2018年新宿K’s cinemaで開催されました「台湾巨匠傑作選2018」は劇場動員月間新記録を樹立し大盛況のうちに幕を閉じました。今回はその待望の第4弾、趣向を変えて台湾映画における恋愛映画の系譜をテーマに台湾ニューシネマから現代に連なる古びないポップな作品を揃えました。
ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンなど作家の映画から、青春のきらめきを描く娯楽作品まで多種・多様なラインナップでお届けします。
特にプレミア作品として90年代の日本でも熱狂的人気を誇った幻の映画『熱帯魚』『ラブゴーゴー』がロードショー以来の4Kデジタルリストア版を劇場初上映、さらに現代台湾の恋愛模様を描く『台北セブンラブ』も日本初上映。

合計21本を2019年4月20日(土)から5月10日(金)まで新宿K’scinemaにて上映します。

尚、『熱帯魚』『ラブゴーゴー』は今夏8月中旬より新宿K’scinemaにてロードショーが決定しています。

【プレミア上映作品】

『熱帯魚』
(監督:チェン・ユーシュン)4Kデジタルリストア版初公開

1995年/108分/台湾/出演:リン・ジャーホン、シー・チンルン、チェン・ムーイー、リン・チェンシン、ウェン・イン、ラン・ズーユン

第48回ロカルノ国際映画祭青豹賞、第32回金馬奨最優秀脚本賞、最優秀助演女優賞

'90年代半ばの台北。小学生のタウナンが身代金目的で誘拐された。高校入試を間近に控えた、空想好きで落ちこぼれの中学生・ツーチャンも、ひょんなことから同じ犯人に誘拐されてしまう。ところが主犯の男が交通事故であっけなく死亡。困り果てた共犯のアケンはツーチャンとタウナンを石東村の実家に連れて帰ることに。のどかな海辺の村で親切な誘拐犯一家と不遇の少年たちとの奇妙な同居生活が始まる。シビアな学歴社会、過熱するマスコミ報道――台湾の現代社会を、『祝宴!シェフ』(13)のチェン・ユーシュン監督が独特のタッチでコミカルかつアイロニカルに描いた、傑作コメディ。

『ラブゴーゴー』
(監督:チェン・ユーシュン)4Kデジタルリストア版初公開

1997年/113分/台湾/タン・ナ、シー・イーナン、チェン・ジンシン、リャオ・ホイヂェン、ミッキー・ホァン、マー・ニエンシエン

第34回金馬奨最優秀助演男優賞・最優秀助演女優賞

パン職人アシェンの店にやってきたのは、小学校卒業直前に忽然と姿を消した憧れの同級生・リーホアだった。アシェンの妹リーリーは、路上で拾ったポケベルがきっかけで男と知り合った。美容師として働くリーホアの元には、恋人の妻がやってきた・・・。『熱帯魚』(95)のチェン・ユーシュン監督がポップなタッチで描くのは、台北に住む冴えない若者たちに訪れた、切なくもどこか滑稽な「愛」の物語。

『台北セブンラブ』
(監督:チェン・ホンイー)

2014年/116分/台湾/出演:アン・シュー、モー・ズーイー、ホアン・ルー、チウ・イェンシャン、トム・プライス、ワン・ダールー、チェン・ユーアン

‘14年台北。<2016年世界デザイン首都>に台北が選定され、街は建築ラッシュだ。デザイン業界も沸き立ち、バーズがマネージャーを務めるデザイン事務所も例外ではない。かつての恋人でデザイナーのドリスを上海から呼び戻しリノベ案件に挑む。容姿端麗なドリスにクライアントのマークは言い寄り、事務所の所長アンドリューは彼女を利用しようと画策するが・・・。スタイリッシュなデザイン事務所を舞台に、男女7人が繰り広げる愛と駆け引きのストーリーは、観る者を意外な結末へと導く。映画のみならず、CMやMVの監督としても知られる陳宏一による独特の心象表現は、金馬奨最優秀視覚効果賞にノミネートされた。

画像1: 『台北セブンラブ』場面

『台北セブンラブ』場面

画像2: 『台北セブンラブ』場面

『台北セブンラブ』場面

【上映作品】

(製作年代順)

『風櫃の少年』
(監督:ホウ・シャオシェン)

1983年/ 101分/台湾/出演:ニウ・チェンザー、チャン・シー

第6回ナント三大陸映画祭グランプリ、1985年アジア太平洋映画祭最優秀監督賞

澎湖島の風櫃に住む阿清と彼の友人たちは悪戯や喧嘩をして日々を過ごしていた。ある日、対立するグループとの争いが警察沙汰となり、家に戻れなくなった阿清らは高雄に行くことを決める。世界の映画作家に多大な影響を与えた。

