刹那的な映像美学を追求した監督・鈴木清順の素顔
『そんなことはもう忘れたよ 鈴木清順閑話集』
2017 年 93 歳で逝去した日本映画界の巨人・鈴木清順(1923年5月24日 - 2017年2月13日)。
本書は、約20年にわたる親交の中で撮り下ろされた貴重なプライベートショットと、ユーモアと鋭い観察眼が滲むなにげない日々の言葉を一冊にまとめた、“清順哲学”が随所に光る閑話集です。
約 20 年にわたり親交を深めるなかで撮影された 100 点近くの写真と、 なにげない日々の言葉、47 歳離れた妻が初めて語る〝夫・鈴木清順 ” ほか、 出演者や映画関係者たちのインタビューなどで構成されており、7月27日(金)に発売されることとなっております。
晩年、鈴木清順自らが語った子供時代/初恋/戦争体験/日活解雇~空白の10年/『蜜のあはれ』と引退宣言……といった生きた言葉の数々をはじめ、鈴木組の助監督ら「一水会」による米寿祝いの様子、47歳離れた妻が初めて語る“夫・鈴木清順”ほか、出演者や映画関係者など身近な人々が明かす知られざる素顔。
最期の映画となるはずだった幻の遺作『蜜のあはれ』の貴重なシナリオも収録しています。
撮影は、鈴木清順監督の『ピストルオペラ』スチールカメラマンを務めた本多晃子。
取材と文章は、映画誌などで執筆活動を続ける八幡薫。
「子供時代の思い出」「初恋」「戦争体験」「日活解雇」「夫婦」...... ユーモアと鋭い観察眼が滲む独特の言葉とともに切り取った、 鬼才と呼ばれた男の、あたりまえのとある日常の記録。
『そんなことはもう忘れたよ 鈴木清順閑話集』2018 年7 月27 日(金)発売!
この男、好々爺にしてアングラ!―― 大和屋暁(脚本家)
唯一無二の存在の言霊がサラリと深く響いてくる―― 永瀬正敏(俳優)
◆鈴木清順(すずき せいじゅん)
1923 年東京都生まれ。本名・清太郎。1948 年旧制弘前高等学校卒業後、松竹大船撮影所入社。 54 年に日活に移籍し、56 年『港の乾杯 勝利をわが手に』でデビュー。その後、『肉体の門』『刺 青一代』『けんかえれじい』など、数々の作品を手掛ける。1967 年に公開された宍戸錠主演『殺 しの烙印』が、「わけのわからない映画」と日活社長・堀久作の不興を買い、翌年一方的に解雇され、 裁判に。10 年の沈黙を経て、1977 年『悲愁物語』で映画界に復帰。1980 年『ツィゴイネルワイゼン』 が大きな反響を呼び、続く 81 年『陽炎座』、91 年『夢二』と共に浪漫三部作として高い評価を得る。 90 年に紫綬褒章受章。その独特の色彩感覚と映像美は「清順美学」と呼ばれ、現在もなお、世 界中の映画ファンを魅了し続けている。
プライベートでは、1997 年に 47 年間連れ添った妻と死別。2008 年、本書に登場する妻・崇子 と再婚。2017 年 2 月 13 日、慢性閉塞性肺疾患のため都内の病院にて死去。93 歳。2011 年に は新作として室生犀星原作『蜜のあはれ』映画化の準備を進めていたが、叶わなかった。
【著者プロフィール】
◆本多晃子(ほんだ あきこ)フリーフォトグラファー。北海道生まれ。主にエンタテインメン ト系、ポートレイト撮影を中心に、雑誌他で活動中。人物撮影を 得意とする。2001 年に鈴木清順監督の『ピストルオペラ』のスチー ル撮影を行う。
◆八幡薫(やはた かおる)ライター。東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。出版社に 勤務し、国語教科書やサブカル雑誌の編集に携わった後、93 年 よりフリー。映画誌などで、インタビュー、映画評などを執筆。