2012年に映画ファンを熱狂させた特集上映「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ」で上映された5作品(『アメリカの影』『フェイシズ』『こわれゆく女』『チャイニーズ・ブッ キーを殺した男』『オープイング・ナイト』)の国内上映権の終了間近に伴い、“日本最終上映”の 開催が決定!8
月14日(金)よりアップリンク渋谷、8月28日(金)よりアップリンク吉祥寺、アッ プリンク京都の3
館にて開催されます。

画像: 日本最終上映!“インディペンデント映画の父”と呼ばれ、後世の映画監督たちに大きな影響を与え続けたジョン・カサヴェテスの代表作5本を一挙に上映!

ジョン・カサヴェテスは「インディペンデント映画の父」と称され、ジャン=リュック・ゴダールやマーティン・スコセッシ、ヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュといった世界の巨匠たちから敬愛された唯一無二の映画監督。ハリウッドの商業主義に対抗し、公私ともに最良のパートナーである女優ジーナ・ローランズや信頼できる仲間たちと「自分の撮りたいものを撮る」という信念のもと、自身の俳優活動で得た収入を注ぎ込んで映画を製作し、インディペンテント映画の可能性を知らしめた。 さらに、マンブルコア界のミューズと言われ、現在公開中の『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』を監督したグレタ・ガーウィグやヤン・イクチュン、濱口竜介など目覚ましい活躍をする世界中の若手監督たちにも絶大なる影響を与えている。

今回の日本最終上映では、1989年に59歳で逝去したカサヴェテスが世に残した監督作品11本の中から代表作5本を一挙に上映。マンハッタンで暮らす若者たちのありのままの姿をシナリオなしの即興演出で作り上げ、世界を驚かせた監督デビ ュー作『アメリカの影』(59)、中流アメリカ人夫婦の破綻した関係が崩壊へと至るまでの36時間を描き、ヴェネツィア国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した『フェイシズ』(68)、壊れかけた家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描き、アカデミー賞主演女優賞、監督賞にノミネートしたカサヴェテスの代表作の一つである『こわれゆく女』(74)、フィルム・ノワールの雰囲気が漂う異色のサスペンス『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』(76)、そして、有名女優の舞台前の極限の緊張を描き、 ジーナ・ローランズがベルリン国際映画祭主演女優賞を受賞した『オープニング・ナイト』(77)の珠玉の名作をラインナップ。

2012年の特集上映では、5週間のロングラン上映で週を重ねるごとに口コミが広がり、映画ファンだけでなく10代~20代のファッションやカルチャー好きな若い女性やカップルなどもこぞって来場。最終日では満席・立ち見の上映となった。 また今は閉館してしまった吉祥寺バウスシアターでのアンコール上映や俳優の村上淳や渡辺真起子などをゲストに呼んだイベントも急きょ開催。そして脚本家で俳優の宮藤官九郎が連載中の週刊文春にて『こわれゆく女』を紹介し話題となった。

ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ 予告
アメリカの影|フェイシズ|こわれゆく女|チャイニーズ・ブッキーを殺した男|オープニング・ナイト

画像: 「インディペンデント映画の父」-『ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ』日本最終上映予告 youtu.be

「インディペンデント映画の父」-『ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ』日本最終上映予告

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普遍的な「愛」をテーマに、人間の内面に潜む「孤独」や「狂気」をすくいあげ、人間の真の姿を追求し続けたカサヴェテス。実験的な演出によって生み出される俳優たちのありのままの姿は、台詞に出さずともその心の痛みが聞こえるほどに 生々しく、観る者の感情を大きく揺さぶる。「他の人がおかしいと思うような人に心を寄せていた」と生前語った通り、カサヴェテスの作品に通じるのは、社会のはみ出し者のような不器用な人々を、あたたかく、そして深く見つめる眼差しだ。孤高の映画作家のスピリットは、今なお鮮烈な衝撃をもって受け入れられるだろう。

なお、本特集で上映する5作品は日本国内での上映権が終了するため、スクリーンでの上映は今回が最後のチャンスとなる

【上映作品】

『アメリカの影』SHADOWS

画像: (c)1958 Gena Enterprises.

(c)1958 Gena Enterprises.

マンハッタンに暮らす若者たちのありのままの姿を描いた、カサヴェテスのデビュー作にして、後の映像作家たちに大きな影響を与えたインディペンデント映画の金字塔。シナリオなしの即興演出で、俳優たちの揺れ動く感情を見事に捉え、映画の新たな方向性を確立した。大のジャズ好きだったカサヴェテスが依頼したチャールズ・ミンガスの即興演奏もスタイリッシュで魅力的。

1959年/アメリカ/82分/モノクロ/スタンダード
脚本:ジョン・カサヴェテス
音楽:チャールズ・ミンガス
出演:ベン・カラザース、レリア・ゴルドーニ、ヒュー・ハード
(c)1958 Gena Enterprises.

