『博士の異常な愛情』、『時計じかけのオレンジ』、『バリー・リンドン』、『シャイニング』、『フルメタル・ジャケット』……巨匠スタンリー・キューブリック監督が映画界に残した功績は計り知れません。それゆえに、今までも数年ごとに、彼の伝説的なさまざまな側面を探求する、スタンリー・キューブリックのドキュメンタリー映画が公開されてきました。
1980年に発表したホラー「シャイニング」を検証する『ROOM 237』、献身的に、キューブリックに寄り添い映画を手助けした男から見た『キューブリックに魅せられた男』、キューブリックの家庭生活を映し出した『キューブリックに愛された男』などに続き、最新作として発表されたのがこの『Kubrick by Kubrick』です。
映画は、トライベッカ映画祭でのワールドプレミアが予定されてましたが、新型コロナウイルスによって映画祭がオンライン上映となり、この度、本作の最初の予告編が到着しました。
他のキューブリックのドキュメンタリーとの違いは?タイトルにもあるように、最も親しい協力者たちのアーカイブインタビューに加えて、フランスの評論家ミシェル・シメントとキューブリックが数十年に渡って交わした会話の中から抽出したものを中心にしており、実際にキューブリック監督自身の話を聞くことができます。また未公開の録音やキューブリック家の資料なども収録されています。
映画史上最も重視されている映画監督の一人でありながら、キューブリック自身の言葉を聞くことができる機会は、今までにも少なく貴重な映像となっています。
今作の監督を務めたドキュメンタリー映像作家のグレゴリー・モンロは、30年に及ぶ監督との詳細なインタビューを独占的に獲得し、彼の哲学について考察しながら、アーカイブ映像を織り交ぜながら歴史家のようなリズムと丁寧さで紡いでいきます。