「日本におけるイタリア年」をきっかけに2001年に始まり、毎年春の恒例イベントとして今年で 21 回目の開催となる「イタリア映画祭2021」。1部(新作)のオンライン上映と大阪会場での開催を終え、続いて過去の映画祭で上映し人気を博した過去作にフォーカスした2部(6月17日(木)〜7月18日(日))がスタートする。
過去作のアンコール上映<10本>が決定&ラインナップ発表!
特筆すべきは、巨匠マルコ・トゥーリオ・ジョルダーナ監督『輝ける青春』。1960年代から約40年に渡りイタリアの一家族を描いた6時間を越える叙事詩で、21世紀のイタリア映画を代表する1本だ。ジョルダーナとルイージ・ロ・カーショの名を一躍世界中に知らしめ、カンヌ映画祭・ある視点部門グランプリを皮切りに各国の映画賞を受賞。イタリア・ヨーロッパでも大ロングランとなり日本を含め、興収的にも世界中で記録的な成功を収めた一作。
フェリーニらとともにイタリア映画黄金時代を築いた脚本家であり映画監督のエットレ・スコーラの『ローマの人々』は“永遠の都”ロー マに生きる市井の人々を軽妙に追いかける。
『いつだってやめられる』シリーズでおなじみとなったエドアルド・レオの監督・出演作『俺たちとジュリア』は、人生につまずいた中年男3人が新しい人生を切り開こうと奮闘する痛快コメディ。
その他、1部(新作)でも存在感を発揮、現代のイタリア映画界の第一線で活躍し続けるアルバ・ロルヴァケル、エリオ・ジェルマーノ、ジャズミン・トリンカ、ヴァレリオ・マスタンドレアら俳優たちの若かりし頃の出演作も並び、動画配信サービスでは見ることのできない、イタリア映画祭ならではの珠玉のラインナップとなっている。
また、好評だった2本、ルカ・グァダニーノ監督の短編ドキュメンタリー『フィオーリ、フィオーリ、フィオーリ!』、『いつだって やめられる』シリーズのシドニー・シビリア監督作の爆笑コメディー『あなたの不幸はわたしの幸せ』は会期終了まで延長が決定。短編2本はオンライン視聴の際に必要な朝日IDに登録さえすれば無料で視聴ができる。※視聴料金の詳細については、公式サイト、公式Twitterの告知を参照。
上映作品ラインナップ
『フォルトゥナータ』(2017年 /103分)
監督:セルジョ・カステッリット
出演:ジャズミン・トリンカ、ステファノ・アッコルシ、アレッサンドロ・ボルギ
名優の一人で、監督としても活躍するセルジョ・カステッリットの第6作で、幸せを求めて夢を実現するために奮闘する女性の物語。「幸運」を意味する名前にもかかわらず、フォルトゥナータの結婚生活は夫の暴力で破綻し、離婚が間近だった。独立して生きるために美容師の闇の 仕事を懸命にこなし、自分の店を持つことに順調に突き進んでいたが、一人娘が心理カウンセリングを受け始める医師との出会いが運命を変える。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でジャズミン・トリンカ(『泣いたり笑ったり』)が最優秀女優賞を受賞。
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『ピューマ』(2016年/98分)
監督:ロアン・ジョンソン
出演:ルイージ・フェデレ、ブルー・ヨシミ
ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選ばれたロアン・ジョンソン監督の第3作は、予期せぬ事態に右往左往しながらも奮闘するティーンエージャーが主人公のコメディー。フェッロとカテは、他の同世代とたいした違いはない普通の18歳のカップルだった。だが高校卒業を間 近に控えた矢先に、妊娠が発覚。産むことを決意する二人だが、それぞれの両親の生活環境 や考えの違いをはじめ、問題は山積。はたして嵐のような 9 カ月間を二人は無事、乗り越えられるだろうか?
