原作から読む?映画から観る?
【原作ファンも絶対楽しめる★良質作品 3 選】
現在、日本映画界の数々の賞レースを賑わせている『あゝ、荒野』や、『彼女がその名を知らない鳥たち』『君の膵臓を食べたい』、 『ナラタージュ』など、今日の日本映画界では小説が基となっている映画に人気が集まっています。
2018 年は邦画だけではなく、注目の小説原作洋画も続々と公開となる。
今回は 1 月公開となる海外で高い人気を誇りベストセラーとなった小説の映像化作品をご紹介!
『ロング,ロングバケーション』(1/26 公開)
原作:マイケル・ザドゥリアン「旅の終わりに」
人生のゴールを見据えた 70 代夫婦。愛車のキャンピングカーで目指すはずっと憧れていたヘミングウェイの家の あるアメリカ最南端のフロリダ州キーウェスト。ボストンからひたすら南へ、ルート1号線を軽快に旅していく中で、 半世紀以上を共に過ごしてきた夫婦の人生への慈愛や、自由を謳歌する姿を、力強く、時にユーモラスにスク リーンに描き出し、ヴェネチア国際映画祭に続き、トロント国際映画祭でも熱い称賛を浴びた話題作が、いよいよ公開。
本作で実に 7 度目のゴールデン・グローブ賞ノミネートを果たしたヘレン・ミレンが妻エラに扮し、映画 界への長年の功績を称えられ、本年度のアカデミー賞®名誉賞に輝いたドナルド・サザーランドが夫ジョン役を熱演している。
メガホンを取るのは、これまで数々の国際的な映画賞を受賞した経験を持つイタリアの名匠パオロ・ヴィルズィ。
監督は、かねてより「アメリカで映画を撮ってほしい」というオファーを受けていたが、母国での映画製作にしか興 味のなかったため、すべて断り続けていたという。そんな監督を説得するため、プロデューサーたちはアメリカの小説が詰まった箱を次々と送り付けた。その中でヴィルズィのハートを射止めた、マイケル・ザドゥリアンの「旅の終わ りに」がこの度映画化された。
ヴィルズィは作品について「この本に強く魅力を感じたんだ。病気を患っているからといって社会的なしがらみにとらわれず、人生を愉しみ自由を謳歌する夫婦の姿にとてつもなく惹きつけられたんだよ」と語っている。
映画では、アメリカ南北を縦断するルート 1 号 線を駆け抜けヘミングウェイの家を目指すが、原作ではルート 66 号線を、カリフォルニアのディズニ ーランドを目指しひた走る。
映画との設定の違いも楽しめる原作本「旅の終わりに」は、日本での映画公開を記念し、昨年 12 月 20 日 より東京創元社より発売されている。
マイケル・ザドゥリアン 著/小梨直 訳 2,000 円+税
東京創元社刊
『ロング,ロングバケーション』予告
『ルイの 9 番目の人生』(1/20 公開)
原作:リズ・ジェンセン「ルイの九番目の命」
サンフランシスコの海辺の崖から転落したひとりの子供が、病院に救急搬送された。その少年ルイは生体反応がなく、一度は死亡が確認されたが、遺体安置室で奇跡的に蘇生。しかし全身に大ケガを 負っており、昏睡状態に陥ってしまう。著名な小児神経科医パスカルがルイの担当医として外部から 招かれるが、この愛くるしい容姿の少年にはいくつもの謎があった。ひどい難産の末にこの世に生を受け たルイは、奇妙なことにそれから毎年、8 度にわたって生死に関わる大事故を経験していた。
とても偶然とは思えないそれらの現象は、悪意を持つ何者かの仕業なのか。事故や事件に巻き込まれ続ける ルイは、いったい何者なのか―。 原作の著者リズ・ジェンセンは、本作の主人公が昏睡状態の少年であることから、映画化は絶対に無理だと考えていた。ところが、『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞監督賞に輝いたアンソニー・ミンゲラが映像化を熱望。その後、 ミンゲラは映画化を果たすことなく 2008 年に亡くなったが、その遺志を継ぎミンゲラの息子マックス・ミンゲラが製作会社を立ち上げ、その 最初のプロジェクトとして本作の映画化を決断した。
「ルイの九番目の命」
リズ・ジェンセン 著 池田真紀子 訳
SB文庫シリーズ
『ルイの9番目の人生』予告
『ダークタワー』(1/27 公開)
原作:スティーヴン・キング「ダーク・タワー」
少年ジェイクは毎夜、“巨大なタワー”“拳銃使いの戦士”そして“魔術を操る黒衣の男”が出てくる同じ夢にうなされていた。そんなある日、この現実世界と夢で見た≪中間世界≫と呼ばれる異界が時空を超えて繋がっている場所を発見し、夢の中のすべては実在していたことを知る。
中間世界に導かれたジェイクは、そこで拳銃使い<ガンスリンガー>に出会う。彼は 2 つの世界のバラ ンスを保つ塔=ダークタワーの最後の守護者であり、タワーの破壊を目論む<黒衣の男>を倒 すため旅を続けていた。一方、ジェイクこそが唯一タワーを破壊できる特殊能力を秘めた存在で あることに気づいた黒衣の男は、その強大なパワーを求め、ジェイクたちの前に立ちはだかる―。
昨年映画化され全世界で大ヒットとなった『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』など、多くのベ ストセラーを連発する作家スティーヴン・キング。
多くの映画化作品を世に送り出してきた彼の著作の中でも、最高傑作にして原点と言 われている小説『ダークタワー』が待望の映画化。
キングが大学時代から構想を温め、第一巻の発刊から 22 年を費やして完結させた、 全7部からなる超大作が映し出す壮大な世界観は映画版でも見事に再現されている。
「ダークタワー」
スティーヴン・キング著 風間賢二 訳
角川文庫
映画『ダークタワー』予告
今回ご紹介した映画の原作はいずれも日本版が発売中。
先に原作を読んでもよし、映画を観た後に読むもよし、2 度楽しめるのが原作モノ映画の醍醐味。
原作と映画の設定の違いや、映画では描き切れなかったシーンを探り、物語への理解を深めるツウな 楽しみ方を試してみてはいかがでしょうかー。