映画『ひとくず』は、3 歳まで戸籍がなく、実の父親が母親に日常的に手をあげているのを見て育 った、「居場所のなさ」「弱者」を身をもって知っている監督・脚本・編集・プロデューサーの上西 雄大が、30 年以上児童相談所に勤務している児童精神科医師の楠部知子先生から「虐待してしま う大人もまた傷ついている」という実態を耳にし、傷ついた子供だけでなく、虐待をしてしまう大 人にも眼を向けてあげてほしいと制作した感動のエンターテイメント。
本作は、渋谷・ユーロスペースにて昨年 2020 年 3 月 14 日より公開され、満席でスタート。口コミ が広がり、新型コロナウィルスの感染拡大後も客足の激減はなく、元々2 週の予定だった上映期間 が延長されたが、4 月 7 日に緊急事態宣言が発令され上映が中断。緊急事態宣言後、関西は 10 月 16 日のテアトル梅田、関東は 10 月 31 日のシネ・リーブル池袋を始め、全国で上映され始めた。
噂が噂を呼び、大阪シアターセブンでは連日満席状態が続きで現在までに 28 週のロングランが続いており、全国各地でアンコール上映が行われ、上映館が拡大。コロナ禍においても右肩上がりの動員を見せており、上映館は増え続けている。山田洋次監督も賛辞を贈った本作が、本日 6 月 12 日(土)より渋谷ユーロスペースにて、再アンコール上映される。初日舞台挨拶では、本作監督・ 主演の上西雄大、出演者の古川藍、徳竹未夏、木下ほうかが登壇した。
2021年6月12日(土) 18:35~ 舞台挨拶開始(20 分程度)
会場:ユーロスペース 渋谷区円山町1-5KINOHAUS3F
登壇者:上西雄大(主演・監督・脚本)、古川藍、徳竹未夏、木下ほうか
昨年 3 月 12 日からここユーロスペースで上映が始まり、緊急事態宣言で上映が中断。その後 1 年以上かけ、全 国 56 の劇場で上映してきて、2 万人の動員を達成。そして、またここユーロスペースへの凱旋となった。 本日の思いを聞かれた監督・主演の上西雄大は、「当時は迫り来るコロナの恐怖の中、開けさせていただき、2 週間上映ののち緊急事態宣言で上映がストップしまして、その時は『これでおしまいかな』と絶望の淵に突き落とされました。まさか 1 年以上もロングランが続いて、動員 2 万人を超えるなんて、夢にも思わなかったので、 『ひとくず』は僕の手を離れて走り続けたと、胸がいっぱいです。」と感無量の様子。
木下ほうかは、今日の想いを聞かれ、「ついさっきまで長野県で撮影していて、新宿駅を降りて、スーツケース を持って歩いていたら、警察官2名がいて。『この時に視線を外したら職質が来る』というのを知っていたから、 長いこと見てまっすぐ歩いていたら、ばっときたんです。『ちょっと質問させてください』『急いでいます。すぐってスーツケース開けますよね?舞台挨拶がありますから、そこまでついてきてください。そうしたら応じます。』 と言って、舞台挨拶の説明をしたけれど、全然だめだったんです。かなり若い方の警官は、『あなた有名な方なんですか?』と言ってきて、『あなたが知らないなら僕は無名ですよ』と言ったんですが、先輩警察官が『どうぞ』と。芸能人は職質をやられると思ったら逃がしてくれたので、イメージが悪くなかったということがわかりました。無事間に合いました。ショックすぎて、まだドキドキしています」と最新エピソードを披露。
木下が、本作出演の経緯に関して、「ファミレスで初対面で口説かれて」と話すと、上西は、「感動して僕は泣いて、その時のレシートは額に入れています」と話した。木下は本作に関して、木下は、「大阪の十三と難波と合計 4 回も舞台挨拶に来ているんですが、あんまり出ていないんで気まずいんです。そのご褒美で、上西監督の新作『西成ゴローの 4 億円』に呼んでもらいまして。」と話した。上西が、「奥田瑛二さん、石橋蓮司さん、加藤雅也さん」と出演者を挙げると、木下は、「その方たちは皆『ひとくず』のファンで、新作に出ると言ったんですよ」と『ひとくず』から全てが広がっていることを強調。
