想田和弘監督最新作『精神 0(読み:せいしんゼロ)』がフランス西部の都市ナントにて開催された 「ナント三大陸映画祭」(2020.11/20~11/29)にて、グランプリである〔金の気球賞〕を受賞いたしました。ロックダウン中でオンライン開催となった本映画祭ですが、解除後には現地での上映も開催予定です。
また、この度の受賞を記念し、2021 年 1 月 9 日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて再上映が決定いたしました。
想田和弘監督、プロデューサーの柏木規与子さんの受賞コメントが到着しました。
受賞コメント
歴史ある映画祭で最高賞をいただき、驚くとともに大変光栄です。ナント三大陸映画祭には過去3度参加したことがありますが、スタッフや観客の熱烈な映画愛が感じられる、大好きな映画祭です。山本先生や芳子さんをはじめとした、映画に登場してくださった皆さんに、改めて感謝いたします。この賞が、日本でより多くの皆さんに「精神0」をご覧いただくきっかけになりますように。
想田和弘・柏木規与子
PROFILE
想田和弘(そうだかずひろ)
1970年栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒。93年からニューヨーク 在住。映画作家。台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・ 実践。 監督作品『選挙』(07)、『精神』(08)、『Peace』(10)、『演劇1』(12)、 『演劇2』(12)、『選挙2』(13)、 『牡蠣工場』(15)、『港町』(18)、『ザ・ビッグハウス』(18)。国際映画祭などでの受賞多数。著書に『精神病とモザ イク』(中央法規出版)、『なぜ僕はドキュ メンタリーを撮るのか』(講談社現代新書)、『演劇VS映画』(岩波書店)、 『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』(岩波ブックレット)、『熱狂なきファシズム』(河出書房新社)、『カメラを持て、町へ出よう』(集英社インターナショナル)、『観察する男』(ミシマ社)、『THE BIG HOUSE
アメリカを撮る』 (岩波書店)など。
INTRODUCTION
「こころの病」とともに生きる人々がおりなす悲喜こもごもを鮮烈に描いた『精神』から10年————
映画作家・想田和弘が、精神科医・山本昌知に再びカメラを向けた
ベルリン国際映画祭をはじめ世界で絶賛された『精神』(08年)の主人公の一人である山本昌知医師が、82歳にして突然「引退」することになった。山本のモットーは「病気ではなく人を看る」「本人の話に耳を傾ける」「人薬(ひとぐすり)」。様々な生きにくさを抱えた人々が孤独を感じることなく地域で暮らしていける方法を長年模索し続けてきた。彼を慕い、「生命線」のようにして生きてきた患者たちは戸惑いを隠せない。引退した山本を待っていたのは妻・芳子さんと二人の新しい生活だった...。精神医療に捧げた人生のその後を、深い慈しみと尊敬の念をもって描き出す。
病とは、老いとは、仕事とは、夫婦とは、
そして愛とは何か?
想田和弘監督自身が「期せずして“純愛映画”になった」と語る本作は、第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門<エキュメニカル審査員賞>を受賞。またニューヨーク近代美術館(MoMA) Doc Fortnight 2020の センターピースにての上映作品。『港町』『ザ・ビッグハウス』を経て、さらに深化した「観察映画」の最新作は、そう、愛の物語だ。
COMMETNS
素晴らしいドキュメンタリーでした。
愛おしく、やさしい気持ちになり、最後は泣きました。 『精神』からだいぶ時が流れたことも思い知らされ、人間は年をとるもんだし、人間はやっぱり穏やかでいるこ とが何よりだ、と。資本主義に埋もれた感性に、少しでもこの慈しみが沁みれば良いなあ。
――仲代達矢(俳優)
人と「距離を取らなければならない」いま。 人を否定せず、響き合うように生きる山本先生の在り方が、とても優しく愛おしく沁みてくる。 心まで距離を取る必要はないんだ。これからも。
――小出祐介 (Base Ball Bear)
想田和弘監督の"観察映画”最新作『精神0』
監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作:柏木規与子
製作会社:Laboratory X, Inc
配給:東風
2020年/日本・アメリカ/128分/カラー・モノクロ/DCP/英題:Zero