海外に日本の映画を紹介し続ける「サードウインドウフィルムズ」の選んだ2018年の日本映画ベスト10が発表されました。
このベスト10は、昨年、第一位としてまだ公開していない『カメラを止めるな!』をいち早く第一位として発表しており、海外へ良質な日本映画を紹介し続けていくトレル・アダム氏の視線での確固たる、信念を持った独自のランキングを発表しています。
(ですので、今年は『カメラを止めるな!』は入りません)
今年は110本の実際にスクリーンで観た作品から選ばれた10本。
今年も、劇場公開作品は、もちろんまだ未公開の作品なども含めてのランキングになっています。
以下ベスト10です。
1、『万引き家族』是枝裕和 監督
すでに、カンヌ国際映画祭のパルムドールを皮切りに世界の映画祭で受賞を重ねる是枝裕和監督の現時点での集大成的な作品。つい最近も、オバマ元米国大統領の選んだベスト作品のリストにまで入って話題になりました。
2、『普通は走り出す』渡辺紘文 監督
栃木県大田原市を拠点にして、映画監督の渡辺紘文と映画音楽家 渡辺雄司兄弟によって旗揚げされた大田原愚豚舎の最新作。2016年に発表された『プールサイドマン』では東京国際映画祭のスプラッシュ部門のグランプリなども獲得し、作家性を持った独特なモノクロで展開される世界観は唯一のものです。
今作は、ロックバンド・トリプルファイヤーとコラボレーションしたMOOSIC LAB 2018長編部門に出品して審査員特別賞を受賞しています。
3、『ドブ川番外地』渡邉 安悟 監督
大阪芸術大学の卒業制作として撮った作品にもかかわらず「サードウインドウフィルムズ」の代表アダム・トレル氏が「今年一番好きだった作品」としてインタビューで語るほどの作品。
まだ観ている人は少ないでしょうが、気になる作品です!要チェック!
4、『赤色彗星倶楽部』 武井佑吏 監督
PFFアワード2017でW受賞、田辺・弁慶映画祭でグランプリを受賞した武井佑吏監督長編デビューの青春SF群像劇。
2018年2月に公開されましたが、多くの方はまだ知らないかも。
今作も、機会があれば要チェックですね。
5、『止められるか、俺たちを』白石和彌 監督
今、日本の映画界で一番ノッテいる監督白石和彌が、若松孝二監督の若かりし頃を描いた作品。
アダム・トレル氏のインタビューでは、同じ伝記映画として、日本で大ヒットしているクイーンのフレディー・マーキュリーの生涯を描いた『ボヘミアン・ラプソディ』と比べて「『止められるか、俺たちを』のほうが面白いと思った。」と言うほど絶賛している。
6、『Blank13』 齊藤工 監督
齊藤工 長編初監督作品。
今作で上海国際映画祭で、アジア新人賞部門最優秀監督賞にも選ばれた他、世界の映画祭でも受賞を重ねている作品。
俳優としての斎藤 工の活躍ぶりはもちろんですが、監督としての齊藤工にも、もっと注目が集まるべきなのですが--
7、『ハナレイベイ』松永大司 監督
『トイレのピエタ』が多くの批評家から絶賛され日本映画界で最も注目される監督の一人松永大司 が、村上春樹の原作からハワイ・カウアイ島の神秘的なほどに美しい湾 ハナレイ・ベイを舞台にして撮りあげた作品。
8、『岬の兄妹』片山慎三 監督
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の国内コンペティションの長編部門で優秀作品賞を受賞した作品。
物語は、勤め先をクビになった足の不自由な兄と、知的障害を持つ妹。兄は、妹に売春させて生計を立てることを思いつき--底辺で必死に生きる兄妹を描いたストーリーだが、先ごろ発表された日本の様々なカルチャーを紹介する海外web"Psycho-cinematography"を運営するPieter-Jan Van Haeckeさんの選んだ2018年の日本映画ベスト10でも第8位にランキングされています。
今作も、日本での劇場公開はどうなるのでしょうか?
9、『僕はイエス様が嫌い』奥山大史 監督
シネフィルでも何回もご紹介しましたが、サン・セバスチャン国際映画祭をはじめ世界の名だたる映画祭で受賞を重ねる22歳の奥山大史監督の長編デビュー作。
すでに、大きな注目が集めています。
2019年公開!
10、『孤狼の血』白石和彌 監督
すでに続編も決まったと言う、2018年の話題作にしてヒット作。
白石和彌監督作は今回のランキングでも、『止められるか、俺たちを』と合わせ2作品がランクイン!
アダム・トレル氏が日本映画について語ったインタビューは下記サイトでご覧いただけます。