日本のアニメーションを歴史的文脈から観る全 5 回!
映画芸術や映画保存を学ぶ上で重要な作品を、国立映画アーカイブの所蔵作品の中から上映するプログラム「映画の教室」は、テーマに沿った各5回シリーズ・研究員の解説付きです。
シリーズを通して観ることで、より一層映画や作品への理解を深めることができます。
101 年にわたる長い歴史を持つ日本アニメーションは、世界が注目する文化にまで育ちました。
その過程で、日本のアニメーションは教育、PR、戦意高揚、テレビ、劇場公開用商業アニメーションなどさまざまな形で製作・発表されてきました。
好評を博した 2017 年の「素材から観る日本アニメーション」に続く第二弾として、今回は現存する最古の日本のアニメーション『なまくら刀』(1917 年)から、『いばら姫またはねむり姫』(1990 年)まで、歴史的文脈を追いながら日本のアニメーションを研究員の解説付きで学ぶことができる特集となります。
*東京国立近代美術館フィルムセンターは、2018 年 4 月 1 日より国立映画アーカイブとなりました
Film Class of 2018
■プログラム(全5回)
各回、約 15 分の研究員による解説付き
*記載のないものは全て 35mm フィルム上映
第1回 5 月 9 日(水) 日本アニメーションの草創期
漫画映画、線画映画などと呼ばれる中で発展していった日本アニメーション草創期。現存する最古の日本アニメーション『なまくら刀』、初期の影絵映画『蟹満寺縁起』、日本のアニメーション作家に大きな影響を与えたと言われるドイツの影絵映画『カリフの鶴』などを紹介する。
上映作品 (5 作品、計 57 分)
ファントーシュたちの恋のさやあて(4 分、1908 年、監督:エミール・コール)
なまくら刀 (5分、1917 年、作画:幸内 純一)
カリフの鶴(20 分、英語版、1923 年、監督:E. M. シューマッハ―)
蟹満寺縁起(11 分、1924 年、監督:奥田秀彦、木村白山、内田吐夢)
線畫 つぼ(17 分、1925 年、監督:山本早苗)
第 2 回 5 月 23 日(水) 戦前―トーキーへの移行と PR 映画
1930 年前後は世界的にトーキーの技術が開発され発展した。その頃は、『煙突屋ぺロー』といった思想的なアニメーション映画も製作されるように なった。『三匹の小熊さん』はプロレタリア芸術運動家の岩崎昶が監督、村山籌子原作、村山知義作画のモダンな作品。
上映作品(4 作品、計 50 分)
煙突屋ペロー(23 分、16mm、1930 年、監督:田中喜次)
三匹の小熊さん(12 分、1931 年、監督:岩崎昶)
茶目子の一日 (7分、1931年、監督:西倉喜代治)
オモチャ箱シリーズ第 3 話 絵本 1936 年(8 分、1934 年、作画:中野孝夫、田中喜次、舟木俊一、
永久義郎、平泰陣、西口羆)
第3回 6月6日(水) 戦中期―戦意高揚映画
戦争の色へと染まっていった日本は 1939 年に映画法を施行し、戦中は軍部による映画製作も行われた。『桃太郎の海鷲』は映画法施行後、初めて文部省推薦を受けたアニメーション作品。『フクチャンの潜水艦』は、当時の大人気漫画の「フクちゃん」を主人公にした戦意高揚アニメーション。
上映作品 (2 作品、計 63 分)
桃太郎の海鷲(33 分、1942 年、監督:瀬尾光世)
フクチャンの潛水艦(30 分、1944 年、監督:関屋五十二、横山隆一)
第4回 6月20日(水) 戦後1―本格的な商業展開
戦後、本格的に劇場公開長編アニメーションやテレビ向けに作品が製作されるようになった。東映動画第一弾として発表された『こねこのらくがき』、 数々のテレビアニメーションに携わった鈴木伸一の『プラス 50000 年』などを紹介する。
上映作品 (4 作品、計 61 分)
すて猫トラちゃん(21 分、1947 年、監督:政岡憲三)
こねこのらくがき(12 分、1957 年、監督:薮下泰次)
注文の多い料理店 山ねこ軒(19 分、1959 年、監督:小野豪)
プラス 50000 年(9 分、1960 年、監督:鈴木伸一)
第5回 7月4日(水) 戦後2―アニメーション作家による発表
商業的に映画館やテレビ向けにアニメーションが製作される一方、作家による作品発表も活発になった。 “アニメーション三人の会”の上映会はフェスティバルとして成長し、国内外の作家の作品を紹介した。岡本忠成と川本喜八郎は、 “パペットアニメ―ショウ”を開催した。
上映作品(3 作品、計 71 分)
ある街角の物語(39 分、1962 年、監督:山本暎一、坂本雄作)
チコタン ぼくのおよめさん(11 分、1971 年、監督:岡本忠成)
いばら姫またはねむり姫(21 分、1990 年、監督:川本喜八郎)
*後期は別のテーマで 10 月 10 日(水)より全 5 回、隔週水曜に開催いたします。
■開催概要
企画名:映画の教室 2018 時代から観る日本アニメーション
日 時:2018 年 5 月 9 日(水)、23 日(水)、6 月 6 日 (水)、20 日(水)、7 月 4 日(水)
各日 7:20pm 開始 [7:00pm 開場]
会 場:国立映画アーカイブ 小ホール(地下1階)
定 員:151名(定員制・全席自由席)
料 金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、東京国立近代美術館及び 国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
4 月 17 日(火)10:00am より、チケットぴあにて全上映回の前売券
(全席自由席・各 70 席分)を販売いたします。
各上映の前日11:59pm まで販売。[P コード:558-427]
前売料金:一般 520 円/高校・大学生・シニア 310 円/小・中学生 100 円