『台北ストーリー』
(監督:エドワード・ヤン)

1985年/119分/台湾/出演:ホウ・シャオシェン、ツァイ・チン、ウー・ニェンチェン

第38回ロカルノ国際映画祭審査員特別賞

80年代なかば、過去に囚われた男と未来に想いを馳せる女のすれ違いが、変わりゆく台北の街並みに重ねられ、やがて思いもよらない結末を呼び込む。

『恋恋風塵』
(監督:ホウ・シャオシェン)

1987年/109分/台湾/出演:ワン・ジウウエン、シン・シューフェン、リー・ティエンルー

1960年代、幼い頃から田舎町で兄弟のようにいつも一緒に育ってきた中学生の少年ワンと少女ホン。卒業して台北に働きに出た二人の淡い恋とその切ない別れを描く。

『牯嶺街少年殺人事件』
(監督:エドワード・ヤン)

1991年/236分/台湾/出演:チャン・チェン、リサ・ヤン、ワン・チーザン

第28回金馬奨で最優秀作品賞、第4回東京国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門審査員特別賞、国際批評家連盟賞

60年代初頭の台北。少年シャオスーは不良グループ<小公園>の仲間とつるんでいた。ある日、シャオミンという少女と保健室で知り合う。彼女は<小公園>のボスの女で、彼は対立するグループ<217>のボスと、シャオミンを奪いあい相手を殺して姿を消していた。シャオミンへの淡い恋心を抱くシャオスーだったが、グループ同士の対立が増し、彼らを巻き込んでいく…。

『青春神話』
(監督:ツァイ・ミンリャン)

1992年/ 106分/台湾/出演:リー・カンション、チェン・チャオロン

第6回東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞

台湾の首都、台北を舞台に、一人の予備校生と周囲の人間関係を通して、現代の台湾社会を独特の抑制された形式で描いた青春群像劇。ツァイ・ミンリャン監督衝撃のデビュー作。

『愛情萬歳』
(監督:ツァイ・ミンリャン)

1994年/ 117分/台湾/出演:ヤン・クイメイ、リー・カンション

第51回ヴェネチア国際映画祭グランプリ(金獅子賞)・国際映画評論家賞、第31回台湾金馬奨最優秀監督賞

現代の台北を舞台に、孤独な男女3人の生き方を、冷徹なカメラワーク、極端に少ない台詞、一切の音楽の助けを借りない俳優たちの陰影豊かで繊細な演技など、抑制された演出でつづった人間ドラマ。

『藍色夏恋』
(監督:イー・ツーイェン)4Kデジタル

2002年/84分/台湾・フランス/出演:グイ・ルンメイ、チェン・ボーリン、リャン・シューホイ

17歳の少女モンは、親友のユエチェンに頼まれて水泳部のチャンにラヴレターを渡すが、チャンは、モンに恋をしてしまう。モンに告白するチャンだったが、頑なに心を開かないモン。彼女が恋心を抱いているのは、実はユエチェンだったのだ。グイ・ルンメイ、チェン・ボーリンのデビュー作。

『台北の朝、僕は恋をする』
(監督:アーヴィン・チェン)

2009年/85分/台湾・アメリカ/出演:ジャック・ヤオ、アンバー・クオ、ジョセフ・チャン、クー・ユールン

2010年ベルリン国際映画祭フォーラム部門最優秀アジア映画(NETPAC)賞、2010年台北映画祭最優秀新人賞

パリに留学した恋人を追うために、書店の参考書売場でフランス語の勉強に余念がないカイ。夜な夜な現れるカイに興味を抱く書店員のスージー。パリへの渡航費のために不動産業を営む叔父からカイが請け負ったのは、怪しげな運び屋の仕事だった。ちょっとした手違いで、荷物を巡りカイとスージーは深夜の街を逃走することに…。ヴィム・ヴェンダースが総指揮を執り、巨匠エドワード・ヤンの門下生、アーヴィン・チェン監督が疾走する台北の夜の街を魅力的に描いた、ロマンチック・ラブコメディ。

『星空』
(監督:トム・リン)

2011年/99分/台湾・中国/出演:シュー・チャオ、リン・フイミン、レネ・リウ、ハーレム・ユー、ケネス・ツァン、ジャネル・ツァイ、シー・チンハン、グイ・ルンメイ

