映像作家・写真家として世界を股にかけて活躍する柿本ケンサクが、 新型コロナウイルス拡大による自主隔離中に立ち上げたリモート短編映画プロジェクト「+81FILM」が8月19日(水)18時より無料配信が開始されました。
**始まりは日本からの一本の電話――。
これまでに出会った“ご縁”を頼りに世界中のクリエイター達とリモートで短編を制作!
数々のCMやミュージックビデオを中心に活躍を広げ、2021年には林遣都と小松菜奈のW主演で話題の最新監督作『恋する寄生虫』が待機する映像作家・柿本ケンサクが発起人としてスタートした本企画。新型コロナウイルスの影響により日本だけでなく世界中の映像制作者も厳しい状況に置かれている今日。これまで写真家として世界各国を旅してきた柿本ケンサクが、新型コロナウイルスの自主隔離中に各地で知り合った映像作家に安否確認の連絡をとったことがきっかけとなり、“世界を繋ぐ”新たな映像プロジェクト「+81FILM」が始動。チリ、モンゴル、ロンドンの3都市を舞台に3本の短編映画をリモートで制作した。
3つの短編は、いずれも新型コロナウイルスが蔓延した世界が舞台となってお り、“WITH(ウィズ)コロナ時代”の各地のリアルな生活や現状が映し出される。柿本は3本の脚本を執筆し、共同監督という形ですべての作品の制作に参加。現地監督と各地のコロナウイルス流行状況を確認し、幾度もの話し合いを重ねた後に撮影が敢行された。
また各話の音楽も柿本ケンサク自ら交渉し、プロジェクトに賛同した豪華なアーティストが集結。
チリ編には細野晴臣、モンゴル編には半野喜弘、ロンドン編には大橋トリオと日本を代表する音楽家たちが異国の物語に色を添える。
美しい映像に息を呑む予告編とスタッフ全員からのコメントが到着!
全世界での同時配信に合わせ、映画の壮大な世界観が切り取られた予告編映像と全スタッフのコメントが到着。このプロジェクトが新しい映画制作の形を示したこと、また映像業界の再起に願いが込められた熱のこもったメッセージが寄せられた。
▼総合監督:柿本ケンサクコメント
日本人が使う「ご縁」の言葉は、出会い、機会、運命、繋がり、関係などを意味する。 僕 がこれまでの旅で出会い学びを得た人々や、風景は、かけがえのない体験となっている。 偶然の出会いであるようで、それは全て、導かれている出会いのように思える。 このよう な、想いをはかることも、言語ですら表現できないような不可思議な出会いや状況を経験 し、僕は感謝の気持ちと共に自然と「縁」という言葉の意味を感じるようになりました。
そこには、表面や結果だけにとらわれるのではなく、背景にある目には見えないものを 観るという、 日本の精神文化の深さからある言葉のようにも感じます。世界の言葉に、日 本語の「縁」に匹敵する表現があるか分かりませんが、 世界共通言語である英語にはも しかすると、 このような不可思議な働きかけを表現する言葉が存在しないのかもしれま せん。
本企画では、世界中の「縁」で繋がっている人々と力を合わせ、各国のチームと日本でリモートでショートフィルムを制 作しました。 登場する全ての人物が、家族が運命に導かれているものであり、 かけがえのない、繋がりを感じるフィルム となっています。
総合監督:柿本ケンサクプロフィール
映像作家・写真家。映画、CM、ミュージックビデオを中心に、演出家、映像作家、撮影監督として多くの映像作品を手がける。映画監督としては、窪塚洋介を主演に迎え全編パリで撮影した『UGLY』(2011)、ドキュメンタリー作品 『LIGHT UP NIPPON』(2012)等を手掛ける。2016年1月、代官山ヒルサイドフォーラムにて写真展『TRANSLATOR』展を開催。同年11月、ART PHOTO TOKYOに参加。映像、写真という境界を越えた活動を広げている。2016年ACCグランプリ他、Cannes Lions International Festival of Creativity、One Show Design、London International Awards、New York Festivals、AD STARS、Spikes Asia、ADFEST、THE Adobe WW Sales Conference Film Festivalなどで数々の賞を受賞。日本のみならず欧米、アジアへと活動範囲を広げている。2021年には林遣都と小 松菜奈W主演の『恋する寄生虫』が公開予定。
チリ編 (作品タイトル:『Gravity』)
▼監督:ガブリエル・ディアス(Gabriel Díaz)
コメント
このプロジェクトに参加できてとても嬉しく、そして誇りに思います。 私たちの業界はコロナウイルスの打撃をかなり受けており、ケンサクが立ち上げたこのような取り組みは、映画制作を再起させるために非常に重要だと思います。3本の短編映画はどれも、多様性を感じられるシナリオとドラマチックなストーリー の組み合わせになっており、素晴らしい作品が完成しました。映画は多くの人と 協力して作るものです。それぞれの分野から多くの才能を集め完成させる映画制作において、昨今の社会的距離は大 きな障害になっています。世界中のフィルムメーカーたちはこの状況下において自宅で短編を撮影したりとエネルギッシ ュに活動していますが、その多くに私はどこか違和感を感じます。やはり映画は多くの人の協力があってはじめて、心を動かすストーリーや素晴らしいキャラクターが生まれてくるものだと思うからです。新型コロナウイルスが早く終息するこ とを心から祈っています。人類には健康と自由に動き回れることが必要なだけではなく、映画を必要としているのだか ら!
