2018年、世界中で最高の評価を受け、日本でも同年11月に公開された映画『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスター監督最新作にして、最注目スタジオA24が贈るスリラー『ミッドサマー』が2020年2月、TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショーとなります。
長編デビュー作 『ヘレディタリー/継承 』が世界中の批評家、映画サイト、映画誌の2018年ベストに選出され、いまハリウッドの製作陣が”最も組みたいクリエイター”としてその動向に注目が集まっているアリ・アスター監督の最新作。恐怖の歴史を覆す、暗闇とは真逆の明るい祝祭を舞台に、天才的な発想と演出、全シーンが伏線となる緻密な脚本、観る者を魅惑する極彩色の映像美が一体となり、永遠に忘れられないラストに到達する前代未聞の”フェスティバル・スリラー”が誕生!
この度、本作が伝説の映画祭「東京国際ファンタスティック映画祭」オープニング作品として上映されました!!
第32回東京国際映画祭のオールナイト上映で、一夜限りの復活を遂げた東京国際ファンタスティック映画祭。同映画祭は、ホラー・スリラー映画のブームを牽引し、日本のアニメや、香港・韓国・インド映画にもいち早く注目して来た伝説の映画祭です。2005年以来、14年ぶりの復活を『ミッドサマー』が飾りました。
つきましては、本イベントレポートをお届けします。
◆東京国際ファンタスティック映画祭 オールナイト上映
オープニング作品『ミッドサマー』
・日時:11月2日(土)23:00〜
・場所:TOHOシネマズ六本木スクリーン7
・登壇:髙橋ヨシキ(アートディレクター/映画ライター)、大場渉太(東京国際ファンタスティック映画祭 プログラミング・ディレクター)
一夜限りの復活を果たした東京国際ファンタスティック映画祭のオープニング作品となった『ミッドサマー』。上映後観客からは拍手が起きながら、どこか緊張感が残る独特の雰囲気となった。早速SNSでは「とんでもない映画」「ヤバすぎる」「想像以上のクオリティ」という絶賛も。
その会場にアートディレクター、映画ライターである髙橋ヨシキと、映画祭のプログラミング・ディレクターである大場渉太が登場しトークセッションが行われた。
大場渉太は「色々な噂がすでに届いていたが、あまりにもクオリティが高い!」と絶賛。
髙橋ヨシキは「予告編などを見て、「ウィッカーマン」(76)だと思う人もいたと思うのですが、本作は実際に観てみると違いますよね。」「この映画にはいっぱい見どころがありますが、一度観ても村や、そこに住む人々の全体はまだ見えてこないのです。どうやってこの人たちが生活しているのか、育てている作物は何なのか、など謎は多いです。」と様々に張り巡らされた伏線や、もう一度観て検証したくなる謎が溢れた本作を語った。
白夜の太陽の下で行われる祝祭が舞台の”フェスティバル・スリラー”である本作を、結末に感動を覚えたという大場は「スリラーですが、観ると様々な要素でできた作品であり、色々なジャンルにあてはまるとも言えます。」と語ると、髙橋は「悲惨な経験をし、社会に対する生きづらさを抱えた人が楽園を見つけるという映画でもあります。」「『未知との遭遇』(77)などにも同じものを感じますよね。」とコメント。過去の名作との共通点を考察した。
さらに、本作には『ベニスに死す』(71)で主人公の老作曲家・アッシェンバッハが魅了される少年・タジオを演じ、「世界一の美少年」と呼ばれたビョルン・アンドレセンが出演しているという映画ファンがさらに楽しめるキャスト情報を語る。「年を取っても美少年ですよね。この人が少女漫画に与えた影響は多大です。」
「とにかく細部まで作りこまれた緻密な映画です」と大場が話すと、髙橋は同意しながら、本作の幻惑的な演出について触れ、独自の映画流行の分析を語った。「ここ最近、サイケデリックな表現をする映画の流れが来ています。例えば『ドクター・ストレンジ』(17)、『CLIMAX
クライマックス』(19)などもそう。昔は映像でサイケデリックな描写を上手くできませんでしたが、CGの技術が発達してしっかり表現できるようになりました。」と、最近の人気作との共通点を話した。
舞台中盤、盛り上がるトークをよそに、風もない劇場内で映画のポスターパネルがひとりでに倒れるハプニングが発生した。おもわずどよめく会場。「これがこの映画のパワーですよ(笑)」と髙橋ヨシキ。スクリーンに実際にスウェーデンで開催されている夏至祭(ミッドサマー)の写真が映し出されると、「スウェーデンの人たちはこの映画を見たら怒るのではないか?」と大場。髙橋は「日本の盆踊りで殺人が起きる映画があっても私たちは怒りませんし、テキサスに殺人鬼が出る映画を作っても誰も怒りませんでしたよね(笑)。」と突っ込んだ。
高橋ヨシキは「人にお勧めしやすい映画です!スリラーやホラーは、あまり馴染みのない人へのおすすめの仕方が難しい時がありますが、“花だらけの美しいスウェーデンで、村人たちが踊ったりして、アメリカ人を歓迎してくれる映画”だとお勧めできますよね(笑)!」
と、先行上映で集まった映画ファンに、知り合いへのお勧めの仕方をアドバイスしトークイベントは終了した。
A24発❗️
アリ・アスター監督『ミッドサマー』字幕入り本国ティザー予告
祝祭がはじまる
『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスター監督最新作。5人の大学生たちが訪れたスウェーデンの奥地で、90年に一度の祝祭が始まる。白夜の太陽の下、花は咲き乱れ、人々は陽気に歌い踊る・・・しかし、全ては悪夢の始まりだった。明るいことが、こんなにおそろしい― 恐怖の歴史を覆す“フェスティバル・スリラー”。
■STORY
家族を不慮の事故で失ったダニー(フローレンス・ピュー)は、大学で民俗学を研究する恋人や友人と5人でスウェーデンの奥地で開かれる“90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。
脚本・監督:アリ・アスター
出演:フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ウィルヘルム・ブロングレン、アーチー・マデクウィ、エローラ・トルキア
製作:パトリック・アンディション、ラース・クヌードセン
撮影監督:パヴェウ・ポゴジェルスキ プロダクション・デザイン:ヘンリック・スヴェンソン 編集:ルシアン・ジョンストン 衣裳デザイン:アンドレア・フレッシュ 音楽:ボビー・クルリック
配給:ファントム・フィルム
|原題:MIDSOMMAR|2019年|アメリカ映画|ビスタサイズ|上映時間:147分|
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公式twitter: @midsommarjp