『フェイシズ』FACES

画像: (c)1968 JOHN CASSAVETES

(c)1968 JOHN CASSAVETES

関係の破綻した中流アメリカ人夫婦の36時間を描く。男女の愛の葛藤を描いたカサヴェテス一連の作品の原点。 自宅を抵当に入れて撮影した監督第2作。アカデミー賞3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネートという成果を挙げ、ハリウッドにその存在を認知させた革命的傑作。ヴェネツィア国際映画祭最優秀主演男優賞、最優秀監督賞。
1968年/アメリカ/130分/モノクロ/ヴィスタ

監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:アル・ルーバン
出演:ジョン・マーレイ、ジーナ・ローランズ、シーモア・カッセル
(c)1968 JOHN CASSAVETES

『こわれゆく女』A WOMAN UNDER THE INFLUENCE

画像: (c)1974 Faces International Films,Inc.

(c)1974 Faces International Films,Inc.

精神のバランスを崩した妻と、土木工事の現場監督を務める夫。壊れかけそうな家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描いたカサヴェテスの代表作の一つ。脚本はジーナ・ローランズ主演の戯曲として執筆。ゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞。アカデミー賞主演女優賞、監督賞ノミネート。
1974年/アメリカ/147分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
製作:サム・ショウ
出演:ジーナ・ローランズ、ピーター・フォーク、マシュー・カッセル
(c)1974 Faces International Films,Inc.

『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』THE KILLING OF A CHINESE BOOKIE

画像: (c)1976 Faces Distribution Corporation.

(c)1976 Faces Distribution Corporation.

暗黒街のマフィア、ストリッパー、ナイトクラブ、犯罪。
フィルム・ノワール的なテーマを持つカサヴェテス作品の中でも特異な1本。カサヴェテス映画の要の役者であり、公私ともに盟友のベン・ギャザラが、巨額の借金を背負いこみ事件に巻き込まれていく場末のクラブのオーナー、コズモを見事に演じ、圧倒的な存在感を示す。
1976年/アメリカ/135分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:フレデリック・エルムス
出演:ベン・ギャザラ、ミード・ロバーツ、ティモシー・アゴリア・ケリー
(c)1976 Faces Distribution Corporation.

『オープニング・ナイト』OPENING NIGHT

画像: (c)1977 Faces Distribution Corporation

(c)1977 Faces Distribution Corporation

一人の有名舞台女優を通して、人が〝老い′′を自覚し始めた時に感じる焦燥や不安を描いた作品。
ベルリン国際映画祭で主 演女優賞を受賞したジーナ・ローランズの演技は必見。カサヴェテス作品の中で本作が唯一「夫婦役」として共演している。
1977年/アメリカ/144分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:アル・ルーバン
出演:ジーナ・ローランズ、ジョン・カサヴェテス、ベン・ギャザラ
(c)1977 Faces Distribution Corporation

画像: ジョン・カサヴェテス

ジョン・カサヴェテス

ジョン・カサヴェテス
1929年12月9日、アメリカのニューヨークで生まれる。 妻は女優のジーナ・ローランズで、長男のニック・カサヴェテスと次女のゾエ・カサヴェテスは映画監督として活躍。 テレビや映画で俳優としてのキャリアを積んだ後、出演したラジオ番組中の呼びかけで集まった資金を元手に製作した 『アメリカの影』(1959)で監督デビュー。1968年、第2作の『フェイシズ』でアカデミー賞3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネート。1974年の『こわれゆく女』ではジーナ・ローランズがゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞、アカデミー賞主演女優賞、監督賞にノミネートされる。1977年の『オープニング・ナイト』では ベルリン国際映画祭でジーナ・ローランズが主演女優賞に輝き、1984年の『ラヴ・ストリームス』では同映画祭で金熊賞を受賞している。自らが俳優として得たギャラを製作費として注ぎ込みながら、素人とプロの俳優を共演させるなど、大手スタジオの介入がない自主製作による映画作りを信念とし、独自の映画世界を切り開いた。“インディペンデ ント映画の父”と呼ばれ、後世の映画監督たちに大きな影響を与えると存在になる。
1989年2月3日、肝硬変のためロサンゼルスの病院にて59歳で他界。

8 月 14 日(金)~アップリンク渋谷ほか 2 館にて日本最終上映

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