第14回台北映画祭最優秀新人賞・最優秀視覚効果賞、第55回アジア太平洋映画祭最優秀撮影賞・最優秀編集賞

大好きだった優しいおじいちゃんが亡くなり、不仲な両親は離婚寸前。深く傷ついたシンメイの前に現れたのは、孤独をまとった転校生のユージエだった。ある出来事がきっかけで、心を通わせるようになった二人は、満点の星空を見るために、おじいちゃんの山小屋を目指し、家出するのだが…。台湾の国民的絵本作家ジミー・リャオによるベストセラー絵本を、原作の世界観をそのままに『九月に降る風』(09)『百日告別』(15)のトム・リン監督が見事に映像化した珠玉のファンタジー。

『あの頃、君を追いかけた』
(監督:ギデンズ・コー)

2011年/ 110分/台湾/出演:クー・チェンドン、ミシェル・チェン、スティーブン・ハオ

第13回台北映画祭観客賞、第48回金馬奨最優秀新人俳優賞 第31回香港電影金像奨最優秀中国大陸・台湾映画作品賞

1990年代、台湾中西部の町・彰化。男子高校生コートンは、悪友たちとつるんでくだらないイタズラで授業を妨害しては担任を困らせていた。そこで担任教師は、優等生の女子生徒チアイーを監視役としてコートンの後ろの席に座らせることに。コートンは口うるさいチアイーをわずらわしく感じながらも、次第に彼女にひかれていく。2017年日本で山田裕貴と齋藤飛鳥(乃木坂46)の共演でリメイクされた。

『GF*BF』
(監督:ヤン・ヤーチェ)

2012年/106分/台湾/出演:グイ・ルンメイ、ジョセフ・チャン、リディアン・ヴォーン

第14回台北電影節最優秀主演男優賞・最優秀助演男優賞・メディア推薦賞、第49回金馬奨最優秀主演女優賞・最優秀観客賞、第55回アジア映画祭最優秀主演女優賞、

'85年台湾、高雄。男勝りなメイバオは同級生のチョンリャンに、チョンリャンの親友シンレンはメイバオに想いを寄せ、高校生活を謳歌していた。卒業後も仲の良い三人だったが、チョンリャンの抱えていた秘密が明るみになり、三人の関係は急速にバランスを失う。戒厳令解除前の'85年、台北学生運動の起きた'90年、民主化が進んだ'97年を背景に、台湾を生きる男女三人の、27年間に及ぶ友情と愛を、『orzボーイズ!』(08)『血観音』(18)のヤン・ヤーチェ監督が描いた珠玉のラブ・ストーリー。

『軍中楽園』
(監督:ニウ・チェンザー)

2014年/133分/台湾/出演:イーサン・ルアン、レジーナ・ワン、チェン・ジェンビン、アイビー・チェン

第51回金馬奨最優秀助演男優賞・最優秀助演女優賞、台北映画祭最優秀美術賞

'69年台湾、金門島。国共内戦の最前線に派遣された台湾青年兵士のバオタイは、体格を見込まれエリート部隊に配属されるも、カナヅチが露呈し318部隊へ転属となる。そこは「軍中楽園」と呼ばれる、特約茶室を管理する部隊だった。実在した国防軍直轄の慰安施設を舞台に、『モンガに散る』(10)のニウ・チェンザー監督が歴史の暗部に光を当て、時代の波に翻弄されながらも強かに生きる男女の姿を活き活きと描いた、異色の青春映画。巨匠・侯孝賢が完成を望み、自ら編集に協力した。

『若葉のころ』
(監督:ジョン・グータイ)

2015年/110分/台湾/出演:ルゥルゥ・チェン、リッチー・レン、アリッサ・チア

交通事故で昏睡状態に陥った母親のメールボックスに、未送信のまま保存されていたのは、初恋の相手リンへのメッセージだった。女子高校生のバイは好奇心から、母親の振りをしてリンにメールを送り…。82年と'13年の台湾を舞台に、母と娘それぞれの、17歳の初恋と繊細な心の揺れが、ビージーズの名曲「若葉のころ」をモチーフに瑞々しく描かれる。台湾で数々のミュージックビデオを手掛けるジョン・グーダイによる初監督作品。

『私の少女時代―Our Times―』
(監督:フランキー・チェン)

2015年/134分/台湾/出演:ビビアン・ソン、ワン・ダールー、ディノ・リー、デビ・チェン、アンディー・ラウ

‘15年の台湾。冴えない日々を送る三十路OLのリン・チェンシンが思を馳せるのは、携帯電話もインターネットもなかった高校時代。授業中にファンレターを書き、アイドルと結婚するのが夢だったあの頃、片思いの相手は学校一の人気者で優等生のオウヤンだった。そんなある日、チェンシン宛に”幸福の手紙”が届き、それまで平凡だった彼女の学校生活は変化しはじめる・・・。大ヒットドラマを連発し続ける台湾のプロデューサー、フランキー・チェンが放つ、90年代台湾を舞台にした、笑って泣ける、極上の胸キュンラブストーリー。主題歌「小幸福」はYouTube再生回数が華語歌曲としては唯一の1億回を突破し、話題となった。

