映画『1999年の夏休み』は、1988年の劇場公開から30周年を迎えたことを記念して、初のデジタル素材(DCP)による上映が決定しました。
本作は、森と湖に囲まれた全寮制の学院で、愛を拒まれ自殺した少年をめぐり、葛藤し、傷つけ合う少年たちを描いた青春ファンタジー映画です。“少年同士の愛”というテーマを映像化するにあたり、四人の少年役に当時10代の少女たちを配役することで少年の美しさを際立たせ、さらに摩訶不思議な舞台装置や美術、中村由利子による抒情的なピアノも相まって幻想的な透明感を生み出しました。80年代末から90年代にかけての邦画ニュー・ウェーブ時代を先導し新たな地平を切り開いた作品として今でも根強い支持を受けています。
監督は、後に平成ガメラシリーズや『デスノート』シリーズを手掛ける金子修介。
主演は現在声優としても活躍中の宮島依里、また女優・深津絵里(当時は水原里絵名義)が本作でスクリーンデビューを飾っています。
公開から30年、当時のみずみずしい映像がスクリーンによみがえります。
■金子修介監督のコメント
幸運な偶然が重なり、『1999年の夏休み』が30年ぶりに劇場再公開されることになりました。学生時代に萩尾望都さんの『トーマの心臓』の異国の美しい少年愛の物語世界に触発されながら、彼ら少年たちが少女にも見える瞬間があり、物語の骨子と主な登場人物の性格をお借りした「翻案」として萩尾さんの許しを得て、夏休みの寄宿舎に残された少年たちを少女が演じる世紀末の「近未来」の映画として、人を好きになる瞬間、それは“性”を超越した永遠であるかのような“時間”と“空間”を作り上げたつもりです。外国の映画祭では「この映画はどこから来たのか?」と不思議がられました。ニューヨーク近代美術館(MOMA)では1989年におけるニューディレクターニューフィルムに選出され(所蔵されているかどうかは不明)、アメリカでビデオも発売されました。(英語題名:Summer Vacation1999)この機会に新しい観客が目にしてくれるといいなと思っています。
『1999年の夏休み』デジタルリマスター版 予告篇
[ストーリー]
山と森に囲まれ、世間から隔絶された全寮制の学院に、少女のように美しい少年たちが共同生活をしている。初夏のある夜、その中の一人、悠が崖から湖に身投げして死んだ…。夏休みになって、帰る所がなく寮に残ったのは三人。自分を愛していた悠の自殺に自責の念にかられている和彦。和彦に対して深い思いやりで接しているリーダー格の直人。そして和彦の悠に対する想いに強い嫉妬を抱いている下級生の則夫。ある日、悠と瓜二つの転入生・薫が三人の前に現れた。薫の中に悠の面影を見て混乱し動揺する三人。そして彼らの関係性は奇妙な方向にねじ曲がっていく…。
[スタッフ]
監督:金子修介
脚本:岸田理生/撮影:高間賢治
照明:安河内央之/録音:神保小四郎/美術:山口 修/編集:冨田 功/音楽監督:柳田ヒロ
音楽:中村由利子/プロデューサー:成田尚哉・肥田光久
[出演]宮島依里/大寶智子/中野みゆき/水原里絵(深津絵里)
[声の出演]高山みなみ/佐々木望/村田博美/前田昌明
©1988 日活/アニプレックス
■上映情報
30th Anniversary デジタルリマスター版 上映
2018年7月28日(土)~8月10日(金)
[東京]K’s cinema http://www.ks-cinema.com/
2018年8月11日(土)~8月17日(金)
[福岡]T・ジョイ博多 http://kinezo.jp/t-joy_hakata/
2018年8月18日(土)~
[大阪]シネ・リーブル梅田 https://ttcg.jp/cinelibre_umeda/
[愛知]伏見ミリオン座 http://www.eigaya.com/theater/million/
順次上映
[北海道]ディノスシネマズ札幌劇場 http://cinema.sugai-dinos.jp/