2020 年 10 月 31 日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開となります、台湾アカデミー賞こと金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞受賞した映画『私たちの青春、台湾』の初日舞台挨拶がポレポレ東中野にて開催されました。
以下、初日舞台挨拶レポートとなります。
≪映画『私たちの青春、台湾』初日舞台挨拶詳細≫
■日 時:10月31日(土)11:30回 ※上映後の舞台挨拶~
■場 所:ポレポレ東中野 東京都中野区東中野4-4-1ポレポレ坐ビル地下
■ゲスト:傅楡(フー・ユー 38歳/本作監督)、吉川龍生(よしかわ・たつお44歳/慶應義塾大学教授)
台北の傅楡監督はオンラインにて参加し、ポレポレ東中野の会場には本作の字幕を担当した吉川龍生先生(慶應義塾大学)が登壇されました。
台湾アカデミー賞こと金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞受賞した、『私たちの青春、台湾』10 月 31 日(土)よりポレ ポレ東中野にて公開となった。
2020 年はコロナ禍においてマスクマップを作成した、IQ180 の天才オードリー・タン (デジタル担当大臣)の活躍など、台湾に注目が集まった1年となった。台湾の民主化が前進したきっかけとなった、 2014 年ひまわり運動に参加していたオードリー・タンは「『私たちの青春、台湾』は、運動の過程での喪失や奮闘を真摯に記録しており、民主的な社会にとって最も意義のある教訓になっていると言っていい。」と、本作に絶賛コメントを寄せている。
本作の映画字幕と、傅楡監督の人生と台湾の民主化の歩みを書いた書籍「わたしの青春、台湾」(五月書房新社)の翻訳監修を担当した、慶應義塾大学教授の吉川龍生先生がポレポレ東中野に登壇した。台北からオンラインで参加した 傅楡監督とポレポレ東中野を繋ぎ、上映後に初日トークイベントが開催された。
吉川先生はまず映画の見せ場ともなっている、2014年3月18日のひまわり運動の立法院突入の瞬間に監督が立ち会えなかったことについてどう感じているかを問い、「本作の主人公のひとりでもある陳為廷がこの時を迎えるために自分はカメラをまわしていたのに、自分が立ち会えなかった事にはいまでも映画監督として反省している。」と傅楡監督は後悔の念をにじませた。
「監督自身が後半から主人公のひとりとして登場するのが本作の面白さ」と吉川先生が語ると、「主人公は陳為廷、蔡博芸の二人であったが、編集の段階で何かが足りないと感じ、それは自分自身であると気付いた。そしてその気付きは作品にとっても、自分自身にとっても重要なものになった」と監督が答えた。
2018年金馬奨授賞式で監督の傅楡が涙を流しながら、「いつか台湾が“真の独立した存在”として認められることが、台湾人として最大の願いだ」とスピーチをしたことは大きなニュースとなった。「映画を撮り終わったあと自分は高揚しており、なんだってできるようない大きなエネルギーに包まれていました。でもあれから様々なことがあり、今考えるとあの頃の自分はなにか焦ってしまっていたのかもしれません。その後、海外巡回上映などもあり、私自身はとても疲れてしまいました。いまはまだ新しい映画を作る気持ちにはなれませんが、私はドキュメンタリー制作会社に所属しており、同僚と一緒に台湾にとって重要なテーマとなる作品の企画を作っている所ではあります。」と、本作が監督自身にもたらした影響と現在の心境を語った。
日本公開に対し、「台湾、香港、中国に社会運動に関するドキュメンタリー映画ということにあり、日本の方にはどう受け止められるのかが気になっています。この作品は金馬奨授賞式でも話しましたが、「多くの人々はこの映画が政治を語っているだけのものだと思うでしょうが、実はそれよりもさらに広く、青春を論じて」います。是非日本でも多くの方にご覧頂き、感想をSNSでシェアして皆でそれを共有してほしいです。私もそうした感想を読みたいので、是非映画をご覧になってもっと台湾について知りたいと思った方は、私自身について語った「わたしの青春、台湾」(五月書房新社)も手にとって頂ければうれしいです。」と話し、大きな拍手とともに初日舞台挨拶は終了した。
ひまわり運動とは
2014年3月17日、国民党がサービス貿易協定をわずか30秒で強行採決した。翌18日、これに反対した学生たちが立法院(国会)に突入し、23日間にわたって占拠した。占拠直後から多くの台湾世論の支持を集め、与党側は審議のやり直しと、中台交渉を外部から監督する条例を制定する要求を受け入れた。議場に飾られたひまわりの花がシンボルとなり、この一連の抗議活動を「ひまわり運動」と呼ぶ。
