清原 惟監督『わたしたちの家』
2018年2月9日まで延長上映!

第68回ベルリン国際映画祭・フォーラム部門正式出品
第42回香港国際映画祭・インディーパワー部門招待上映
2017年PFFアワードグランプリ受賞作品

‪『わたしたちの家』。

‪『わたしたちの家』。ふたつの家族がひとつの家屋に気配だけを感じて生活していく物語。しかし、ここにはもうひと家族が関係している。それは我々観客だ。観客もまたその家屋に住んでいる三番目の家族である。全ての映画で観客は劇中人物にとっての幽霊である。そのことをこの映画は気付かせてくれる。‬

画像1: ©東京藝術大学大学院映像研究科

©東京藝術大学大学院映像研究科

‪『わたしたちの家』。我々観客とは一個人ではなく、集団であり家族的であることも証明する。映画観賞するということは、同じ出来事に遭遇し、共通の経験を持つということで、同じ空間/時間を共有していること。我々はある意味、家族でもあり無意識な集団でもある。映画体験では常に同じことが起きる。‬

画像2: ©東京藝術大学大学院映像研究科

©東京藝術大学大学院映像研究科

‪『わたしたちの家』。劇中登場する家屋は決して特別な場ではない。どこの固有の場所でもそれは起こり得るし、長じてどこの土地や地域にでも起こり得る。そしてその土地性とは、人間の皮膚の上でも起こり得るはずだ。土地とは決して所有者が一人ではない。植民地化、領土化され得ないトポスの問題を提起。‬

画像3: ©東京藝術大学大学院映像研究科

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‪『わたしたちの家』。〈ひとつの空間を占有する/占有できない〉物語ではなく、仮に別の場所、もしくは別の時間であると仮定してみる。同じ場所ではない場合と同じ時間ではない場合。またはどちらでもない場合。セリとサナとトウコ、もしくは母は同一人物かも知れない。サナは過去の自分に贈り物を。。‬

画像4: ©東京藝術大学大学院映像研究科

©東京藝術大学大学院映像研究科

『わたしたちの家』。我々は空間/時間を完全には占領/領土化出来ないのであれば、例えば肉体的個体も占領/領土化出来ない可能性もあるのでは。登場人物の自己同一性の問題。サナは過去に自分(サナ=セリ)が放った浜辺での光のサインを船上で傍受した。もしくはあの家に住み続け変貌したセリがトウコ。

画像5: ©東京藝術大学大学院映像研究科

©東京藝術大学大学院映像研究科

『わたしたちの家』。夕食時中にAMラジオから流れてくるバッハ。AMラジオでは周波数は安定せず輪郭も朧げ。FMラジオのように周波数がピタリと正確に合うのではなく、前後の周波も束状にまとめて拾って傍受する。背後にある大きな電波の流れを感じることができる。この映画の本質ではないか。

ヴィヴィアン佐藤 略歴
美術家、文筆家、非建築家、映画批評家、ドラァグクイーン、プロモーター。ジャンルを横断していき独自の見解で何事をも分析。自身の作品制作発表のみならず、「同時代性」をキーワードに映画や演劇など独自の芸術論で批評/プロモーション活動も展開。 野宮真貴、故山口小夜子、故野田凪、古澤巌など個性派のアーティストとの仕事も多い。2011年からVANTANバンタンデザイン研究所で教鞭をもつ。各種大学機関でも講義多数。

清原惟監督『わたしたちの家』

画像: 鮮烈なる劇場デビュー作-清原惟監督『わたしたちの家』 youtu.be

鮮烈なる劇場デビュー作-清原惟監督『わたしたちの家』

youtu.be

【STORY】
父親を失った少女と、記憶を失った女性の、
まったく別々の物語が、ひとつの「家」の中で交錯する

セリはもうすぐ 14 歳。父親が失踪して以来、母親の桐子と二人暮らし。
最近、お母さんに新しい恋人ができて複雑な気持ちになっている。

さなは目覚めるとフェリーに乗っており、自分にかんする記憶がなくなっていた。
彼女は船内で出会った女性、透子の家に住まわせてもらうことになる。

二つのストーリーは独特な構造を持つ一軒の同じ「家」の中で進行する。
これはいったいどういうことなのか?

出演:河西和香 安野由記子 大沢まりを 藤原芽生 菊沢将憲 古屋利雄 吉田明花音 北村海歩 平川玲奈
大石貴也 小田篤 律子 伏見陵 タカラマハヤ

脚本:清原惟 加藤法子
プロデューサー:池本凌太郎 佐野大
撮影:千田瞭太|照明:諸橋和希| 美術:加藤瑶子|衣装:青木悠里|サウンドデザイン:伊藤泰信、三好悠介|
編集:Kambaraliev Janybek|助監督:廣田耕平 山本英 川上知来|音楽:杉本佳一
配給:HEADZ
宣伝:佐々木瑠郁
2017 年/80 分/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/DCP
©東京藝術大学大学院映像研究科

2018年2月9日まで渋谷ユーロスペース ほか全国順次公開!

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