作家・又吉直樹が芥川賞受賞作品となった「火花」より前に書き始めていた、作家の原点とも言える恋愛小説『劇場』。公開延期となっておりました本作が、吉本興業の配給により7月17日(金)に全国のミニシアターを中心とした劇場公開が決定いたしました。また、同日にAmazon Prime Video
(以下Prime Video)にて全世界独占配信も開始されます。
実写邦画が劇場公開と同時に定額制動画配信サービス上で配信されることは、日本のPrime Videoで初の試みとなります。
“恋愛がわからないからこそ、書きたかった”と又吉が語る自身2作目の小説は、演劇の世界で夢を追う主人公・永田と、彼に恋をして必死に支えようとする沙希の、生涯忘れることができない恋を描いた恋愛小説。
監督を務めるのは、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)『ナラタージュ』(17)等、時代ごとに新たな恋愛映画のマスターピースを贈り続けてきた行定勲監督。恋愛における幸せと背中合わせのどうしようもない葛藤や矛盾を真っ向から描いており、令和の時代に新たな恋愛映画の傑作の誕生を感じさせています。
主演を務めるのは、興行収入57億円を突破した『キングダム』の大ヒットの記憶に新しい、今最も輝く俳優、山﨑賢人。演劇に身も心も捧げながら、実生活では社会や周囲の人々とうまく協調できない不器用な青年・永田を、撮影前に何度も監督とエチュードを重ね役を作り上げたという山﨑は、これまでに見たことのない表情で挑んでいます。
ヒロインを務めるのは、『万引き家族』(18)で世界に認められた若き実力派女優、松岡茉優。葛藤や迷いを抱えながらも、純粋に彼を愛そうとする健気な沙希を、儚くも愛しく演じています。
更に『下忍GENIN 赤い影 青い影』(19)で主演を務めた寛一郎、「全裸監督」(19)、「映像研には手を出すな!」(20)など話題作への出演が続き、2019年度ギャラクシー賞テレビ部門個人賞に輝いた伊藤沙莉、「あなたの番です」(2019)での刑事役で話題となった浅香航大、そして昨年紅白出場も果たした人気バンド「King Gnu」のボーカル井口理ら、多才な顔ぶれが集結しています。
行定勲監督コメント
私が監督した映画『劇場』が7/17に公開されることとなりました。当初より規模は縮小されますが、ユーロスペースをはじめ全国20館のミニシアターを中心に公開します。それと同日に、Amazon Prime Videoにて全世界への配信が開始されます。
本作は公開直前に緊急事態宣言が出され延期を余儀なくされました。その後、延期を決めたものの思い通りの再公開の状況が作れないという問題に直面していたところに、Amazonから声をかけて頂きました。しかも公開と配信を同時にという私の希望を叶える形で。これはコロナ禍において私の作った映画がより観客に届くことを最優先させた結果です。
是非、渾身の想いでつくった映画『劇場』を映画館で、そしてご自宅で、皆様に観ていただきたいです。私たちスタッフ、キャスト一同の映画への想いが詰まった作品です。観客の皆様の心に響くことを信じております。何卒、よろしくお願い致します。
原作者:又吉直樹コメント
映画『劇場』ようやく皆さんに観ていただけるようで嬉しく思います。
『劇場』は題名の通り、劇場を表現の場として演劇に青春を捧げる若者の物語であると同時に、小さな部屋を舞台とした恋人との日常の物語でもあります。
『劇場』も『部屋』も自分にとって、あらゆるものが剥きだしになる特別な場所です。
映画館でご覧いただきたいのはもちろんですが、皆さんの日常に近い場所でも、この映画がどのように響くのかとても楽しみです。私は原作を書いただけで、直接映画の制作には関わっていませんが、本当に素晴らしい作品になっていて、行定監督や俳優陣の皆さんに感謝しています。自信を持って、おすすめします。
ポン・ジュノ(映画監督)からの絶賛コメント
「劇場」は個人的に親しい韓国の演劇人夫婦の実話を、そして私自身の助監督時代を回想させる作品でした。そのような意味でより一層面白く感じられる映画でした。
薄氷の上を一緒に歩いているかのような心もとない愛の物語、そんな愛だからこそより切ない物語、しかし最後まで壊れることのない愛の物語だと思います。一方で、この作品は成長と克服に関する物語でもあると思います。はてしなく長く、終わりの見えないある時期を乗り越えていく物語ですが、青春期の男女の感情の繊細な調律師である行定監督ならではの熟練した、老練な腕前(力量)を再確認させてくれる作品でした。
映画の様々な場面が印象に残っていますが、特に回り続けるスクーターのシーンは忘れられません。同じコースをぐるぐる回るスクーターと、それに合わせてヒロインの沙希の表情が変わっていく様は本当に素晴らしかったです。男女の関係を一つのシーンに明確に圧縮した、まさにシネマティックな名場面だと思います。また夜通しサッカーゲームをした後、沙希が朝出勤していくシークエンスも名場面でした。そして、一緒に荷造りをする場面は、なぜふたりのアパートが角部屋で窓が二つなのか、その理由を如実にみせてくれる素晴らしい場面だと思います。二つの窓のカーテンが開かれ、日差しが降り注ぐ瞬間がとても印象的でした。
山﨑賢人さんは不確かな天才から醸し出される不安感、不確かな天才に向けて沸き起こる憐憫、そのすべてを可能にしました。松岡茉優さんは天使の安らぎと、反対に天使からもたらせる息苦しさの両面を見事に表現していたと思います。
ストーリーの90パーセント以上を主人公の男女が引っ張っていく作品ですが、二人の俳優の演技が素晴らしく、本当によかったです。この作品はまさに行定監督にしか作り得ない、長くも繊細な愛の物語であるという点で非常に印象深かったです。またこの映画は、クリエイターあるいは芸術家が抱く不安や苦痛、偏狭さや卑怯な一面をリアルに描いており、その否定的な感情を乗り越え、成長に導いていく自己省察と忍耐までも描かれています。それは同じ作り手という立場にとって、一層胸に迫るものでした。 ありがとうございました。
映画『劇場』予告
STORY
夢を叶えることが、君を幸せにすることだと思ってた—
演劇を通して世界に立ち向かう永田と、彼を支えたいと願う沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った。
高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山﨑)。しかし、前衛的な作風は上演ごとに酷評され、客足も伸びず、劇団員も永田を見放してしまう。解散状態の劇団という現実と、演劇に対する理想。そのはざまで悩む永田は、言いようのない孤独を感じていた。そんなある日、永田は街で、自分と同じスニーカーを履いている沙希(松岡)を見かけ声をかける。女優になる夢を抱き上京し、服飾の学校に通っている学生・沙希と永田の恋はこうして始まった。お金のない永田は沙希の部屋に転がり込み、ふたりは一緒に住み始める。沙希は自分の夢を重ねるように永田を応援し続け、永田もまた自分を理解し支えてくれる沙希を大切に思いつつも、理想と現実と間を埋めるようにますます演劇に没頭していき―。
『劇場』
山﨑賢人 松岡茉優
寛 一 郎 伊藤沙莉
上川周作 大友 律 / 井口 理(King Gnu) 三浦誠己 浅香航大
原作:「劇場」又吉直樹 著(新潮文庫)
監督:行定勲
脚本:蓬莱竜太 音楽:曽我部恵一
配給:吉本興業
公式サイト:https://gekijyo-movie.com
公式twitter・Instagram:@gekijyo_movie
Amazon Prime Video作品ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/B08BJDP37F
©2020「劇場」製作委員会