品川の原美術館において4月12日(日)まで、「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私」が開催中です。

名画や映画の登場人物あるいは歴史上の人物に自らが扮するセルフポートレイト作品で知られる森村泰昌は、巧みなメイクや衣装で、時代や人種、性別を超えて様々な人物に自らが成り代わり、制作を通して原作やその背景に独自の解釈を加えてきました。

本展では、自らが脚本を手がけ自演する映像作品「エゴオブスクラ」と、この映像を用いて会期中開催される作家自身によるレクチャーパフォーマンス(受付終了)を通じて、作家は日本近現代史、文化史に言及します。戦前の教えが否定され日本人に広がった「空虚」、そこは西洋の価値観で埋められていきました。1951年、大阪に生まれた森村は、その時代の日本で教育を受けた個人的経験から、やがて「真理や価値や思想というものは(中略)いくらでも自由に着替えることができるのだ。」(映像作品「エゴオブスクラ」より)という発想を導きます。

森村は耳慣れない言葉「エゴオブスクラ(Ego Obscura)」に「闇に包まれた曖昧な自我」という意味を込めました。愛情のみでは語りつくせない母国への複雑な感情をにじませながら、森村は「さまよえるニッポンの私」とは何かを模索します。

画像: 《"エゴ・オブスクラ"の部屋 2018-2020》2018-2020 ©Yasumasa Morimura photo©moichi

《"エゴ・オブスクラ"の部屋 2018-2020》2018-2020 ©Yasumasa Morimura
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画像: 《鏡を持つ自画像》1994 ©Yasumasa Morimura photo©moichi

《鏡を持つ自画像》1994 ©Yasumasa Morimura
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画像: 《薔薇刑の彼方へ》2006 ©Yasumasa Morimura photo©moichi

《薔薇刑の彼方へ》2006 ©Yasumasa Morimura
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マネ「オランピア」から生まれた初期代表作「肖像(双子)」と新作「モデルヌ・オランピア」が競演

初期の代表作である「肖像 (双子、習作)」(1988年)で森村は、近代絵画史に転換をもたらしエドゥアール マネ「オランピア」(1865年)を題材に選びました。マネが描いた白人の娼婦と黒人の召使を、黄色人種でかつ男性である森村が演じます。裸で横たわりつつ、視線にさらされる側から強い眼差しを返し、さらに主従の関係にも言及した「肖像 (双子、習作)」から30年後、森村は「モデルヌ・オランピア」を発表しました。若い娼婦は蝶々夫人を想わせる芸者の姿に、黒人召使はピンカートン風の西洋男性の姿に変わりました。本展では、同じくマネ晩年の秀作を原作とする「フォリーベルジェールのバー」の最新作も登場します。この3点の登場人物が複雑にからまる展示は必見です。

画像: 左:《肖像(双子、習作)》1988 ©Yasumasa Morimura 右:《モデルヌ・オランピア 2018》2018 ©Yasumasa Morimura photo©moichi

左:《肖像(双子、習作)》1988 ©Yasumasa Morimura 右:《モデルヌ・オランピア 2018》2018 ©Yasumasa Morimura
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画像: 展示風景:《"オランピア"の部屋 1988-2018》1988-2018 ©Yasumasa Morimura photo©moichi

展示風景:《"オランピア"の部屋 1988-2018》1988-2018 ©Yasumasa Morimura
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画像: 展示風景:奥:《思わぬ来客》2010-2018 ©Yasumasa Morimura 手前:《愛と憎しみのための球No.4》2020 ©Yasumasa Morimura photo©moichi

展示風景:奥:《思わぬ来客》2010-2018 ©Yasumasa Morimura 手前:《愛と憎しみのための球No.4》2020 ©Yasumasa Morimura
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[映像作品「エゴオブスクラ」の上映について]

本展には映像作品が含まれます。上映時間(約50分)は下記の通りです。
※鑑賞は総入替制。途中入場不可。あらかじめご了承下さい。
※定員各回50名(立ち見含む)。ご希望の方は、受付にて整理券をお受け取りください。
※各回上映時間5分前に2階ギャラリー5にお集まり下さい。
※レクチャーパフォーマンス開催日の15:50の回の上映場所は館内ザ・ホールとなります。

【上映開始時間(水曜日を除く)】

11:30
12:35
13:40
14:45
15:50

【水曜日】

11:30
12:35
13:40
14:45
15:50
16:55
18:00
19:05

画像: 展示風景:奥:《なにものかへのレクイエム(MISIMA 1970.11.25-2006.4.6)》2006 ©Yasumasa Morimura 手前左:《戦場のマリリンのための衣装 2006》2006 ©Yasumasa Morimura 手前右:《烈火の季節のための衣装 2006》2006 ©Yasumasa Morimura photo©moichi

展示風景:奥:《なにものかへのレクイエム(MISIMA 1970.11.25-2006.4.6)》2006 ©Yasumasa Morimura 手前左:《戦場のマリリンのための衣装 2006》2006 ©Yasumasa Morimura 手前右:《烈火の季節のための衣装 2006》2006 ©Yasumasa Morimura
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戦後日本の復興を印象付けた先の東京オリンピックから55年後を経た2020年、再び東京でオリンピックが開かれる年に、森村泰昌は「私」とは何かを我々にも問いかけます。

開催概要

会期:2020年1月25日[土]- 4月12日[日]
主催:原美術館
協賛:regist ART
協力:一色事務所、千島土地株式会社、ジャパン・ソサエティ
開館時間:11:00 am – 5:00 pm
     水曜のみ8:00 pmまで開館 ※入館は閉館時刻の30分前まで
休館日:月曜(2月24日は開館)、2月25日[火]
入館料:一般/1,100円、大高生/700円、小中生/500円
   (原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料、20名以上の団体は1人100円引)

[ギャラリーガイド]
日曜には、当館学芸員によるギャラリーガイドがあります。(2:30 pmより、30分程度)

※レクチャーパフォーマンス開催日(2月23日[日]、4月12日[日])を除く。

公式サイト:https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私」プレゼント係宛てにメールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2020年3月1日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
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8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
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抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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