映画とカルチャーのwebマガジン「シネフィル」で「新時代/新世代の表現者たち」がスタートいたします。
この企画は、現在、インディペンデントの映画で多くの20代を中心とした監督を輩出している状況と、日本で開催される多くの映画祭などから、受賞後一般公開されていく作品も多くなってきている中で、新しい才能を多くの方にご紹介していく連載企画です。
「シネフィル」でも今まで多くの若手、気鋭の監督をフォーカスし取り上げてきております。
この平成がまもなく終わろうとする中で、新しい時代を担うであろう新世代の監督たちの“今”に着目し、監督自身の思いを伝えていくつもりです。
2018年に開催された映画祭などで受賞し、注目を浴びた新進気鋭の映画監督たちを、次々フォーカスして、彼ら、彼女らの新しい表現者が生み出した“映画”と合わせ、監督自身をご紹介していきます。
また、今後ご紹介する各々の監督の作品は、GAGAの配信サイト「青山シアター」ですぐさまご覧いただけます。※期間限定公開の作品もございます
青山シアターでは、ミニシアターやアート系の国内外の作品の他に、現在、日本で開催されている、多くの映画祭などと連動した配信をしており、ぴあフィルムフェスティバル（PFF)、TIFF:日本映画スプラッシュ、ndjc、MOOSIC LAB、SHORT SHORT、下北沢映画祭そして映画美学校など日本のインディペンデント映画を気軽に楽しめることができる唯一の配信サイトとなっています。
今回スタートする連載の第一回は、PFFアワード2018で審査員特別賞・映画ファン賞受賞をW受賞した『すばらしき世界』の石井達也監督に、幾つかの質問を問いかけ、新時代、新世代の表現者の思いの一端を答えていただきました。
新時代/新世代の表現者たち①
『すばらしき世界』石井達也監督
石井達也監督
1998年生まれ、茨城県出身。中学3年生の頃から役者を志すも
、気付くと映画を撮りたいと思うようになり、
東放学園映画専門学校に入学。年2本しかつくられない同校の卒業
制作作品として選出され、本作が完成した。現在、
次回作を構想中。
映画に関心をもったのはいつですか？役者を目指していたみたいですが、作る側になろうとしたのは？
ずっと映画は好きでしたが、しっかりとした関心は、色々人生をやってる中で友達がいなくなって一人ぼっちになり、中学生の時に1人で地元の映画館に行った時からです。
役者が面白そうだなーと思っていたんですけど、高校生の時に気付いたら映画撮りたい！カッコイイ！と思っていて、じゃあ映画を撮ろうと決めました。今考えると、その時は今以上に超人見知りだし柔軟性がゼロなので、人前に立つ役者は無理だった～と思いますが。
今までに影響を受けた映画や監督を教えていただけますか。
また、もしくは他の分野からの影響はありますか？
『時計じかけのオレンジ』はずっと大好きです。一人挙げるとすれば、学生時代影響を受けた監督はカンパニー松尾さんです。
映画以外だと、5歳からずっと空手をやっていたのもあってか人を殴るとか殺す漫画が大好きで、漫画からも影響はずっと受けています。
ご自身の体験、実体験がベースになっているとのことですが、実際にどのくらいの要素で入っているのでしょうか？
そして、その経験を映画化しようとしたきっかけ理由はなんですか？
ある程度実体験ですが出来事以上に、その時の感覚みたいなものを要素として入れました。
長い間その過去を引きずっていて、あぁもうこれを映画にしなくちゃこれから生きられねぇと思いました。過去を引きずってる奴超つまらないと自分を責める時もありましたが、結局俺はそういう人間だし、私生活もボロボロで今これを撮るしかないとなり撮りました。
今作のテーマとして念頭に置いたことを教えてください。
僕にも家族はいるので、実感として家族は崩壊していくものだという理屈が自分の中にありました。それはずっと考えて撮りました。
（C）石井達也
非常に多感な16歳の少年が描かれておりますが、演出方法で気にしたところはありますか？
強いて言うならとことん追い込むということだったと思います。
主演の團悠哉に対して、こいつは絶対俺にはなれないし、あの頃の俺の方が絶対面白い。ならこいつの中でもっと面白くしてくれればいい思って、そうするにはどうしたらいいかというのは考えていました。撮ったら俺なんかより全然面白かったです。
もし、可能なら制作予算・制作時間を教えてください。
制作予算は各々スタッフで出し合って150万くらいです。撮影期間は10日でした。
賞を取られて、何か変わりましたでしょうか？
自分は特に変わらないです。本当は少し変わってると思います。気付いたらエゴサーチをしてましたし。
でも一等賞では無いし、今はもっと面白いのを撮りたいと思ってます。
今後、作ろうとしている作品は？予定は？
次の脚本を描いてます。自分的には超面白いです。
今、20歳ぐらいで映像や映画を撮られる方が増えていますが、どうしてだと思いますか？
環境や何かが変わる時は、毎回絶対にイジメられてたのでこれが合ってるのかよく分からないですけど、何かが変わる時のパワーっていうのはあると思ってるので、大人とかギリギリ子供とか、その自分を表現したいんだろうなとは思います。自分も含めてです。
漠然とした質問ですが、あなたの未来は？
基本的に頭が悪いし運動も出来ないし何をやっても落ちこぼれでしたけど、ずっと意味の分からない自信だけはあったので(多分それでイジメられてたんだと思いますが)、撮りたいものを撮っていればそれでいいと思います。
（C）石井達也
大人の事情に翻弄され続けた16歳少年の叫びよ届け！
『すばらしき世界』予告
石井達也監督『すばらしき世界』予告編
youtu.be[STORY]
16歳の優は母と二人暮らし。
しかし、そこに再婚を決めた父が強引に介入し、彼の心は再び深い闇に覆われる。大人の勝手な都合に翻弄される子どもの傷心と怒り。それは監督が実体験した苦しみと悲しみの告白でもある。
監督・脚本 石井達也
撮影 鈴木陵佑
編集 小暮大智
録音 下村彩野
CAST：
: 團悠哉／湯舟すぴか／伊藤慶徳／金子寧々
映画祭：
: PFFアワード2018審査員特別賞・映画ファン賞受賞
制作年： 2018年
制作国：日本
配信時間：40分
（C）石井達也
下記、青山シアター内で10月24日まで石井達也監督『すばらしき世界』限定配信中！
その他、PFFアワード2018入選作品をご覧なさりたい方は下記サイトより
