1983 年、それまでジャンル映画が存在しなかったオーストリアで突然変異のように誕生した、あまりにも”異常“かつ、あまりにも”危険”な傑作映画『アングスト/不安』が 37 年の時を経て、7 月 3 日(金)より日本劇場初公開される。

刑務所出所後の殺人鬼=狂人が感じる不安やプレッシャーによる異様な行動と心理状態を凶暴かつ冷酷非情なタッチと斬新なカメラワークを用いて表現。狂人自身のモノローグで綴る構造や全編に徹底された陰鬱なトーンなど、作品自体が”異常“であり、他に類を見ない芸術性を発揮した衝撃的作品。

画像: ©1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

©1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

しかし、83 年公開当時はそのショッキングすぎる凄まじい内容により本国オーストリアでは 1 週間で上映打ち切り、他ヨーロッパでも上映禁止、イギリスとドイツではビデオの発売も禁止。アメリカでは XXX 指定を受けて配給会社が逃げたという。日本でも劇場公開されず『鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜』というタイトルで 1988 年にレンタル用 VHS が発売されたが、世の中に出回った数は極少、ほぼ誰にも観られることなく地下に埋もれ、以降観たくても観れない作品となり現在に至る。

この度、本作の大ファンであることを公言しており、『カルネ』(94)や『CLIMAX クライマックス』(18)など、自身の作品で本作へのオマージュを捧げているギャスパー・ノエより、これまでの映画製作において強烈な影響を受けたという『アングスト/不安』の魅力と、これから劇場で鑑賞する日本人へ向けたメッセージ動画が到着。

画像: ギャスパー・ノエ監督

ギャスパー・ノエ監督

自身の作品でないにもかかわらずここまで語り、日本初公開のためだけにメッセージを寄せるという異例の事態だ。公開当時、あまりにもサイコティックな内容にフランスでも上映が禁止され、後に発売された VHSも極わずかしか出回っていない中、“今までに 60 回は観た”と驚きの発言。当時からこの作品に打ちのめされた 1 人だ。さらに、世界各国で上映が禁止されたことにより、「この映画は観た人がほとんどいない、全く無名の作品であることもこの映画の魅力だ」と語り、「常に素晴らしい作品が影を潜めていて、再評価されるべきものがある。」と本作が再び日の目を浴びることに、喜びと期待をあらわにした。ちなみにノエが過去に人生ベスト 5 にピックアップした映画は、『アルゴ探検隊の大冒険』(63)、『2001 年宇宙の旅』(68)、『イレイザーヘッド』(76)、『ソドムの市』(75)、そして『アングスト/不安』だ。

また、ノエは注目すべきシーンとして、斬新なカメラワークを挙げ、「見事なテクニックと映像の捉え方は絶対に観てほしいところだ。映画史上最も重要なカメラワークと言えるだろう」と撮影を担当した世界的な映像作家ズビグニェフ・リプチンスキの撮影技術を絶賛。アカデミー賞最優秀短編アニメ賞を受賞した『タンゴ』(81)やジョン・レノン、ミック・ジャガーの MV で知られる彼の独特なカメラ表現は、ノエの他『ブラック・スワン』(10)の監督ダーレン・アロノフスキーにも影響を与えるなど、スリラー映画におけるカメラワークの根幹を築いたともいえる。ドローン撮影などない時代に、一体どこから撮影したのかと思うほどの高度なショットや俳優の体にカメラを取り付ける撮影手法は、主人公の感じる不安や焦燥を観る者にも感じさせ、そのリアルな表現と芸術性の高さに世界中の映画監督らを虜にした。

画像1: メイキング写真 ©1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

メイキング写真
©1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

画像2: メイキング写真 ©1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

メイキング写真
©1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

公開から 37 年経った現在でも、世界で再上映された例は少なく、この度の日本劇場公開はかなりレア。すでに配給会社にクレームが入るなど、とにかく残虐な殺人鬼映画では?と噂される本作であるが、これから劇場で鑑賞する日本人へ、ノエは「暴力行為を目の当たりにする一方で、加害者(=主人公)からの被害を耳にする。とても複雑で魅力的な映画だ」と単なる殺人鬼映画ではないことを主張した。また日本独自のチラシのデザインについて「素晴らしい!」と絶賛、「遂にこの映画史上に残るマスターピースが日本で公開されることを知りとても嬉しく思う」と語った。

『アングスト/不安』ファン代表ギャスパー・ノエから異例のメッセージ

画像: 『アングスト/不安』ファン代表ギャスパー・ノエから異例のメッセージ youtu.be

『アングスト/不安』ファン代表ギャスパー・ノエから異例のメッセージ

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※本作は、1980 年にオーストリアで実際に起こった事件を描いております。当時の司法制度では裁ききれなかった為に発生した事象であり、本映画をきっかけとして以降大き く制度が変わりました。劇中、倫理的に許容しがたい設定、描写が含まれておりますが、すべて事実に基づいたものであります。本作は娯楽を趣旨としたホラー映画ではありませ ん。特殊な撮影手法と奇抜な演出は観る者に取り返しのつかない心的外傷をおよぼす危険性があるため、この手の作品を好まない方、心臓の弱い方はご遠慮下さいますよう お願い致します。またご鑑賞の際には自己責任において覚悟して劇場にご来場下さい。

世界各国で上映禁止!
『アングスト/不安』予告

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世界各国で上映禁止!R15+でいいのか!?『アングスト/不安』予告

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【ストーリー】
 刑務所を出所した狂人が、とたんに見境のない行動に出る。

監督:ジェラルド・カーグル  
撮影・編集:ズビグニェフ・リプチンスキ  
音楽:クラウス・シュルツ

出演:アーウィン・レダー、シルヴィア・ラベンレイター、エディット・ロゼット、ルドルフ・ゲッツ

1983年/オーストリア/87分/カラー/ビスタ/R15+

原題:ANGST(不安)/英題:FEAR(恐怖)/仏題:SCHIZOPHERENIA(統合失調症)/日本VHS発売時題:鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜

提供:キングレコード
配給・宣伝:アンプラグド

7月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開

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