日本アニメのサンクチュアリ、クランチロールのアニメアワードへ

アメリカのこの時期はまさにアワードシーズン。ゴールデングローブ賞、グラミー賞、アカデミー賞を筆頭に、音楽、映画の業界で前年の作品を称えて多くの賞レースが開催されます。

連載4回目となる今回は、先日開催されたクランチロールアニメアワードへ行ってきました。

クランチロール(Crunchyroll)とは、日本のTVアニメやドラマ、映画などを英語圏、スペイン語圏、ポルトガル語圏の国を対象に配信しているサービスです。一部他の国のコンテンツもありますが、ほぼ全て日本のコンテンツです。

このサービスは無料でもCM付きで各コンテンツを視聴する事ができ、有料会員になるとCM無しで視聴ができるなどの特典があります。無料会員の登録者数は2000万人以上、有料会員は100万人(17年2月発表時)を超えているそうです。

アワード会場にはアメリカのアニメフリーク達が集結!

今回の記事は写真多めでお届けします。

アワードの会場となったのはハリウッド地区にあるリカルド・モンタルバン・シアター。

画像1: アワード会場にはアメリカのアニメフリーク達が集結!
画像: リカルド・モンタルバン・シアター。「スタートレック」シリーズなどで活躍したメキシコ出身の俳優リカルド・モンタルバンの名前を冠した劇場です。

リカルド・モンタルバン・シアター。「スタートレック」シリーズなどで活躍したメキシコ出身の俳優リカルド・モンタルバンの名前を冠した劇場です。

画像: 会場ロビー。コスプレしている人も多く見かけました。

会場ロビー。コスプレしている人も多く見かけました。

画像: 物販コーナー。後ろ姿の客二人の髪型とシャツの柄が酷似しているのはあえてなのか…?

物販コーナー。後ろ姿の客二人の髪型とシャツの柄が酷似しているのはあえてなのか…?

画像2: アワード会場にはアメリカのアニメフリーク達が集結!
画像: バー。アニメの名前を冠したカクテルもあります。

バー。アニメの名前を冠したカクテルもあります。

画像: サインに従って屋上へ行ってみると…。

サインに従って屋上へ行ってみると…。

画像3: アワード会場にはアメリカのアニメフリーク達が集結!
画像: 写真が暗くて恐縮ですが、バブリーな雰囲気のDJパーティが。

写真が暗くて恐縮ですが、バブリーな雰囲気のDJパーティが。

画像: 会場内の床にはハリウッドにちなんでこんな演出も。

会場内の床にはハリウッドにちなんでこんな演出も。

画像: アメリカ人はアスカ派が多いようです。

アメリカ人はアスカ派が多いようです。

色々見て回っているうちにホールのドアオープンの時間を迎え、客席へ。

画像: 開場直後の客席の様子。2階席もあり広い劇場でした。

開場直後の客席の様子。2階席もあり広い劇場でした。

画像: 客席両脇にもスクリーンがあり、そちらではこのイベントのネット中継の様子が映されていました。

客席両脇にもスクリーンがあり、そちらではこのイベントのネット中継の様子が映されていました。

アワードの発表へ

クランチロールアニメアワードはさながら日本アニメのアカデミー賞。
全17部門がこの日発表されました。

画像1: アワードの発表へ
画像: オープニングにバンドの生演奏。曲は「カウボーイビバップ」OPテーマの「Tank!」でした。

オープニングにバンドの生演奏。曲は「カウボーイビバップ」OPテーマの「Tank!」でした。

発表形式も、各部門ごとにアメリカのアニメ業界における著名人が登壇し、封筒を開けて受賞作品を発表します。

画像2: アワードの発表へ
画像3: アワードの発表へ
画像4: アワードの発表へ

事前に告知されていた部門とは別に、Industry Icon、日本語のニュアンスでいうと貢献賞的な発表もありました。受賞したのは、数々の日本アニメの英語吹き替えを務めてこられた声優のChristopher Sabat(クリストファー・サバト)氏。

画像: 声優のChristopher Sabat(クリストファー・サバト)氏

声優のChristopher Sabat(クリストファー・サバト)氏

特に「ドラゴンボール」シリーズで広く知られているそうで、ベジータにピッコロ、ヤムチャ、ミスター・ポポ、神龍は全てサバト氏が演じています。それ以外の役も数多く担当しており、ギニュー特戦隊にいたっては5人中3人はサバト氏です。

その他「ルパン三世」の次元や「幽☆遊☆白書」の桑原、「ワンピース」のゾロなどの声優を務めていますが、データベースを見るとだいたい一作品一役だけを演じているので、「ドラゴンボール」での配役がいかに特殊かが分かります。

サバト氏が登壇した時、会場は拍手喝采でオールスタンディングでした。アメリカではアニメのボイスアクトを主とする人は少ないと聞いていたので、こういう方がいらっしゃった事は私にとっては新たな発見でした。