監督:ガブリエル・ディアス(Gabriel Díaz)プロフィール
チリを拠点とするTVドラマおよび広告のディレクター、撮影監督、エディターとして活躍。初期の監督作品として、2008年のドキュメンタリーTVシリーズ「Humanos en el Camino」、2009年のフィクションTVシリーズ 「Karma」が挙げられる。2016年には、NETFLIXの人気テレビシリーズ「Bala Loca」で共同監督を務め、2019年にはアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の脚本に携わったアルマンド・ボーによるアマゾンオリジナルドラマ「El Presidente」の2つのエピソードを監督した。フィクションやドキュメンタリーを含む幅広い分野を得意としている。
▼音楽:細野晴臣コメント
10分に満たない短編に絶望の重力が集約されている。でも必死に希望を手繰り寄せるのだ。
『Gravity』 (チリ) ストーリー
咳に苦しむ息子を病院へ連れていくため、猛スピードで車をとばす夫婦。その時、車は数十匹の家畜の群れに思い切り突っ込む。危機一髪でなんとか無事だ った夫婦の目に飛び込んできたのは――。
モンゴル編 (作品タイトル:『Snowdrop Flower』)
▼監督:バット・アムグラン(Bat-Amgalan Lkhagvajav) コメント
まずはこのプロジェクトに参加できて本当に光栄です。新型コロナウイルスのパンデミックが 起きた頃、この出来事に関連する何かを作るべきだと考えていました。そんな時にケンサクに 声をかけてもらい、プロデューサーたちと繋がることができました。制作の間、私たちは皆それ ぞれに新しい可能性を感じ、この状況下においての困難を乗り越えることができました。一映 画関係者として、この危機に直面している世界中の人々に共感してもらえるようなメッセージ が込められた作品を発表できることを、とても誇らしく思います。このプロジェクトは世界中の 映画制作者がリモートでコラボレーションできることを証明しました。これまで映画を作るプロ セスには多くの時間が費やされてきましたが、このパンデミックの最中に制作された作品の多 くは、映画の完成から視聴者に届くまでの時間が驚くほどに短縮されています。この新しい様 式はおそらく今後も残ることでしょう。現在は映画業界にとっても大変困難な時ですが、新た な時代が動き始めようとしている時でもあります。私たちはこの進化に続かなくてはなりません。
監督:バット・アムグラン(Bat-Amgalan Lkhagvajav) プロフィール
モンゴルの制作会社Media Crackersのディレクター、プロデューサーとして活動し、また作家としての顔を持つ。2002年にテレビと広告の仕事をスタートし、BBC、National Geographic Channel、Discovery、NHK、Clemenger BBDO、The Smalls、CNA、UNICEF、World Bankなど、数多くのグローバル企業の作品を手が ける。2016年に手掛けた「The Wonderful Flight」が、ロンドン映画祭の"The Smalls"部門の ベストドラマ賞受 賞。同年、ロンドン国際短編映画祭、東京国際映画祭「ShortShorts」で公式セレクションに選抜。直近では、モンゴル映画の人気シリーズの4作目で最終となった『シングルレディース4』を監督し、『ASURI』と題し てグローバルに公開される予定。
▼音楽:半野喜弘コメント
柿本ケンサク君と共に『UGLY』という映画をパリで撮影したのは、ちょうど東日本大震災の時だった。それから世界は大きく変化し、今も変化し続けている。しかし、この映画の舞台であるモンゴルの平原で生きる人々の姿には、人間が抱えた普遍的な痛みが明確な物語として存在している。生きるための痛み・・・、それは私たちが正常である為に必要なも のなのである。