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『愛のために戦地へ』(2016年/99分)
監督:ピエルフランチェスコ・ディリベルト
出演:ピフ、ミリアム・レオーネ、アンドレア・ディ・ステファノ
デビュー作『マフィアは夏にしか殺らない』が興行、批評の両面で成功を収めたディリベルト監督 の2作目は、史実やアイロニーが絶妙に盛り込まれたロマンチック・コメディー。戦時中の1943年、ニューヨーク。レストランで働くシチリア移民のアルトゥーロは、オーナーの姪フローラと相思相 愛だが、フローラには許婚がいた。アルトゥーロは、シチリアに住むフローラの父から結婚の賛成 を得るために米軍に入隊。シチリアに赴任するが、のさばっているマフィアから命を狙われること になる。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞でヤング・ダヴィッド賞を受賞した。
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『俺たちとジュリア』(2015年/115分)
監督:エドアルド・レオ
出演:ルカ・アルジェンテーロ、エドアルド・レオ、クラウディオ・アメンドラ、アンナ・フォリエッタ、ステファノ・フレージ、カルロ・ブッチロッソ
喜劇俳優としておなじみのエドアルド・レオ(『いつだってやめられる』シリーズ)が監督した痛快コメディー。人生につまずいた中年のディエゴ、ファウスト、クラウディオの 3 人は大きな農家を共同購入し、ホテルにリノベーションして再起を図る。激しい気質のセルジョと妊娠中のエリーザが加わり、妙なチームワークで順調に準備が進む。しかし、クラシックカー「ジュリ ア」に乗った犯罪組織の一員の出現で、事態は思わぬ方向に転がる。イタリアのゴールデン・グローブ賞で最優秀コメディー賞を受賞。
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『われらの子供たち』(2014年/92分)
監督:イヴァーノ・デ・マッテオ
出演:アレッサンドロ・ガスマン、ルイージ・ロ・カーショ、ジョヴァンナ・メッゾジョルノ、バルボラ・ボブローヴァ
『幸せのバランス』に続き、デ・マッテオ監督が選んだテーマは家族。売れっ子弁護士と献身的な小児科医の兄弟は、気質も生き方も対照的で、妻同士も争いが絶えない。しきたりに従って月に1回は高級レストランに集まる4人だが、ディナーの席でも会話はかみ合わな い。そんな二つの家族に重大な問題が起こり、難しい選択を迫られることになる。アレッサンドロ・ガスマン(『泣いたり笑ったり』、『憎むなかれ』)、ジョヴァンナ・メッゾジョルノ(『靴ひも』)、ルイージ・ロ・カーショ(『靴ひも』)、バルボラ・ボブローヴァの豪華キャストが円熟の演技を見せる。
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『レオパルディ』(2014年/137分)
監督:マリオ・マルトーネ
出演:エリオ・ジェルマーノ、イザベッラ・ラゴネーゼ、ミケーレ・リオンディーノ
マルトーネ監督の本作は前作『われわれは信じていた』と同じ19世紀を舞台に大詩人、ジャコモ・レオパルディの激しい人生をたどる。幼い頃から神童ぶりを発揮するジャコモだが、身体に障害があり厭世的で、詩人として不遇な人生を送ったとされる。だが映画は、自由と愛を希求し、いつまでも親友に支えられて幸せな時間を過ごした姿も色濃く映す。詩人役のエリオ・ジェルマーノ(『私は隠れてしまいたかった』、『悪の寓話』)が圧巻の演技を披露し、本作はイタリアで大ヒットした。撮影はレナート・ベルタ。ヴェネチア国際映画祭コンペ部門出品。
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『僕たちの大地』(2014年/100分)
監督:ジュリオ・マンフレドニア
出演:ステファノ・アッコルシ、セルジョ・ルビーニ
『人生、ここにあり!』が大きな感動を呼び起こしたジュリオ・マンフレドニア監督による本作は、協同組合に実際に起きた出来事を基にしたコメディー。 南イタリア、プーリアの小さな村では、マフィアから接収した土地で協同組合が有機農業を始めようとしていた。助けを請われて、反マフィア活動に取り組むフィリッポが協同組合に加わる。フィリッポと個性的な仲間たちの前に様々な問題が立ちはだかるが、乗り越えて目標に向かっていこうとする。マフィアの脅しに屈せず、自分たちの土地を守ろうとする人々の勇気が胸を打つ。
