「LuckyHouse のポートフォリオ」26【第32回 東京国際映画祭】
“ヒックとドラゴン”シリーズ全3作が特別上映されて来日したディーン・デュボア監督
クレシッダ・コーウェルの同名児童書を原作に、バイキングの弱虫少年“ヒック”と傷ついたドラゴン“トゥース”の友情と成長を感動的に描いたドリームワークスの人気3Dアニメ「ヒックとドラゴン」シリーズ。
その壮大なアドベンチャー・シリーズ第3弾にして、世界54か国でNo.1を記録した最新作『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(12/20より日本公開)が、第32回東京国際映画祭の特別招待部門で選出され、監督&脚本を務めたディーン・デュボア氏が来日。
ディーン・デュボア:
1970年6月7日、カナダ出身。ヒントン・アニメーション・スタジオでキャリアをスタート。アイスランドのスタジオに入社後、アニメ映画『おやゆび姫 サンベリーナ』(94年)などの製作に携わる。1998年、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで、『ムーラン』のストーリー統括を務めた後、2003年にクリス・サンダースとともに監督&脚本を務めた『リロ&スティッチ』が世界的な大ヒットを記録。2010年、ドリームワークスでの初作品『ヒックとドラゴン』で再びサンダースとタッグを組み、以降、全シリーズで監督&脚本を務める。実写映画でも遺憾なく才能を発揮し、監督したドキュメンタリー映画『シガー・ロス/HEIMA~故郷』(2007年・未)はインディーズ映画ながらも高い評価を得る。次回作は製作&監督&脚本を務めた実写コメディ『The Banshee and Fin Magee(原題)』。また、ユニバーサル・ピクチャーズとウォルト・ディズニー・スタジオの実写映画の新プロジェクトも複数控えている。
過去2作も併せて特別上映された10/30(水)、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』の上映後にQ&Aを行った。
「ヒックとドラゴン」シリーズが世界中で愛されている理由を問われたディーン・デュボア監督は、「日本を含め、世界中のどの文化にも存在しているドラゴンは、とても人気があります。意外ですが、アフリカにもドラゴン伝説があるそうです。実際に存在した恐竜に似ていて、更には神話性が付与されたクリーチャーが、本当に地球にいるとしたら、とてもワクワクするし、素敵ですよね。このシリーズが人気なのは、そんなドラゴンと友情を築いたり、背中に乗って空を飛びたいという人間の願望を叶えてくれる物語だからでしょう」と返答。
主人公のドラゴンのデザインについては、「当初、提示されたのは爬虫類っぽい造形デザインが多かったのですが、トゥースは闇夜に紛れていくような漆黒のパワフルなドラゴンで、バイキングが恐れるような存在にしたいと思いました。ですが、犬や猫のように抱きしめたいと思えるような側面も持たせたかったので、怖いところと遊び心のある可愛さを併せ持つキャラクターにし、サイズもヒックが乗れて飛べるような大きさにしました。
そんな折に、ブラックパンサーの写真を見て、そのエレガントで哺乳類的な部分に非常にインスパイアされたので、それと大きなトカゲのサラマンダーの要素を組み合わせたデザインにし、さらに大型のネコ科動物たちの動きや資質というものを加えていったんです」と明かした。
上映会場には過去の2作、『ヒックとドラゴン』(2010年)、『ヒックとドラゴン2』(2014年)を鑑賞済みの熱心なファンが大勢駆けつけており、Q&A後にサイン攻めにあったディーン・デュボア監督が、顔を紅潮させながら求めに応える姿が実に印象的であった。
(Text by Yoko KIKKA)
吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
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『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
かつてドラゴンは人間の敵だったが、ヒックとドラゴンのトゥースの奮闘によって両者は共存する道を選び、バーク島で平和に暮らしていた。だが、ドラゴンの急激な増加により、バーク島は定員オーバーに。今は亡き父の跡を継いでバイキングの若きリーダーとなったヒックは、皆と島を出て新天地を探し求めることを決意。しかし大移動の旅の途中、一行は最凶のドラゴンハンターのグリメルに命を狙われ、トゥースの前には謎の白いドラゴン“ライト・フューリー”が姿を現す。やがて彼らがたどり着いたのは、人間が住むことができないドラゴンだけの“隠された王国”だった。