『Snowdrop Flower』 (モンゴル) ストーリー
モンゴルの平野で幸せに暮らす一家。ある日、母がひどい咳と高熱に倒れるも、村には携帯の電波も届かず医者を呼ぶことすらできない。「スノードロップという 花を食べた羊の肉を食べれば病が治る」と祖母に教えられた少年は家畜の羊を 殺すことを決意するが――。
ロンドン編 (作品タイトル:『Silence』)
▼監督:ティージェー・オーグラディー・ペイトン(TJ O'Grady Peyton) コメント
このプロジェクトに参加できたことは、一生忘れられない素晴らしい経験となりました。新 型コロナウイルスによって町がロックダウンした時には映像制作の未来は閉ざされたと感 じていました。そんな時、ケンサクから連絡をもらい、このユニークな状況を反映したアー ト作品の一部になれることをとても嬉しく思いました。ロンドンの映画業界もその他の国と 同じように新型コロナウイルスの打撃を受けていますが、私たちはこの状況から手探りで 新しいことを学んでいかなくてはなりません。ウイルスがこれほどまで長い期間に渡って影 響を及ぼすとは誰が予想したでしょうか。でも私は常に楽観主義者として工夫を持って過 ごしていきたいと考えています。映画業界も世界も、これから確実に変化していき、今までのやり方では通用しなくなる でしょう。しかし、私たちは変化に適応し創造し続けることができる。信頼できるコミュニティやチームがいれば、物事はず っと楽になるはずだと思うので、楽しむことを忘れずにこれからも映像制作を続けていきたいと思います。
監督:ティージェー・オーグラディー・ペイトン(TJ O'Grady Peyton) プロフィール
ロンドンフィルムスクールの映画学科を卒業後、アディダスのプロモーション映像「スーパー」で2013年にカンヌのヤングディレクター賞の候補者に選ばれ、映像業界で初めて認知された。その後、アシックス、ゴアテックス、フォルクスワー ゲン、ゲータレード、ディーゼル、グッドイヤー、BMWなど世界中でさまざまな映像を制作。
TJ本人が主演と共同監督を務めた2018年の短編映画「Wave」が、アイルランドフィルムテレビ賞のベストショート 賞を受賞、The New Yorkerに取り上げられた。2019年には、フランスのアカデミー賞と称されるセザール賞を主宰 する、フランス映画芸術技術アカデミーの短編映画祭「Les Nuits en Or 2019」に参加し、世界各国の30名のフィ ルムメーカーと共に、各国の最優秀短編映画賞を受賞した経験を持つ。
▼音楽:大橋トリオコメント
カッキーとの記憶は辿ればきりがない。ありきたりだけど、戦友でありライバルとも思っているが奴は常に10歩先を全力ダッシュし続けている。追いつくつもりはないけど追いつけない。
混沌の中にも希望を見出した者勝ち。こんな時代だからこそさあ踊ろう。
『Silence』 (ロンドン) ストーリー
マスクをつけた人々が行き交う街をふらふらと歩く青年。ある日、青年は廃墟でバレエを踊る少女を見つける。彼女の踊る姿が忘れられない青年は、密かにバレエの練習をはじめる――。
『+81FILM 』予告
プロジェクト名:「+81FILM」
8月19日(水)18時~、
「+81FILM」公式サイト&YouTubeチャンネルにて全世界同時配信開始。
公式サイト:http://plus81film.com/
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCN9WRQbGmc-upaToUC2SLew
・監督:柿本ケンサク、ガブリエル・ディアス、バット・アムグラン、ティージェー・オーグラディー・ペイトン
・音楽:細野晴臣、半野喜弘、大橋トリオ
・プロデューサー:中村友香