第71回カンヌ国際映画祭で見事脚本賞を受賞した『幸福なラザロ』が、4月19日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショーとなります。
その人は疑わない、怒らない、欲しがらない。
人は愚か者と呼ぶのかもしれない。これはそんな人の物語。
北米公開時には本作を観たマーティン・スコセッシが絶賛し、映画完成後にプロデューサーに名乗りを上げるという異例のバックアップをした。
またNYタイムズ紙が2018年ベストテンの5位に選出し「すでに古典といえる最高傑作」と激賞するなど、世界中で観た人を感動の渦に巻き込んでいる話題作だ。
観る者に圧倒的な幸福感を与える、主人公の少年ラザロの無垢なる魂は、映画史に名を残す名作『道』のヒロイン ジェルソミーナや、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でビョークが演じたセルマをも超えるイノセンスとの呼び声も高い。
監督は、長編監督作の全てがカンヌに出品されてきたイタリアの新しい才能アリーチェ・ロルヴァケル。
フェリーニ、ヴィスコンティ、パゾリーニ、イタリア映画史に燦然と輝く巨匠たちの遺伝子を受け継ぐロルヴァケル監督は、本作で観客の想像を超える壮大なドラマを生み出し、新しい地平を切り開いた。
主人公の少年ラザロが生きる“ふたつの時間”
を捉えた新場面写真9枚が一挙解禁
監督の前作『夏をゆく人々』に続いてスーパー16mmフィルムで撮影されたこの映画では、
誰よりも働き者でお人好しなラザロを媒介として“ふたつの時間”が描かれる。
ラザロの圧倒的な存在感が伝わる新場面写真、一挙解禁!
解禁となった場面写真では、ラザロが生まれたイタリアのインヴィオラータ(“汚れなき村”の意)と呼ばれる深い渓谷で隔たれた小さな村での村人たちの慎ましい暮らしや、町からやってきた侯爵夫人の息子タンクレディがラザロに深く関わることになるのを予感させるカット、空に手をかざすラザロの印象的な姿だけでなく、前時代的な村の美しい風景とはうって変わり現代的な都会を舞台にアントニア(アルバ・ロルヴァケル)と行動をともにするようになるラザロの姿なども捉えている。
本作のラザロは立派な英雄でもなければカリスマ性もない。何も持たず、何も望まず、目立つこともない。周りにも気づかれることがない平凡な人間だ。
しかしながらどこにいても汚れなき無垢なる魂を持ち続けるラザロの姿は、フィルム撮影ゆえの独特な質感も加わり唯一無二の存在感を放っており、今回解禁された場面写真からもそれが伝わってくるはず。
「この映画は小さな尊厳についての物語です。奇跡は起こらないし、巨大な権力も出てこないストーリーが、特殊効果を使わずに語られます。映画が伝えるのは、この世で生きていく上で、誰のことも疎まず、人を信じ切ることの尊さです」と語るロルヴァケル監督は、この手法を採用した理由について、ノスタルジックな映像スタイルに寄与するだけではなく、「映画というマジックの力を最大限に発揮させるための手法」であると狙いを語る。
ラザロという存在が観る者にもたらしてくれる“小さな尊厳”を、映画館で確かめてみてはいかがでしょうか!。
『幸福なラザロ』 予告
【STORY】
時は20世紀後半、社会と隔絶したイタリア中部の小さな村。純朴なラザロと村人たちは領主の侯爵夫人から小作制度の廃止も知らされず、昔のままタダ働きをさせられていた。ところが夫人の息子タンクレディが起こした誘拐騒ぎをきっかけに、前代未聞の労働搾取の実態が明るみとなる。ついに村人たちは恐る恐る外の世界へ出て行くが、ラザロだけは・・・。
【監督・脚本】アリーチェ・ロルヴァケル
【出演】アドリアーノ・タルディオーロ、アニェーゼ・グラツィアーニ、アルバ・ロルヴァケル、ルカ・チコヴァーニ、トンマーゾ・ラーニョ、セルジ・ロペス、ニコレッタ・ブラスキ
2018年/イタリア/イタリア語/127分/1.66:1
原題:Lazzaro Felice/英題:Happy As Lazzaro/日本語字幕:神田直美
配給:キノフィルムズ/木下グループ
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