第 72 回カンヌ国際映画祭の併設部門・監督週間に正式招待され話題を集めた『Grand Bouquet』(19)を含む、振付家/ダンサー/映画作家、吉開菜央の特集上映「吉開菜央特集:Dancing Films」が 4 月 11 日(土)~17 日(金)渋谷・ユーロスペースにて開催されることが決定致しました。

画像1: ©Nao Yoshigai

©Nao Yoshigai

身体表現の軽やかさに満ちた表層とダークでファンタジックな深層が混交してゆく、
比類なきアーティスト、吉開菜央の全貌

「吉開菜央特集:Dancing Films」は、第 72 回カンヌ国際映画祭の併設部門・監督週間に正式招待され話題を集めた『Grand Bouquet』、および吉開菜央がこれまで監督してきた中編・短編をセレクト上映する、映画作家・吉開菜央の特集上映です。

吉開は、米津玄師 MV『Lemon』で出演・振付を担当するなど振付家/ダンサーとして活躍する傍ら、映像作品も断続的に制作を続けてきました。作品は、国内外の映画祭での上映をはじめ、展覧会でもインスタレーション展示されていますが、映画作品を初期作品から最新作までをセレクトし劇場上映するのは、今回が初めてとなります。
劇場公開が待たれていた『Grand Bouquet』は、当初、2018 年に NTT インターコミ ュニケーション・センター[ICC]にて委嘱を受け制作されたものの、一部の表現について刺激が強すぎるという理由で、美術館の意向のもと約 50 秒が黒塗りで公開。展示後、音響を劇場上映用に 5.1ch にマスタリングし、黒塗りがない状態で[完全版]として完成した。今回、満を持しての[完全版]が一般劇場で上映されることになります。

本特集では、『Grand Bouquet』の他に、『ほったまるびより』(15)、『静坐社』(17)、『梨君たまこと牙のゆくえ』 (18)、『みずのきれいな湖に』(17)、『Wheel Music』(19)の計6本を A,B プログラムに分けて上映いたします。
吉開作品の登場人物の多くは、言葉によってではなく、身体表現によってコミュニケーションし見る側に多様な解釈の余白を残します。
実験的でありながらエンターテイメント性に満ち、視覚・聴覚だけでなく触覚的で嗅覚的表現を探究し、身体表現の軽やかさに満ちた表層とダークでファンタジックな深層が混交してゆく、比類なきアーティスト、吉開菜央の全貌をスクリー ンで発見してください。

吉開菜央コメント

映画をつくりはじめて約10年。映画に出会うまではわたし自身ダンサーで、自分のからだ、身ひとつで踊ることで精一杯でした。けれども映像を撮影し、じっくり見て聞いて編集することで、自分の身体の内側も外側も、世界は踊りに満ち溢れていることを発見しました。作品をつくるたびに、自分の身体が作り変えられて、 あらゆるものと繋がっているのだということを実感します。この感覚は言葉になる前の感情のようなもので、 わたしはそれを情動と呼んでいるのですが、ぜひ一度、情動で紡がれる物語を実際に体感していただいて、あらたな眼で、世界を再発見してもらえたらうれしいです。
―吉開菜央

画像: ―吉開菜央

―吉開菜央

吉開菜央(よしがい・なお)
1987 年山口県生まれ。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業、 東京藝術大学大学院映像研究科修了。作品は、国内外の映画 祭での上映をはじめ、展覧会でもインスタレーション展示されている。 MV の監督や、振付、出演も行う。監督した主な映画は『Grand Bouquet』(カンヌ国際映画祭監督週間 2019 正式招待)『ほ ったまるびより』。米津玄師 MV『Lemon』出演・振付。
近年の主な展覧会に「霞 はじめて たなびく」(TOKAS 本郷、東 京)「オープン・スペース 2018 イン・トランジション」(ICC、東京)にて 《Grand Bouquet/いま いちばん美しいあなたたちへ》(2018)「め がねと旅する美術展」(青森県立美術館、島根県立石見美術館、 静岡県立美術館、2018-2019 巡回)、「Primal Water」 (Bellagio Gallery of Fine Art、ラスベガス、アメリカ、2018)、「ほったまるびより―O JUN と吉開菜央」(Minatomachi Art Table Nagoya、愛知、2016)、「呼吸する部屋」(AI KOWADA GALLERY、東京、2017)など。
受賞歴に「Grand Bouquet」サンディエゴアジア映画祭 Best International Short 受賞(アメリカ、2019)「風にの るはなし」Motif Best experimental film(アラスカ、2018)、「ほったまるびより」文化庁メディア芸術祭エンターテイメント 部門新人賞受賞(2015)、「みづくろい」YCAM 架空の映画音楽の為の映像コンペティション最優秀賞受賞(坂本龍一氏 推薦、2013)。

