第69回ベルリン国際映画祭 最優秀男優賞&女 優賞W受賞に輝いたワン・シャオシュアイ監督最新作『在りし日の歌』が、4月3日 (金)より角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開となります。
変貌し続ける社会の片隅で――
喜びも悲しみも分かち合い、時を重ねる夫婦30年の物語。
国有企業の工場で働くヤオジュンとリーユン夫婦は、中国の地方都市で幸せに暮らし ていた。大切なひとり息子シンシンを失うまでは...。乗り越えられない悲しみを抱えた ふたりは、住み慣れた故郷を捨て、親しい友と別れ、見知らぬ町へと移り住む。やがて、 時は流れ――。
現代中国のひずみを、独自の視点とタッチで映し出す「第六世代」の天才監督
中国映画産業界に多大な影響を及ぼした文化大革命が終焉した後、80年代半ばより国際的に注目される作品を発表し始めた中国ニューウェーブの「第五世代」。代表的な監督は、チェン・カイコーやチャン・イーモウ。文化大革命の爪 痕と、荒涼とした貧しい中国の真実の姿を描き出した。
彼らに続く「第六世代」監督と呼ばれるのが、ジャ・ジャンクーやロウ・ イエ、ワン・ビン、そして『在りし日の歌』でメガホンを取ったワン・シャ オシュアイらだ。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアと主要な国際映画祭で 成功をおさめ、いまや世界的な名声を手にしている。
その多くは60年代に生まれ、90年代以降に台頭した。「第五世代」に比べて個人主義的で、現代中国が抱える痛みや矛盾を鋭く映し出す作風が特徴だ。 厳しい検閲を課す中国当局と表現者としてのせめぎ合いの中で、社会性とエンタメ性を高いレベルで両立させた作品を生み出し、才気を発揮し続けているのが「第六世代」の映画監督たちなのだ。
ベルリン映画祭で3度の銀熊賞受賞の快挙!
第六世代の旗手ワン・シャオシュアイとは?
そんな第六世代の旗手ワン・シャオシュアイは、1966年、中国・上海生まれ。中国で唯一、映画関係の人材を養成す るエリート大学北京電影学院監督学科を卒業後、93年に「冬春的日子」でデビュー。本作はBBCの「21世紀に残 したい映画100本」に中国映画として唯一選出された。98年『ルアンの歌』がカンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されたのを皮切りに、同映画祭に4度の正式出品を果たし、「青紅」(05)が審査員賞に輝く。さらにベルリン国際映画祭では、01年『北京の自転車』で銀熊賞(審査員グランプリ)、2008年『我らが愛にゆれる時』で銀熊賞(最優秀脚本賞)、そして本作『在りし日の歌』で銀熊賞(最優秀男優賞&最優秀女優賞)と、3度の正式出品でいずれも銀熊賞を受賞する快挙をなしとげる。
2010年にはフランス文化省から芸術文化勲章シュヴァリエ章を授与された。近年は、若手監督の育成に力を入れ、プロデューサー業も積極的に行っている。
激動の現代中国と社会の片隅で生きる人々を切り取る名匠の眼差し
改革開放後、“一人っ子政策”が進む1980年代、めざましい経済成長 をとげた1990年代、そして
2010年代。本作では、ある二つの家族の姿を通して、約30年間の中国社会の縮図を示す。
ワン・シャオシュアイ監督は、「1949年以来、中国の成長と発展は国家の政策や社会制度と密接に関係し、激しく揺れ動いていました。『在りし日の歌』は時代の証であり、社会、家族、自分たちのアイデンティティの強烈な変化のなかで普通の中国の人々がどう感じていたかを表しています」と語る。喜びと悲しみ、出会いと別れを繰り返し、それでも共に手をたずさえて生きていく夫婦の姿を、激動の中国を背景に映し出した本作。大きく変貌し続ける社会の片隅で懸命に生きる人びとを優しい眼差しで描き出した、壮大な叙事詩と呼ぶべき傑作と言えるだろう。
ベルリン国際映画祭 最優秀男優賞&女優賞W受賞
『在りし日の歌』予告編
【STORY】
変貌し続ける社会の片隅で――喜びも悲しみも分かち合い、時を重ねる夫婦30年の物語。
国有企業の工場で働くヤオジュンとリーユン夫婦は、中国の地方都市で幸せに暮らしていた。大切なひとり息子シンシンを失うまでは...。 乗り越えられない悲しみを抱えたふたりは、住み慣れた故郷を捨て、親しい友と別れ、見知らぬ町へと移り住む。やがて、時は流れ――。
出演:ワン・ジンチュン ヨン・メイ チー・シー ワン・ユエン ドゥー・ジャン アイ・リーヤー
監督:ワン・シャオシュアイ
脚本:ワン・シャオシュアイ、アー・メイ
撮影:キム・ヒョンソク
音楽:ドン・インダー
2019 年/中国/185 分/カラー/1.85:1/英題:SO LONG, MY SON 原題:地久天長
配給:ビターズ・エンド
(C)Dongchun Films Production