アワードの各部門の受賞作品は以下の通り。部門分けのセンスがさすがクランチロールです。

アニメ作品賞:MADE IN ABYSS(メイドインアビス)

女性キャラクター賞:OCHAKO URARAKA / MY HERO ACADEMIA(僕のヒーローアカデミア)

男性キャラクター賞:SHOTO TODOROKI / MY HERO ACADEMIA(僕のヒーローアカデミア)

マンガ賞:MY LESBIAN EXPERIENCE WITH LONELINESS(さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ)

ヒーロー賞:IZUKU “DEKU” MIDORIYA / MY HERO ACADEMIA(僕のヒーローアカデミア)

悪役賞:STAIN / MY HERO ACADEMIA(僕のヒーローアカデミア)

アクション賞:MY HERO ACADEMIA SEASON 2(僕のヒーローアカデミア)

ドラマ賞:THE ANCIENT MAGUS’ BRIDE(魔法使いの嫁)

コメディ賞:MISS KOBAYASHI’S DRAGON MAID(小林さんちのメイドラゴン)

スライスオブライフ賞:GIRLS’ LAST TOUR(少女終末旅行)

シリーズ続編賞:MARCH COMES IN LIKE A LION(3月のライオン)

オープニング賞:“PEACE SIGN (ピースサイン)” KENSHI YONEZU(米津玄師) / MY HERO ACADEMIA SEASON 2(僕のヒーローアカデミア)

エンディング賞:“ISHUKAN COMMUNICATION (イシュカン・コミュニケーション)” CHOROGONZU (ちょろゴンず) / MISS KOBAYASHI’S DRAGON MAID(小林さんちのメイドラゴン)

アニメーション賞:MY HERO ACADEMIA SEASON 2(僕のヒーローアカデミア)

音楽賞:MADE IN ABYSS(メイドインアビス)

映画賞:YOUR NAME(君の名は。)

CG賞:LAND OF THE LUSTROUS(宝石の国)

アニメアワードのサイトには審査員たちのプロフィールも載っているのですが、その経歴の多様さがまた面白いのです。

あのアニメ犯罪課の刑事コンビも登場!

このアワードで個人的に感動したのは、WEBドラマ「ANIME CRIMES DIVISION」の主演二人がプレゼンターとして登場した事。

画像: 写真左から、Riley Rose Critchlow氏、Sungwon Cho氏。

写真左から、Riley Rose Critchlow氏、Sungwon Cho氏。

映画監督/YouTuberのFreddie Wong(フレディ・ウォン)氏によるチャンネル・RocketJumpとクランチロールのコラボによるこのWEBドラマ、3話完結で1話10分程ですので、疲れた時におススメです。
第1話のリンクをこちらで紹介させて頂きます。日本語字幕もあります。

画像: ANIME CRIMES DIVISION - Ep. 1 (ft. ProZD & Alex Wassabi) youtu.be

ANIME CRIMES DIVISION - Ep. 1 (ft. ProZD & Alex Wassabi)

youtu.be

総括と次回予告

今回のアワードを会場で直に見る事で、アメリカのアニメフリーク達の熱気を肌で感じる事ができました。とにかく歓声がすごく、生身の人間ではないアニメキャラクター達がここまで拍手喝采を浴びるイベントというのもコンテンツとして個性的だなと感じました。

アニメはそもそも物理的に表現の自由度が高く、日本の職人芸的なストーリー作りも相まって、人をハマらせる世界観を構築できている作品が多いように見受けられます。
文化の受け入れられ方としてアニメ自体がニッチなジャンルにカテゴライズされがちなのは残念ではありますが、日本のアニメコンテンツがこのように他国で受け入れられているということは、他のコンテンツ、他の産業にとっても参考にすべき点が多いように思いました。

次回ですが、アメリカで発見した今注目の女優について書きたいと思っています!

和田有啓
1983年神奈川県横浜市生まれ。
スポーツ取材の会社からキャリアをスタートさせ、芸能プロダクション、広告会社、コンテンツ製作会社を経て現在フリーでアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスに滞在中。
プロデューサーとして参加した⾃主制作映画「くらげくん」の第32回ぴあフィルムフェスティバル準グランプリ受賞をきっかけに、2010年にUNIJAPAN HUMAN RESOURSES DEVELOPMENT PROJECT、2011年に JAPAN国際コンテンツフェスティバル/コ・フェスタPAOにプロデューサーとして参加して各プロジェクトの短編映画を制作。
近年は映画「たまこちゃんとコックボー」「天才バカヴォン〜蘇るフランダースの⽝〜」「⼥⼦⾼」「サブイボマスク」「古都」「はらはらなのか。」「笑う招き猫」などの作品で製作委員会の組成やプロデュース、配給、宣伝などを行い、インディペンデント映画業界でのキャリアを築く。

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