長編映画監督デビュー作『岬の兄妹』が国内外から高い評価を受けた片山慎三監督最新作で佐藤二朗主演の映画『さがす』が公開中です。
全国23館で公開された本作は初日3日間で興収1,200万を超え、ミニシアターランキング2週連続 実写邦画1位となりコロナ禍を吹き飛ばす大ヒットスタートを飾った本作。
昨日、1月31日(月)にテアトル新宿にて片山慎三監督のティーチンイベントが行われました。
【日時】1月31日(月)21:53~
【場所】テアトル新宿(新宿区新宿3丁目14−20 新宿テアトルビルB1)
【登壇】片山慎三監督
指名手配犯を見たと告げた翌日、忽然と姿を消した父と必死に父を捜す娘の姿を描いた本作は、すべての予想を裏切るストーリーが展開される唯一無二の衝撃作。父・原田智を演じるのは俳優・佐藤二朗。智の娘・楓には映画『空白』で古田新太の娘役や「おかえりモネ」が話題の伊東蒼。指名手配中の連続殺人犯・山内照巳には清水尋也、自殺志願者・ムクドリ役で森田望智が出演。
SNSでも熱い感想が飛び交っているが、片山監督は「ネガティブな意見ばかりを探して反省したりする感じです。褒められているのは嬉しい。嬉しい感想も多いですが、性格上、ネガティブな意見を探して、なるほど!と関心をすることが多いです」とコメント。感想の中にジャンルレス、ジャンル横断型といった分析もあるが「あまり意識していないですね」と告白。「スリラーというジャンルを意識して、映画を撮りました。その中で笑えるシーンやホラーテイストがあるシーンを入れことにより、怖さが際立つのではないかなと思っていました。ジャンルをミックスしようという目論見を持って、撮影していたわけではないです」と話し、「スリラー映画ということで言うと『セブン』『羊たちの沈黙』は意識していたと思います。パク・チャヌクやポン・ジュノ監督など、韓国映画もスリラー映画も思い浮かべて撮影してました」と撮影を振り返った。
中年男性の智、若者の山内、中学生の楓と世代の異なるキャラクターが混在する。「いろんな世代の人物を登場させたかったです。いろんな世代の人が出ることで社会問題とかも浮かび上がってくるんじゃないかと思い、そうしました。」と明かし、「今は若い人が苦労しているように感じます。観る人によっては智は愛すべきキャラクターですけど、同情できない部分はあるんじゃないでしょうか」と分析した。
ここからはSNSで募集した質問に答えるコーナーへ。“お気に入りのシーン”を尋ねられた片山は「クーラーボックスからビールが出るところやマカロンを娘の楓が食べるシーン」と回答。「この映画はお父さんの智、娘の楓、殺人犯の名無し(山内)の3人が同じフレームに入ることがないんです。その3人をどの様につなげるかをキーワードに撮影したのですが、マカロンを食べるシーンは智が名無しに電話して、娘の楓がそこにやって来て、そこでマカロンを食べる。3人を同じフレームに入れない代わりに、マカロンなど小道具で3人をつなげる意識をしました。」
とその緻密な構成を明かした。
本作のキャスティングについてはSNSでは「こんな佐藤二朗さん初めて観た」という感想が続出。「パブリックイメージが二朗さんはコメディの役柄が多いので、智のような役柄をやると新しく新鮮に、その役で観てもらえるのではと思いました。“佐藤二朗さん”を観るのではなく、新しい役者を観る感覚で観てくれたらいいなと思い、オファーしました。」と明かした。
そんな佐藤がこれまでのインタビューでは智が演じる奥さんがキスするシーン、多目的トイレでムクドリとのやり取りは事前に知らなかったと明かしている。片山監督は佐藤に事前に伝えなかった理由として「生のリアクションが見たいと思いました。台本があるから、何を言うか知っているのが映画の撮影ですけど、普段の実生活は相手が何をしてくるかわからない。生のリアクションや驚きを出るのを期待しました」と話すと、「どの現場でもどの役者さんでもできるわけではない。二朗さんだからできた」と片山は佐藤二朗に全幅の信頼を寄せている様子を見せた。
『岬の兄妹』『さがす』と様々な社会問題を題材に作品を撮影している片山監督。「注目している社会問題や事件はありますが、コロナ禍の映画というのは撮りたいようで取りたくない。5年後、10年後にそんな時もあったよねと思うようになればいいなと思っていますが、コロナ禍という現状を考えると、ずっとマスクをした男女の恋愛劇は撮ってみたいです。」と意外な答えが。「女性は男性の前でマスクを撮るのが恥ずかしいという話や、電車の中で男性の視線がマスクをつけていない時よりも、やたら見られるという話を聞く。マスクをすることで今までと違う現象が起きていることが面白いなと思っています」とその理由を説明。重いテーマを得意とする片山監督が恋愛映画とは意外!という反応に「“ちょっと思い出しただけ”みたいな映画も撮りたいですよ(笑)。人が死ぬ映画はこりごりです」と話すと会場からは笑いが起きた。
最後に片山監督から「映画気に入った方がいらっしゃれば、また観に来てください。こういう時期ですが、一人でも多くの人に観てもらいたいなと思い、作りました。宣伝もよろしくお願いします。」とメッセージを寄せて、ティーチンイベントは終了した。
映画『さがす』本予告
佐藤二朗/伊東蒼 清水尋也/森田望智 石井正太朗 松岡依都美/成嶋瞳子 品川徹
監督・脚本:片山慎三
共同脚本:小寺和久 高田亮
音楽:髙位妃楊子
製作:アスミック・エース、DOKUSO映画館、NK Contents
製作協力:埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ 制作協賛:CRG
制作プロダクション:レスパスビジョン 制作協力:レスパスフィルム
製作幹事・制作・配給:アスミック・エース
©2022『さがす』製作委員会
英題:Missing/映倫:PG12