りたいという人には、(国の違いは)関係ないなと思います。」
そして最後には、今回残念ながら来日が叶わなかったポンフェイ監督から、サプライズでビデオメッセージが到着。「みなさん、こんにちは。私はポンフェイです(日本語)。日本で撮影できたことをとても幸運に思います。たくさんの優秀な日本の映画製作者と一緒に仕事をし、多くのことを学びました。この映画が遂に日本で上映を迎え、とても嬉しいです。皆さんもこの映画が気に入っていただければ幸いです。」と語り、本作が生まれたきっかけについて「日中友好についての映画、反戦映画を作ろうと決心したことから」と述べ「反戦映画は必ずしも戦争の場面があるわけではありません。私は、戦争の隠れた痛みを通してこのメッセージを伝えることにしました。そこで私は養母と“残留孤児”について調べ、彼らの実話を使いながら、この大きな愛を世界に伝えようとしました。映画を通して、中国と日本がこれからも友好的に歩んでいくことを願っています。ありがとうございます。」と、日本公開への熱い思いを語り、舞台挨拶が締めくくられた。
『再会の奈良』予告編
<STORY>
2005 年、中国から陳ばあちゃんが、孫娘のような存在のシャオザーを頼って一人奈良にやって来る。中国残留孤児の養女・麗華を 1994 年に日本に帰したが、数年前から連絡が途絶え心配して探しに来たというのだ。麗華探しを始めた2人の前に、ほんの偶然の出会いでしかなかったはずの一雄が、元警察官だったという理由で麗華探しを手伝うと申し出る。奈良・御所を舞台に、言葉の壁を越えて不思議な縁で結ばれた 3 人のおかしくも心温まる旅が始まる。異国の地での新たな出会いを通して、果たして陳ばあちゃんは愛する娘との再会を果たせるのか――。
出演:國村隼、ウー・イエンシュー、イン・ズー、秋山真太郎、永瀬正敏
脚本・監督:ポンフェイ
エグゼクティブプロデューサー:河瀨直美、ジャ・ジャンクー
撮影:リャオ・ペンロン 音楽:鈴木慶一
編集:チェン・ボーウェン 照明:斎藤徹 録音:森英司 美術:塩川節子
共同製作:21 インコーポレーション
© 2020 “再会の奈良” Beijing Hengye Herdsman Pictures Co., Ltd, Nara International Film Festival, Xstream Pictures (Beijing)
後援:奈良県御所市
配給:ミモザフィルムズ
中国、日本 / 2020 / 99 分 / カラー / 日本語・中国語 / DCP / 1:1.85/ Dolby 5.1 英題:Tracing Her Shadow 中題:又見奈良