〈台北発メトロシリーズ(台北愛情捷運系列)〉

台湾のヒットメーカー、イエ・ティエンルー監督がプロデュースする、台北地下鉄の7つの駅を舞台に、6人の気鋭の監督が描く人と人との縁がテーマの劇場3作品、テレビ映画4作品からなる作品群、「台北発メトロシリーズ」。

『この街に心揺れて』
(監督:リン・チュンヤン)

2015年/84分/台湾/出演:ジェイド・チョウ、チャン・ハン、ブルース、ガオ・インシュエン、ルー・イーチン、ヤン・リエ)

[台北MRT・大橋頭駅]
米国から一時帰国中の数学者ジョンシオンは、見合いのために茶芸館を訪れるが、先客のジンフェイを見合い相手と勘違いする。気まずい雰囲気でその場を後にした二人だったが、ジョンシオンはジンフェイの母親が営む旅館の客だった。次第に惹かれあう二人。だがジョンシオンの帰国が近づき・・・。清朝末期から日本統治時代にかけての経済、文化、商業の中心地だった台北・大稲埕(ダーダオチェン)の風光明媚な古い街並みを舞台に繰り広げられる、大人のラブ・ロマンス。監督は映画『パンのココロ』(12)や長澤まさみが主演し話題となった日台合作ドラマ『ショコラ』の共同監督、リン・チュンヤン。

『まごころを両手に』
(監督:リン・シャオチェン)

2016年/99分/台湾/出演:アリス・クー、アンドリュー・チョウ、ルー・シュエフォン、チェン・シューファン、ツァイ・ミンシウ、リャオ・フェイジン

2015年グアム国際映画祭最優秀作品賞

[台北MRT・新北投駅]
「干物女」フェイルーは、台北郊外の北投で老舗温泉旅館を営む祖母と暮らしている。ひょんなことから旅館が経営難に陥っていることを知ったフェイルーは、日本人バイオリニスト・山田智生の足跡を追ってアメリカからやって来たアレンを巻き込み、旅館立て直しに乗り出す。アレンが追う山田智生は祖母のかつての恋人だった。銀行への借入金返済期限が迫る中、祖母は旅館を廃業すると言いだし・・・。日本統治時代から続く台湾屈指の温泉街北投(ペイトウ)を舞台に繰り広げられるラブ・コメディ。

『西門に降る童話』
(監督:イエ・ティエンルー)

2016年/106分/台湾/出演:グォ・シューヤオ、リー・リーレン、ヤン・クイメイ

2016年高雄映画祭クロージング作品

[台北MRT・西門駅]
西門町の路上でスタイリスト店を営むシャオフーは、男癖が悪く浪費家の母と二人暮らし。恋人に二股を掛けられ、店の売り上げを母に渡す日々に疲れたシャオフーは、界隈で伝説のホームレスと呼ばれるキングと出会う。次第に心を開く二人だったが、ある出来事がきっかけでキングは西門町を根城にするヤクザに目を付けられてしまい・・・。台北きっての若者の街・西門町は、かつて映画街としての繁栄を極めた街だった。昔日の台湾映画界へのオマージュを込めた、本シリーズのプロデューサーでもあるイエ・ティエンルー監督による、ロマンチック・ストーリー。

『台北暮色』
(監督:ホアン・シー)

2017年/107分/台湾/出演:リマ・ジダン、クー・ユールン、ホアン・ユエン

第54回金馬奨最優秀主演女優賞、第19回台北映画祭最優秀助演男優賞、最優秀新人賞、最優秀脚本賞、最優秀撮影賞

アパートに一人で暮らす若い女シュー。シューの階下に母親と住む青年リー。リーの母親の依頼でリフォームを請け負う中年男フォン。ある日、シューの飼っていたインコが逃げ出し、偶然居合わせたリーとフォン、そしてシューの三人で探すことに。孤独な三人の男女が緩く繋がる。そんな中、シューの過去が明らかになり…。巨匠・侯孝賢監督が「現代の台北を描いたのは、エドワード・ヤン以来」と絶賛した、新進気鋭の監督ホアン・シーによるスタイリッシュな作品。

協力:竹書房・台湾映画社・(株)マクザム・太秦・ディメンション・アクセスエー・ビターズエンド・熱帯美術館・A PEOPLE・ココロヲ・ポリゴンマジック

■共催オリオフィルムズ/K’scinema

2019年4月20日(土)から5月10日(金)まで新宿K’scinemaにて上映

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