直木賞作家・白石一文による、“男と女”の極限の愛を描いた衝撃作「火口のふたり」の映画化が決定いたしました。主演に、柄本佑と瀧内公美を迎え、日本映画界を代表する脚本家・荒井晴彦の監督第3作目となります。

直木賞作家・白石一文 初の映画化。
身体の言い分に身をゆだねる、男と女の極限の愛を描く<R18>衝撃作。

原作は直木賞作家・白石一文氏が、男と女の極限の愛を描いた衝撃作「火口のふたり」。
09年「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」で山本周五郎賞、10年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞した著者が、11年の東日本大震災をうけて、改めて「生きること」を見つめ直し書き上げた作品。数年ぶりの再会をきっかけに、抑えきれない衝動の深みにはまっていく男女の危うい関係を描き出し、大きな反響を呼んだ。

主演を務めたのは、数多の映画で鮮烈な印象を残し続けている実力派俳優・柄本佑と、2017年の主演映画『彼女の人生は間違いじゃない』の演技が評価され、第27回日本映画プロフェッショナル大賞新人女優賞を受賞し、活躍の場を広げている新鋭・瀧内公美。出演者はこの2人のみ。
久しぶりに再会した男女が、「今夜だけ」と約束したものの、一度思い出した欲望を止められず、身体の言い分に身をゆだねる姿を、濃密に演じて魅せる。監督はキネマ旬報脚本賞に5度輝く、日本を代表する脚本家・荒井晴彦。『身も心も』(97年)、『この国の空』(15年)に続く3本目の監督作となる本作でも、自ら脚本を務め荒井ならではの視点で人間の根源的欲求をあぶり出す。噴火する火口のごとく燃え上がる、極限の愛の物語がここに誕生した。

画像: 直木賞作家・白石一文 初の映画化。 身体の言い分に身をゆだねる、男と女の極限の愛を描く<R18>衝撃作。

荒井晴彦氏 コメント

2006年に西馬音内盆踊りを見たのが、スタートだったかもしれない。あきた十文字映画祭が映画教室をやるというので、シナリオ指導で十文字町に来ていた。映画祭は2月なので、夏の秋田は初めてだった。雪の無い秋田はなんかスカスカしている気がした。雪が無けりゃ何も無いとでも言ったのだろうか、映画祭の吉村美貴子に、相米慎二監督が三日間観た西馬音内盆踊りというのがあるんですよ、見ますかと言われた。毎年8月16、17、18日に開催される盆踊りの2日前に、NHKの盆踊りの特集で観た相米に言われて田辺マネージャーが宿の手配で電話してきたという。2日前では宿はある筈も無く、吉村が奔走して、2晩は確保したが1晩は吉村の家に泊めたという。相米は「来年は俺も踊ろうかな……」と言い残して帰ったそうだが、その来年、2001年、相米は、2月の映画祭(露天風呂で降りかかる雪が相米の頭で溶けていた)のあと、入院、9・11の二日前に死んでしまう。
 西馬音内盆踊りを観た。黒い布に目穴が開いた彦三(ひこさ)頭巾と深くかぶった編み笠で踊り手の顔は隠れている。男か女かも分からない。くるっと回転する時の草履が道をこする音がいい。亡者踊りともいわれてるように、死とエロスが匂い立ってくる。相米が三日間観ていたというのが分かる気がした。いつかこの盆踊りと男と女を絡めた映画を作りたいと思った。 
東日本大震災と原発事故の翌年、白石一文の「火口のふたり」が刊行される。津波の翌年に××が××する話をよく書くなあと感心した。意表をつくカタストロフィーだが、まだ、あれから2年もたっていない時だ、あるかもと思わせられた。白石さんに原作をもらいに行った時、福岡を秋田に変えていいですかとお願いした。白石さんはアライさんじゃ仕方が無いですねと言ってくれた。その時から4年、震災から7年もたってしまった。
 直子の結婚式に出るために故郷へ帰った賢治は直子に「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」と言われる。
 「賢ちゃんが相手の人とうまくいかなくなるのは分かってたし、だったら、私、待ってればよかったかなって。ヘンな嫉妬なんてしないで、もっとちゃんと自分の身体の言い分を聞いてあげた方がよかったのかもしれないって」と直子は言う。 
 何があろうと「自分の身体の言い分」を聞いてあげようという映画です。

