昭和を代表する作家・水上勉によるエッセイ『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』(新潮文庫刊)を原案に、 中江裕司が監督・脚本を手掛け、劇映画に仕立てた映画『土を喰らう十二ヵ月』が誕生します。 沢田研二が演じるのは、作家ツトム。人里離れた長野の山荘で一人、山の実やきのこを採り、畑で育てた野菜を 自ら料理し、季節の移ろいを感じながら、原稿をしたためています。
本作は沢田研二の単独主演作として、2020年2月から撮影を開始。日本の里山を舞台に四季の移り変わりを描く作品ゆえに、一年の撮影を予定していましたが、そこに新型コロナ・ウィルスの蔓延という事態が起きまし た。幾度も撮影延期と再開を繰り返しましたが、去る2021年7月26日(月)に、ついにクランクアップを迎え、一年六ヵ月に渡る撮影を終えました。
■主演:沢田研二 コメント(クランクアップ時の挨拶より)
「本当にながい、ながい、ながい撮影でしたけれど、本当の意味で超大作になるように期待しており ます。本当にお世話になりました。ありがとうございました。」
挨拶後、愛犬を演じた“もも”の頭を何度も撫で別れを惜しんだ。
原案【水上勉『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』(新潮文庫刊)について】
1978年(昭和53年)、雑誌ミセスの1月号から12月号に連載されたエッセイ。
水上勉は、女性編集者のすすめで、約一年間にわたり軽井沢の山荘にこもる生活を送る。畑を作り、京都の禅寺に奉公していた少年時代に培った料理を自ら作り、自然と共に暮らす日々を文章にまとめて発表。季節の旬のもので作る、質素でありながら、たまらなく豊かな料理が楽しめる料理本であり、土の匂いを忘れてしまった日本人の味覚を刺激するエッセイでもある。
43年前の作品でありながら、今でも多くのファンに愛される名著。
この名著の魅力を生かした脚本を体現するために重要なのは、登場する数々の料理をどう描くか。ツトムが作るのは、畑の野菜や、その地の旬のものを生かした料理であり、日本の生活に根付いた食事の数々。
そのために白羽の矢が立ったのが、料理研究家の土井善晴。脚本の中で描かれた料理をどう作り、どう盛り付けるか。中江監督と打ち合わせを繰り返し、ツトムの料理を具現化していきました。料理を作るだけでなく、沢 田には料理や手さばきの指導、器選びなど、本作の細部に土井の感性が生かされています。本作は土井善晴が料理を手掛ける初の映画となりました。また、本作の中に出てくる畑や食材の多くは、スタッフが撮影現場の近くに住み込み、農家の方々と協力しながら、作り上げたものです。
■料理:土井善晴 コメント(クランクアップ時の挨拶より)
「なにしろ、沢田(研二)さんとご一緒させていただいたことが、とても光栄な事でした。
そして “土”と生活が繋がっている感じが細部にまで現れていて、監督の思いが伝わってきました。 本当にありがとうございました。」
2020年からのこの一年半、世界がコロナ禍におちいり、今までの多くの常識が覆されました。しかし、本作で描かれる‟土を喰らう“という言葉が表す、自然の中でその地で育った豊かな恵みを食し、季節の移り変わりと共に暮らすという世界観は、コロナ禍にあっても、ポストコロナの時代が来ても、ゆるぎないものでしょう。本作の公開は2022年秋を予定しています。
主演:沢田研二
監督・脚本:中江裕司
原案:水上勉 『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』(新潮文庫刊)
料理:土井善晴
製作:『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会
制作プロダクション:オフィス・シロウズ
配給:日活
©2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会