カンヌ国際映画祭の2017年ミッドナイト・スクリーニング部門にて大きな話題となり、批評家サイトロッテン・トマトでも驚異の96%(2018年8/1付け)という高評価を獲得した戦慄の実話アクション『暁に祈れ』が、12/8(土)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町、シネマート新宿ほかにて全国公開となります。
汚職や殺人が蔓延し“地獄”と呼ばれる実在のタイの刑務所に服役し、ムエタイでのし上がっていったイギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝ベストセラー小説を完全映画化。
地獄に落されたアウトローが人間性をはく奪されながらも、ムエタイを通じて光を見出していく、さながら監獄版「あしたのジョー」のようでありながら、<撮影場所は本物の刑務所><キャストのほとんどが本物の元囚人><クライマックスは約3000人の囚人エキストラが集結>など、この冬一番ヤバい注目作です!
そんな本作にいち早く注目し「ここだけには絶対入りたくない!」と語る、紀行バラエティー番組「クレイジージャーニー」などでおなじみの犯罪ジャーナリスト・丸山ゴンザレス氏が、タイ当局からの厳しい監視の目もある中で10月下旬に主人公ビリーの足跡を辿るタイ現地取材を強行!
11/29(木)に丸山氏によるデンジャラスな現地取材報告トークイベントを実施いたしました。
現地で撮影してきた貴重なビデオ映像を交えながら、
丸山氏が語り尽くした“微笑みの国”タイのデンジャラスな一面とは…?
イベントでは、現地で撮影された約4時間にも及ぶビデオ映像の一部を上映しながら、丸山氏が“生コメンタリー”という形で詳しく解説。
ビリー・ムーア本人が実際に収監されていたクロンプレム中央刑務所、映画に囚人ファイターとして出演する実際の元囚人ファイターへの貴重なインタビュー、
劇中ビリーが仲間たちにタトゥーを入れてもらう場面に隠された“本当の意味”など、現地に赴いてくれたからこそ語れる、貴重な話が続々と飛び出しました。
下記にて、詳細報告です!
丸山氏は、映画の感想として「かなりの衝撃を受けて、個人としての思い入れもかなりある映画です。今年ナンバーワンの映画かもしれない。」と熱く語る。本作の舞台となる“刑務所”という場所について、「昔から刑務所にはすごく興味があっていくつか取材したこともありますが、タイの刑務所の中には入ったことがないんです。だから、今回の取材をきっかけになんとか中に入ってみたいと思いました。この映画の舞台になるのが刑務所の中だから、観ながら“これは本当にそうなのかな?”とすごく気になっていたんです。それほど地獄のような場所だから(笑)」と現地取材に向かった理由を説明。
イベントでは丸山氏が現地で撮影してきた約4時間にも及ぶビデオ映像の一部を上映しながら、“生コメンタリー”という形で映画をより楽しめる背景などを説明してくれた。丸山氏がまず訪れたのは、%%ビリー・ムーアが実際に収監されていたバンコクのクロンプレム中央刑務所の玄関前。
現在のタイ軍事政権下においてこういった場所は外でカメラを回すことさえ簡単ではなく、撮影の1年以上前からタイ入りし、長い時間をかけて準備を行った本作のジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督でさえ当局から許可が下りず、一歩も中に入ることが叶わなかった場所だ。
丸山氏も、係官に駆け付けられる前に急いで撮影したという貴重な映像なのだ。
本作の撮影が行われたのは、撮影の1年ほど前に囚人達が他の場所へ移送されるまで実際に刑務所であった場所(当時の名称:ナコーンパトム刑務所)。
丸山氏のカメラにより捉えられたその建物は、現在も撮影当時からほぼ変わらない状態で残り、刑務所時代の数々の遺留品を映し出す中で、囚人部屋の壁にはプミポン前国王や仏教国らしく仏陀のポスターに加えて、なぜかセクシーな女性や高級車の写真が多く貼られていた。
丸山氏は「刑務所の抑圧された生活の中で、囚人達は将来こうありたいという願望を貼り付ける傾向があるんです。」とその背景を説明していく。さらに、映画にも出てくる刑務所の通路(写真添付)やビリー達ムエタイチームが切磋琢磨する練習空間と全く同じ光景が映像で映し出される。
丸山氏は、ビリーと苦楽を共にする囚人ファイターを演じた実際の元囚人ファイター:
チャルームポン・サワットスック氏にインタビューを敢行(丸山氏との2ショット写真添付)。
彼は殺人と麻薬所持の疑いで収監されたものの刑務所の内外でチャンピオンとなり、その経歴が監督の目に留まり出演オファーをされた人物だ。金銭目当てのバイト感覚で殺人を犯したという衝撃の経歴を丸山氏に明かしつつ、映画の感想を聞かれての第一声が「怖かったです。」であったことから、場内は爆笑の渦に巻き込まれる。実際に刑務所に収監されていた当事者として映画で描かれる出来事について、「80~90%はリアルですね。」と明かす。__
さらに、ビリーを演じるジョー・コールのムエタイスキルについて、「この映画のために始めたものだけど、かなりのセンスを感じました。でも、僕には絶対勝てないけどね(笑)」__と共演者を称えつつ、強い自信をのぞかせる。
監督による演技指導はなかったといい、「監督からは刑務所にいた時そのままの雰囲気でやってほしい、と言われていました」と撮影を振り返る。丸山氏は、彼へのインタビューを踏まえて、「映画の中で語られる囚人達のエピソードは、全て彼ら自身たちのものなんです。その面においてはドキュメンタリーのようでもありますよね。」と、本作の見どころを説明する。
さらに、丸山氏は、映画でムエタイに心身を捧げるビリーがその覚悟の証に獄中で仲間たちにタトゥーを掘ってもらう場面に着目し、タイでカリスマ彫師として活動する人物にもインタビューを敢行。そのエピソードを紹介しつつ、「タイにおいて入れ墨を入れるという行為は、霊的なものを宿らせる意味合いが強いんです。ビリーは大事な試合の前に“虎”の入れ墨を入れますが、虎の入れ墨というのは、己の内なる霊力を高めて自分を強くするためのもの。相手に勝ちたいから入れてるんじゃないんです。この入れ墨の意味を理解できていないと、あの場面が出てくる理由が分からないかもしれない。」と、当事者に話を聞いてきたこそ語れる、映画をより深く味わうためのヒントを教えてくれた。
最後に丸山氏は、現地取材で見聞きしてきたことを踏まえて、「犯罪を犯して刑務所に入るような人であっても、この映画みたいな地獄のような刑務所で生きていくのは本当に大変です。そんな彼らにも“再生”のチャンスが必要なんです。」と力説する。さらに、「そんな中で、ビリーはどうやって再生していくのか。彼は、泥沼の中に足を取られながらも綺麗な花を咲かせていきます。それを皆さんに感じていただけたら」とこれから映画を観る観客にメッセージを寄せた。
『暁に祈れ 』日本版予告
監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール『ジョニー・マッド・ドッグ』
原作:ビリー・ムーア「A Prayer Before Dawn: My Nightmare in Thailand's Prisons」
出演:ジョー・コール『グリーンルーム』「ピーキー・ブラインダーズ」、ヴィタヤ・パンスリンガム『オンリー・ゴッド』、ソムラック・カムシンほか
2017年/イギリス・フランス/英語、タイ語/シネスコ/117分/原題:A Prayer Before Dawn
日本語字幕:ブレインウッズ
提供:ハピネット+トランスフォーマー
配給:トランスフォーマー
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