東京藝術大学大学院で黒沢清、諏訪敦彦両監督に師事した清原惟監督の劇場デビュー作となる本作は、同大学院修了作品として制作され、『暁の石』(’14)、『ひとつのバガデル』(’15)に続く三度目のPFFアワード入賞を果たし、映画監督として最も期待したいつくり手に贈られる「グランプリ」を受賞致しました。
あわせて、早くも2018 年 1 月 13 日(土)より、 渋谷ユーロスペースなどでの公開が決定いたしました。
映画史上、誰一人として思いつかなかった、特異で甘美な室内劇。
謎に満ちた形而上的スリラーであり、切実でピュアな青春映画であり、
女同士の友愛の映画であり、ユニーク極まる建築映画でもある、
類いまれなる魅力を放つ作品『わたしたちの家』
講評した李相日さん(映画監督)は、
「技術的な確かさ、撮影・照明・カメラ・美術の細部まで計算しつくされた作品。それだけでなく、登場人物である女性たちの心の機微を繊細に演出している。2つの世界がどう交わるのか、交わらないのかという部分が核になる作品でもあり、謎が残る部分でもあり、17作品の中で映像に匂いを感じた、力強さのある作品」と評価しました。
また、最終審査員の1人でもある横浜聡子さん(映画監督)も「グランプリと準グランプリの作品は、つくる姿勢、ものの見方において勉強になり、私自身反省した」と感想を述べました。
【清原惟監督の授賞式コメント】
グランプリという素晴らしい賞をいただき、本当に光栄に思っております。ありがとうございます。私は PFF アワードに 3 度目の入選で、今まで賞をいただいたことはなかったので今回こそは思っていましたが、最後の最後で、グランプリをいただくことができ、驚きとともに信じられない気持ちでいっぱいです。この作品は私だけの力ではなく、多くの関わってくだ さった皆さんと作り上げた作品なので、まずは皆さんに深く感謝をお伝えしたいです。ポリフォニックに響いていく 2 つの世界がテーマになった作品なので、多くの方々にご覧いただき、皆さんそれぞれの映画になったことで、ポリフォニー性が広がったと思います。今後もより多くの方々に観ていただきたいと思っていますし、この賞に甘んじることなく、100 年後 も私の知らない誰かに観ていただける映画を作れるよう頑張りたいと思います。
【STORY】
父親を失った少女と、記憶を失った女性の、まったく別々の物語が、ひとつの「家」の中で交錯する
セリはもうすぐ 14 歳。
父親が失踪して以来、母親の桐子と二人暮らし。
最近、お母さんに新しい恋人ができて複雑な 気持ちになっている。
さなは目覚めるとフェリーに乗っており、自分にかんする記憶がなくなっていた。
彼女は船内で出会った女性、透子の家に住まわせてもらうことになる。
二つのストーリーは独特な構造を持つ一軒の同じ「家」の中で進行する。
これはいったいどういうことなのか?
出演:河西和香 安野由記子 大沢まりを 藤原芽生 菊沢将憲 古屋利雄 吉田明花音 北村海歩 平川玲奈
大石貴也 小田篤 律子 伏見陵 タカラマハヤ
脚本:清原惟 加藤法子
プロデューサー:池本凌太郎 佐野大
撮影:千田瞭太|照明:諸橋和希| 美術:加藤瑶子|衣装:青木悠里|サウンドデザイン:伊藤泰信、三好悠介|
編集:Kambaraliev Janybek|助監督:廣田耕平 山本英 川上知来|音楽:杉本佳一
配給:HEADZ
宣伝:佐々木瑠郁
2017 年/80 分/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/DCP
©東京藝術大学大学院映像研究科