上西 が 「『 西成ゴロー の 4 億円 』 の 前に撮った 7 月 1 0 日公開の赤井英和さんとダブル主演の 『 ねばぎば 新世界 』 の豪華出演者(菅田俊、有森也実、小沢仁志、西岡德馬)も、『ひとくず』を見て出演していただいたんです。 昭和の匂いがプンプンする映画を作りました。」と話すと、木下は、「大阪が舞台なのにもかかわらず、それは僕は出ていません。」と拗ねたような様子も。
木下が、「1 年以上も上映できてすごいですよね。T シャツを着てきてくれているお客さんもいる」と客席を見回すと、上西は、『ひとくず』で虐待される女の子・鞠役のコスプレをしている女の子を指差し、「暑いさなか、冬物のコートをご自分でご用意されているんです。」と指摘。徳竹によると、「小学校でも彼女が布教活動をしているんです。」とのこと。木下は、「『鬼滅の刃』とかのコスプレが流行ってるんでしょ?」とツッコむと、上西は、 すかさず、「『鬼滅の刃』と『ひとくず』とどっちが好きなんですか?」と質問。女の子は、「『ひとくず!』と答え、会場は笑いに包まれた。
大阪十三のシアターセブンでは 28 週のロングラン上映中。古川は、「今は緊急事態宣言中ということもあり、リモートで舞台挨拶をしているんですけれど、出られる時は私と(徳竹)未夏さんとでほぼ毎日登壇しています!」 と話した。
『ひとくず』を 2 度以上観ている方を”追いくずさま”と呼んでいる本作。上西が「追いくずさまはいらっしゃいますか?」と尋ねると、客席の半数位の方が手を挙げ、10 回以上も 5 人ほど。「14 回目」「27 回目」という方もいて、木下も、「何か表彰しようよ」と提案。
本作は、児童虐待・育児放棄を扱った映画。上西は「僕が児童相談所の嘱託医をされている楠部知子先生に取材をした時に、『虐待について知っていますか?』と投げかけられ、現実に起こっている虐待の問題を知りまして、 救いを求めて書いたお話です。(楠部先生に)『虐待の最大の抑止は社会が関心を持つことだ』と言われました。 一人でも多くの方がこの映画を見て、関心に繋がればと思います。まだまだ上映を走らせようと思いますので、 口コミの方よろしくお願いいたします。」と熱いメッセージを送り、舞台挨拶は終了した。
『ひとくず』予告
【STORY】
生まれてからずっと虐待される日々が続く少女・鞠。食べる物もなく、電気もガスも止められている家に置き去りにされた鞠のもとへ、犯罪を重ねる破綻者の男・金田が空巣に入る。 幼い頃に虐待を受けていた金田は、鞠の姿に、自分を重ね、社会からは外れた方法で彼女を救おうと動き出す。そして、鞠の母である凜の恋人から鞠が虐待を受けていることを知る。 虐待されつつも母親を愛する鞠。鞠が虐待されていると確信した担任教諭は、児童相談所職員を連 れてやって来るが、鞠は母の元を離れようとせず、保護する事ができずにいた。 金田は鞠を救うため虐待をする凜の恋人を殺してしまう。凜を力ずくで、母親にさせようとする金 田。しかし、凜もまた、虐待の過去を持ち、子供の愛し方が分からないでいた。そんな3人が不器用ながらも共に暮らし、「家族」の温かさを感じ本物の「家族」へと近付いていくが、、、
上西雄大 小南希良梨 古川藍 徳竹未夏
城明男 税所篤彦 川合敏之 椿鮒子 空田浩志
中里ひろみ 谷しげる 星川桂 美咲 西川莉子 中谷昌代 上村ゆきえ
工藤俊作 堀田眞三 飯島大介 田中要次 木下ほうか
監督・脚本・編集・プロデューサー:上西雄大
©YUDAI UENISHI
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