ひまわり運動は一定の成果を残し、同年11月の統一地方選挙での国民党大敗を導き、台湾政治の地殻変動を引き起こした。翌年にはひまわり運動を起こした若者らが中心となり、政党・時代力量が設立された。ひまわり運動は、近年の台湾アイデンティティの興隆を象徴する出来事となったのである。
★以下、ポレポレ東中野トークイベント&ブックフェア情報★
■ポレポレ東中野『私たちの青春、台湾』トークイベント情報
・10/31(土)11:30 の回上映後オンライントーク<ネット中継>
傅楡(監督) × 吉川龍生(慶応義塾大学教授)
・11/1(日)11:30 の回上映後オンライントーク<ネット中継>
傅楡(監督) × 関根謙(慶応義塾大学名誉教授・三田文學編集長)
・11/7(土)11:30 の回上映後オンライントーク<ネット中継>
傅楡(監督)
・11/8(日)11:30 の回上映後オンライントーク<ネット中継>
傅楡(監督) × 吉川龍生(慶応義塾大学教授)
・11/15(日)11:30 回上映後トークイベント
<登壇> 赤松美和子(大妻女子大学准教授・SNET 台湾共同代表)
■映画『私たちの青春、台湾』公開&書籍「わたしの青春、台湾」発売記念ブックフェア
誠品生活日本橋
東京都中央区日本橋室町三丁目 2 番 1 号 COREDO 室町テラス 2 階/TEL:03-6225-2871
HP:http://www.eslitespectrum.jp/
※定休日:なし(ただし休館日あり、公式 HP でご確認ください)
※開催期間:10 月 20 日〜11 月 19 日
■映画『私たちの青春、台湾』公開&書籍「わたしの青春、台湾」発売記念ブックフェア&パネル展
東京堂書店神田神保町店
東京都千代田区神田神保町 1 丁目 17 番地/TEL:03-3291-5181
HP:http://www.tokyodo-web.co.jp/
※定休日は公式 HP でご確認ください。
※開催期間:10 月 16 日〜終了時期未定
■映画公開&書籍発売記念特別講座
「台湾の青春―いま問われる民主主義の意味」
講師:関根 謙(慶應義塾大学名誉教授/三田文學編集長)
「わたしの青春、台湾」を翻訳監修された関根謙さんが、その存在感がこれまでになく大きくなっている台湾の真の姿に迫ります。
日時:11/7(土) 15:30〜17:00
受講料:会員 3,300 円、一般 4,400 円(税込)
場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
東京都新宿区西新宿 2-6-1 新宿住友ビル 10F/TEL03-3344-1941
HP:%%https://www.asahiculture.jp/shinjuku%%{blue}
映画『私たちの青春、台湾 』予告編
■STORY
2011年、魅力的な二人の大学生と出会った。
台湾学生運動の中心人物・陳為廷(チェン・ウェイティン)、台湾の社会運動に参加する人気ブロガーの中 国人留学生・蔡博芸(ツァイ・ボーイー)。やがて為廷は林飛帆(リン・フェイファン)と共に立法院に突入し、 ひまわり運動のリーダーになった。“民主”が台湾でどのように行われているのか伝えたいと博芸が書いた ブログは、書籍化され大陸でも刊行される人気ぶりだ。
彼らが最前線に突き進むのを見ながら、「社会運動が世界を変えるかもしれない」という期待が、私の胸 いっぱいに広がっていた。
しかし彼らの運命はひまわり運動後、失速していく。
ひまわり運動を経て、立法院補欠選挙に出馬した為廷は過去のスキャンダルで撤退を表明。大学自治会 選に出馬した博芸は、国籍を理由に不当な扱いを受け、正当な選挙すら出来ずに敗北する。
それは監督の私が求めていた未来ではなかったが、その失意は私自身が自己と向き合うきっかけとな っていく——
監督:傅楡(フー・ユー) 出演:陳為廷(チェン・ウェイティン)、蔡博芸(ツァイ・ボーイー)
製作・出品:七日印象電影有限公司 7th Day Film
プロデューサー:洪廷儀(ホン・ティンイー)
主題歌:《我們深愛的青春Our Beloved Youth》詞/曲/演唱:楊彝安(ヤン・イーアン)
原題:我們的青春,在台灣-Our Youth In Taiwan
後援:台北経済文化代表処台湾文化センター
日本語字幕:吉川龍生 台湾語協力:劉怡臻
提供・配給・宣伝:太秦
©7th Day Film All rights reserved
2017|台湾|カラー|DCP|5.1ch|116分