白石一文氏 コメント

『赫い髪の女』や『遠雷』の頃から荒井晴彦さんの脚本に魅せられてきた者のひとりとして、その荒井さんから映画化の話をいただき、一も二もなくすべてをお任せすることにした。しかも今回は自らメガホンを握って下さるという。原作者としてこれに優る光栄はない。
「火口のふたり」はあの大震災から時を経ずに一気呵成で書き上げた小説で、私としてはめずらしいほど生命力にあふれた作品だ。人のいのちの光が最も輝く瞬間をどうしても描きたかったのだろう。映画界の伝説ともいうべき荒井晴彦さんの手で、その光がよりなまなましく、妖しく観る者の心を照らし、身の内に眠っていた“おとこ”や“おんな”が強く喚起されんことを切に願っている。

柄本 佑氏 コメント

荒井晴彦脚本作品に出ることは僕の夢でした。今回のお話をいただいた時、小躍りしました。なんたって脚本だけでなく監督も荒井さんなんですから。ホンはなんともチャーミングで「大人」なホンでした。5歳の時から僕を知ってくれている荒井監督。今まで仕事したどの監督よりも付き合いの長い監督です。どんな映画になっているのか。出ている自分を見る不安はありますが、いち映画ファンとして出来上がりが楽しみです。

瀧内公美氏 コメント

最初に脚本を読んだ時の感想は、絡みのシーンが多い、他愛のないことをずっと喋っている。面白いけれど、私に出来るのかなぁと思いました。現場に入り柄本さんとお芝居をすると、賢治と直子として他愛のないことを話す、食べる、身体を合わせる、寝る。そんな二人の日常を積み重ねていくうち、ああ生きるってこういう事なのかなと、自然と身体が動き、賢ちゃんを真っ直ぐ見て、聞いて、素直に直子として生きたように思えます。
良い緊張感と幸福感が現場に漂い、荒井さんと柄本さんの何気ない会話の端々に、この映画にとっての大切な何かがあるような気がして、さりげなく聞いているのが毎日の愉しみでした。
まだ仕上がりは見ていませんが、綺麗に撮っていただきましたので、実物より綺麗な私を見て欲しいです(笑)。お楽しみに。

【物語】

東日本大震災から7年目の夏。離婚、退職、再就職後も会社が倒産し、なにもかも失った男・永原賢治(柄本佑)。ある日、旧知の女性・佐藤直子(瀧内公美)の結婚式に出席するため、故郷である秋田に帰省し、久しぶりの再会を果たす。
「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」直子の突然の言葉をきっかけに、ふたりは再び身体を重ね合う。一度だけと誓ったはずが、理性と体に刻まれた記憶の狭間で翻弄されていく、出口の見えない恋。“身体の言い分”に身をゆだねる、男と女のいきつく先はー。

出演:柄本 佑 瀧内公美
脚本・監督:荒井晴彦
原作:白石一文「火口のふたり」(河出文庫刊)
音楽:下田逸郎

製作:瀬井哲也 小西啓介 梅川治男 
エグゼクティブプロデューサー:岡本東郎 森重 晃
プロデューサー:田辺隆史 行実 良 企画:寺脇 研 企画協力:河出書房新社

撮影:川上皓市 照明:川井 稔・渡辺昌 録音:深田 晃 装飾:髙桑道明 衣装:小川久美子
美粧:永江三千子 編集:洲﨑千恵子 助監督:竹田正明 制作担当:東 克治

特別協力:あきた十文字映画祭実行委員会 横手フィルムコミッション 秋田フィルムコミッション研究会

製作:「火口のふたり」製作委員会 
制作プロダクション:ステューディオスリー
配給:ファントム・フィルム 
レイティング:R18+

2019年、全国ロードショー

 

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