作品紹介

言葉の代わりに花を吐く女。罵詈雑言が飛び交う現代に超巨大な花束を送る、情動と暴力の衝突を描いたヒューマンホラー。
『GrandBouquet』2019年/15分

自分よりも遥かに巨大な力を持つ「黒い塊」を前に言葉を紡ごうとする一 人の女。女は伝えたい気持ちを言葉にすることが出来ず、変わりに口から美しい花を吐き出す。世界的な潮流となった#MeToo など、個人の告発が世論を動かす昨今の風潮にも影響を受けている。
※2019 年カンヌ国際映画祭 監督週間短編部門正式招待

画像2: ©Nao Yoshigai

©Nao Yoshigai

画像3: ©Nao Yoshigai

©Nao Yoshigai

画像4: ©Nao Yoshigai

©Nao Yoshigai

人間から人格を剥ぎ取って、肉そのもの、タンパク質を愛することに挑む、言語を超越したラブストーリー。
『ほったまるびより』2015年/37分

画像5: ©Nao Yoshigai

©Nao Yoshigai

平屋の一軒家のあちこちに隠れ住む 4 人の女子衆。 家の主は柴田聡子。女子衆は人間というより妖怪のような座敷童のような存在である。柴田聡子の豊かな 楽曲と女子衆の繊細で大胆な身体表現が日本家屋で絡み合う寓話的で幻想的な世界観を持ったダンス・フィルム。「ほったまる」とは「ほうっておくとたまるもの」の略。 吉開映画の世界観が凝縮した代表作の一つ。
※第 19 回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門新人賞

ただ坐り、静かに呼吸する。そんなシンプルなことが最も力強い命への祈りなのかもしれない。 岡田式静坐法を取材したドキュメンタリー・フィクション。
『静坐社』2017年/12分

大正時代に流行した健康法「岡田式静坐法」を京都で広めていた家屋が取り壊される直前の様子を記録に収めている。歴史とともに家の中に積み重なった時間と記憶をカメラは捉えていく。「岡田式静坐法」とは、岡田虎二郎氏が発案した、呼吸を整えながら 30 分間静坐するという健康法である。

画像6: ©Nao Yoshigai

©Nao Yoshigai

映画館の暗闇が、梨を食らう乙女の口腔内になる!?果汁ほとばしる爆裂咀嚼音浴体験!
『梨君たまこと牙のゆくえ』2018年/30分

梨を食べようとするアヤノ。農園で梨を育て、収穫するサトコ。食べようとした梨がどう育ったのか、 収穫する梨がどう食べられるのかを想像し合い、その想像は次第に溶け合っていく。想像の中でふたりは会話し、声は追いかけ合う歌になり、動きは溶け合う踊りになる。 吉本興業が地域活性化を目的に手がけている地域発信型映画の 1 本として完成した中編劇映画。

画像: ©「梨君たまこと牙のゆくえ」

©「梨君たまこと牙のゆくえ」

雨の降り止まない湖のほとりで、 水や、その周りにある空気に身をゆだねて溶けていくからだを捉えた、ダンス・フィルム。
『みずのきれいな湖に』2017年/9分

『ほったまるびより』にも出演した、ダンサー小暮香帆がからだひとつさらして踊った短編映画。
小暮のダンスのみならず、透明度が日本一といわれる北海道の支笏湖での水中撮影も美しい。

画像7: ©Nao Yoshigai

©Nao Yoshigai

--音がするということは、そこに命があるということだ。
この世の全ての尊いノイズを繋ぎ合わせた、ハミングのような日記映画。--
『Wheel Music』2019 年/14 分

ダンス・フィルムと同様に制作を続けている自転車シリーズの最新作にして新境地。 緑の豊かなひらけた道を舞台に、滔々とした語りと車輪音が響く『自転車乗りの少女』(2013)、港町を舞台にした『風にのるはなし』(2017)に続き、本作では、 吉開が実際に住む町を舞台とし、やさしいノイズの中で、小道を巡り、河川敷に至る。日常をほんの少し違う角度でスケッチするように捉えてゆく。

画像8: ©Nao Yoshigai

©Nao Yoshigai

4 月 11 日(土)~17 日(金)渋谷・ユーロスペースにて開催!

This article is a sponsored article by
''.