イギリス出身、来日30年目のジョン・ウィリアムズ監督(「いちばん美しい夏」、「スターフィッシュホテル」、「佐渡テンペスト」)が、100年前に書かれたフランツ・カフカの不条理文学「審判」との類似点を見出し、現代の東京を舞台に映画化した『審判』(6月30日より渋谷・ユーロスペースで公開)の予告編と場面写真が解禁された。
また、“殴る男”役で本作で11年ぶりの映画出演となる歌舞伎界の名脇役・坂東彌十郎、主人公を弁護士の元に連れて行く叔父役の高橋長英、寝たきりながら裏で牛耳る弁護士役の品川徹よりコメントが届いた。
映画『審判』では、得体の知れない巨大な力、システムにコントロールされた理不尽で滑稽な出来事が、次々と主人公Kこと木村陽介(にわつとむ)の身に降りかかる。
今回解禁されたスチールは、上記3人のシーンに加え、「銀行員の木村が30歳の誕生日の朝、自宅マンションのベッドで目覚めると、部屋にはふたりの見知らぬ男たちが佇んでいた」という冒頭のシーンより、見知らぬ2人の男・小倉(田邉淳一)と相馬(工藤雄作)のスチール。
隣人の鈴木(常石梨乃)が木村を誘惑するシーンのスチール。
郊外の怪しげな学校の体育館を一時的に使った「裁判所」のスチール、および主人公が公園で遭遇する人形遣い(左・村田一朗) のスチールだ。
なお、本作は、5月4日からパリで開催されるヨーロピアン・インディペンデント映画祭(European Independent Film Festival)への正式出品が決まっている。
<殴る男役・坂東彌十郎さん コメント>
私は役者になって約45年間の殆どを舞台役者として生きてきました。映像、ことに映画は二、三本しか経験がなく今回のお話をいただいた時少し躊躇した事を覚えています。
ただ私の父は若い頃映画の世界に身を置いておりましたし、私も還暦を過ぎて舞台以外の経験もしてみたくなりました。
今回の「殴る男」という役にとても興味を持ったので初めての現代劇に挑戦してみることにしました。
さてどうなりますことやら。
<叔父役・高橋長英さん コメント>
もう50年以上前に2年程在籍した大学の映画マニアの教授が何本目かになる映画を又撮るという。言語も文化も違う外国の人の作品創りという事で、好奇心と興味もあり、即お引き受けしました。小じんまりとしたあたたかい家庭的なクルーでの仕事は、予想した通り新鮮で楽しかった。
色々と発見もあった。出来あがった作品は残念ながら未だ拝見していないが、キット刺激的な驚きと発想に満ちているだろう
<判事役・品川徹さん コメント>
カフカの小説「審判」が元のオーソン・ウェルズ監督の映画も以前見た記憶があり、その不条理性に興味をもった。ジョン・ウイリアムズ氏がどのようにこの「審判」を料理したのかと思いながら脚本を読んでみると、大筋は変わらないのだが、設定は現代の日本に置き換えられて、人間関係もすべて今の日本人になっていて、私のやる弁護士も老いぼれのベッドに寝たきりの老人でおかしなことを喋っている。最近老いぼれの老人は随分演じてきた私としては、この役をいちもにもなく引き受けざるを得ないではないか。
【STORY】
木村陽介。銀行員。30歳の誕生日に、逮捕。罪状不明。
現代の東京。銀行員の木村が30歳の誕生日の朝、自宅マンションのベッドで目覚めると、部屋にはふたりの見知らぬ男たちが佇んでいた。彼らは「逮捕」を告げにきたと言う。でも罪状は不明。無実を主張すればするほど、蜘蛛の巣のような“システム”に絡みとられ、どんどん身動きができなくなっていく。ここから抜け出す方法はあるのか?救いを求めてあがくものの、期待はことごとく外れていく。そして、木村は出口のないこの迷路の終焉に、気づき始めるのだった―。
にわ つとむ
常石 梨乃 田邉 淳一 工藤 雄作
川上 史津子 早川 知子 関根 愛 村田 一朗 大宮 イチ
坂東 彌十郎(特別出演) 高橋 長英 品川 徹
監督・脚本 ジョン・ウィリアムズ
原作 フランツ・カフカ「審判」
音楽 スワベック・コバレフスキ
プロデューサー 高木 祥衣 古川 実咲子 塩崎 祥平
撮影 早野 嘉伸 照明 大久保 礼司 録音 小川 武 美術 中村 三五 編集 稲川 実希
音響効果 堀内 みゆき 監督補 高田 真幸
助監督 岩崎 祐 ヘアメイク 西尾 潤子 松本 幸子 衣装 斎藤 安津菜 制作担当 竹上 俊一
後援 上智大学ヨーロッパ研究所 公益財団法人日独協会
製作・配給・宣伝 百米映画社
2018年/日本/アメリカンビスタ/5.1ch/118分
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