不要不急の外出の自粛が続き、東京でも人の動きが鈍るなかで、密かに新作ではない一本のドキュメンタリー映画が連日満杯の活況を示している。 それが1月28日より代官山シアターギルドで東京で再上映となった『氷の花火 山口小夜子』だ。
この映画は、多くのアーティストやデザイナーに、影響を与え続けた、1970 年代、80 年代を象徴する日本の生んだミューズ山口小夜子の知られざるミステリアスな人生を紐解き、新たな一面に迫ったドキュメンタリー映画。メガホンを取ったのは生前の山口と親交があり、これまでにドキュメンタリー 作品『≒草間彌生 ~わたし大好き~』などの作品を手掛けてきた松本貴子監督。2015 年の東京都現代美術館で開催された『山口小夜子 未来を着る人』 展の開催後に初公開となり、当時はそれなりに話題となった作品だが、大作映画やよりカルトな映画作は上映 10 年、20 年を記念してのリバイバル上映がされることはあるものの、公開から7年という旧作で、なおかつドキュメンタリー映画の再上映作品が、集客することは多くの前例がない。
それどころか、東京は外出自粛のまん延防止に加え、2月20日以降は、オミクロンの勢いは止まらず連日、感染者数の記録が塗り替えられている中で、よほどのことがない限り外出は控えるムードの中で、瞬く間に4日間の上映は完売となり、急遽 26 日 に発表された 3 日間の追加上映も、すぐさま 7割以上の客席が予約販売されており、すでに完売の日も表れている。
劇場では、前回の売り出し以上に早いスピードで席が埋まっていくことに驚きを隠せない。
(追加上映も全席完売につき、さらなる再追加上映、再々追加上映が決定)
2月末まで随時追加上映(詳細はHPにて)
今回再上映の配給に携わったプログラマーに、今、なぜこの映画に人が集まるのか?と、聞くと配信やDVD化されていない作品であること、公開当時まだ存命だった山本寛斎や高田賢三などの一時代を作り上げたオピニオンの在りし日の姿が垣間見られること。そして何より山口小夜子という人間の普遍的な魅力であることを語った。
「やはり、コロナという時代に漂う閉塞感が続く中、モデルとしての枠組みにとらわれず、山口小夜子という表現者としての個の生き方に興味が注がれているのではないだろうか?それは、世界中のクリエイターと共に歩み愛されたというダイナミックな生き方と、彼女の生前から醸し出していたミステリアスな部分とが重なり合って、多くの世代の人に興味が持たれるのではないでしょうか?」と語っている。
映画上映会期中は、松本貴子監督の他ゲストトークも開催されるという。
(詳細はHPにて)
監督 松本貴子
キャスト 山口小夜子、天児牛大、天野幾雄、生西康典、入江末男、大石一男、大塚純子、掛川康典、ザンドラ・ローズ、下村一喜、セルジュ・ルタンス、ダヴェ・チュング、髙田賢三、高橋靖子、立花ハジメ、富樫トコ、富川栄、中尾良宣、藤本晴美、松島花、丸山敬太、山川冬樹、山本寛斎
製作年2015 /97分
製作・配給コンパス
1月28日(金)上映スタート!(完売)