8月29日(日)、本年14回目を迎える日本最大のゴスペルイベント「YOKOHAMAゴスペルフェスティバルVOL.14 横濱ゴスペル祭2021」(神奈川県民ホール)で『歌と羊と羊飼い』(四海兄弟 監督)のプレミア上映が行われました。
本作は、10月9日(土)より、渋谷ユーロスペースにて劇場公開されるゴスペルドキュメンタリー映画です。
日本で活動するゴスペルシンガーをはじめ、スペイン出身のゴスペルシンガーMARISA、米国黒人教会の牧師Rev.Taisuke、ゴスペルに出会い変わっていく主婦、全国ゴスペルコンテストに挑戦する少女たちをとらえ、歌と祈りと生きることを強く訴える作品です。
昨年急逝したシンガー松谷麗王の貴重なインタビューやクリスチャンアーティスト千代延大介(サル―キ=)、黒人ゴスペルシンガーのティモシー・ライリーのインタビューも作品に厚みを与えています。
会場には出演者のMARISA、Rev.taisukeらの姿とともに日本のゴスペル界で活躍するシンガー・アーティストの姿も多く見かけられ、ゴスペル関係者の本作への期待の高さを垣間見ることができました。
そして、映画上映後のトークイベントには、日本ゴスペル界のレジェンド淡野保昌、ゴスペルシンガー遠谷政史、製作総指揮の飯塚冬酒が登場。
日本のゴスペルの現状をはじめ、淡野、遠谷の考えるゴスペルについて語られました。
淡野のリードによるトークは和やかな雰囲気で進行し会場のみなさまを楽しませていました。
トーク後半では、本作にも出演しているRev.Taisuke、MARISAがサプライズで登壇。
Rev.Taisukeは米国黒人教会でゴスペルクワイアを指導した経歴を持ち、現在は新潟で教会の牧会と全国でゴスペル音楽の指導を行う牧師。
MARISAはスペイン出身のシンガーであり、新宿シャローム教会を中心としたクワイアとともにゴスペルを歌っています。
* 淡野先生がゴスペルを始めたきっかけは?
淡野:僕がゴスペルをはじめたきっかけは30年くらい前に観た「Mama I Want To Sing」というミュージカル。最初は楽しそうだな、この音楽を日本に広めたいなっていうところから。ゴスペルを始めたらどんどん一緒に歌う人が増えてきて。
* 日本のゴスペルは淡野先生がつくった道ともいえますよね。
淡野:いや僕はね、ゴスペルを興味本位ではじめただけの話で。ゴスペルを歌う楽しさを少しでも広めようと思っただけで。ご存命だったころの亀淵友香さんとか、まだ死んでいませんけどラニー・ラッカーさんとか(笑
みなさんがいたから今の日本のゴスペルがある。
* 映画『歌と羊と羊飼い』について
淡野:映画の中で印象的だったのは松谷麗王(2020年8月急逝)さん。天国からのメッセージでしたね。一緒にお酒を呑んでいたのがついこの間のようです。
MARISAさんの歌のシーンでは自然と涙がこぼれてきてしまいました。
* 日本のゴスペルはノンクリスチャンの人が8割以上というお話もありますが。
淡野:ニューオリンズで出会った牧師さんが笑いながら「私の教会はだめなんです。クリスチャンが育たない。ゴスペルを歌うミュージシャンはいっぱい育つのに」と言っていたのが印象的でしたね。
ゴスペルを歌うからといって必ずしもクリスチャンにならなくてもいいんだと気づかされました。
僕は歌う人にクリスチャンになれともやめろとも言わない。
日本のゴスペルは真面目にやる人が多いですよね。真剣に考える人も多くて。ゴスペルとは何ぞや、とか眉間にしわ寄せたりして(笑
僕なんかそこまでに真剣に考えなくたっていいのかな、なんてちょっと思ったりします。
歌う人がそれぞれ想いを持って歌い、歌って幸せになれるような歌だったらみんなゴスペルですよ。
歌と羊と羊飼い|予告編
■映画コメント
遠谷政史(シンガー・ゴスペルディレクター)
いろんなゴスペルがあると思うのですが、それぞれのディレクターやクワイアが価値観をもったり事情をもって活動しているわけですよね。それぞれの活動の一旦を垣間見れる映画だと思います
Rev.Taisuke(牧師)
海のなかの洗礼シーンをお届けできたことが嬉しいです。
多くの教会では教会の中に洗礼する場所があるので、洗礼ってあまり外ですることはないと思います。
21世紀の日本で、海の中で行う洗礼って、いつの時代だよって思いますよね。
そんな貴重なシーンをぜひご覧ください。
MARISA(シンガー・ゴスペルディレクター)}
ゴスペルをやっている人たちにフォーカスをしていますが、ただ歌を追っているのではなく、それぞれのゴスペルに向かいあう姿をしっかり見せている、そんな映画だと思います。
『歌と羊と羊飼い』(四海兄弟 監督)
2021年|56分40秒|監督:四海兄弟|製作総指揮:飯塚冬酒
製作・宣伝・配給:ガチンコ・フィルム