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『やがて来たる者へ』(2009年/117分)
監督:ジョルジョ・ディリッティ
出演:アルバ・ロルヴァケル、マヤ・サンサ
第二次世界大戦末期にボローニャ近郊のある山村で起こった虐殺について、一人の少女とその家族を物語の中心に据えて描いたジョルジョ・ディリッティ監督(『私は隠れてしまいたかった』)の長編第2作。貧しい農家の一人娘である8歳のマルティナは、弟を生まれたばかりに亡くし、それ以来誰とも話さなかった。1943年冬、ついに母は妊娠し、マルティナと家族は新しい子の誕生を待ち望む。だが、村やその周囲でパルチザンとドイツ軍の戦いは次第に激しさを増していった。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀作品賞を、ローマ国際映画祭で審査員賞と観客賞を受賞。
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『ローマの人々』(2003年/93分)
監督:エットレ・スコーラ
出演:ジョルジョ・コランジェリ、アントネッロ・ファッサーリ、ヴァレリオ・マスタンドレ
『特別な一日』の巨匠エットレ・スコーラが、“永遠の都”ローマに生きる普通の人々を追いかけた軽快な新作。バスの中のおかしな人々、浮浪者同士の喧嘩、ビンゴ会場の人々、 養老院の中、年老いた父親と夕食をレストランで共にする息子など、早朝から深夜までの20以上のエピソードが語られる。それらをつなぐのはオレンジ色のバス。ステファニア・ ンドレッリが実名で登場するほか、ナンニ・モレッティの集会演説のシーンなども挟み込まれている。
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『輝ける青春』(2003年/366分)
監督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
出演:ルイージ・ロ・カーショ、アレッシオ・ボーニ、アドリアーナ・アスティ、マヤ・サンサ、ジャズミン・トリンカ
『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』、『ペッピーノの百歩』のジョルダーナ監督が1960年代 から現代までのイタリアの一家族を描いた、6時間を越す叙事詩。イタリアでは『1900年』の続編と言われた。フィレンツェの大洪水、トリノの学生運動、赤い旅団のテロなどを背景に、4人の子供たちが歩むそれぞれの道をイタリア全土で撮影。ニコラ役のルイジ・ ロ・カーショ(『靴ひも』)が渾身の演技。母親役のアドリアーナ・アスティ(『革命前夜』) も懐かしい。2003年カンヌ映画祭批評家週間最優秀賞、欧州各地でヒットした。
<短編> ※会期延長!
『フィオーリ、フィオーリ、フィオーリ!』
監督:ルカ・グァダニーノ
新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの最中に、『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グ ァダニーノ監督が生まれ故郷のイタリア・シチリア島でスマートフォンやタブレットで撮影した短編ド キュメンタリー。監督は子供時代の友人たちを訪ね歩き、全世界が一つになったこの特別な日々 を彼らがどのように生き抜いているかを記録するとともに、監督自身のルーツを見いだそうとする。
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『 あなたの不幸はわたしの幸せ』
監督:シドニー・シビリア
出演:グレタ・スカラーノ、リーノ・グァンチャーレ
『いつだってやめられる』シリーズが日本でもスマッシュヒットしたシドニー・シビリア監督による抱腹絶倒の短編コメディー。1981年生まれの監督が属する若い世代の就職活動をめぐる厳しい状況から作品は生まれた。主人公は学歴や資格にもかかわらず、仕事を見つけるのに苦労している若者のフランチェスカとマルコ。数少ない職を得るために、2人はお互いに巧妙な手段でライバルを出し抜こうとする。
「イタリア映画祭2021」2部 6月17日(木)〜オンライン上映スタート!
▼オンライン上映
会期:2部(6月17日(木)〜7月18日(日))
主催:イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
特別後援:イタリア共和国大統領/後援:イタリア大使館/協賛:フェラガモ・ジャパン株式会社