6月10日台湾で映画でヘリコプターが墜落。三人の犠牲者が出たことが発表され、うち一人は『天空からの招待状』のチー・ポーリン監督であることが発表された。
『天空からの招待状』は、全編空撮で台湾の風景をそのまま映し出すことによって、自然と環境のあり方を深く考えさせる作品。
2013年に台湾で公開され、100万人以上を動員し、ドキュメンタリー映画としては異例の興行収入約7億3300万円を超える大ヒットを記録。
また、同年の台湾を代表する映画賞「金馬奨」(ゴールデン・ホース・アワード)では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した作品。
(ホウ・シャオシェンやニエンジェン、リッキー・ホーなどの、台湾の著名な映画人が協力し参加している)
また、6月8日に、その続編では台湾のみならず日本や中国での撮影も加え新作を作ることが発表されたばかりだった。
過去にシネフィルの前身となるシネフィルアジアでチン・ポーリン監督にインタビューした際には
「もともと、わたしは長年にわたって、航空写真家として航空撮影、いわゆる空撮をしているのです。この映画を撮ろうと思ったきっかけは、長年、空から撮影していますが、工場の排水や、森林伐採、削られていく山の様子など、近年急速にすすむ環境破壊を目の当たりにしたからです。その様子は、空から見るとおそろしいほどでした。このまま見過ごしてはいけない、環境の変化で変わっていく台湾の大地の姿を、記録に残さなければならないと思ったからです。」
「それに撮影は、毎回ヘリコプターをチャーターするので、天候を見極めるのが大変でした。今までの航空写真家としての直感がなければ、撮影できなかったでしょう。それでも、完成するまでに撮影に使った時間は、延べ400時間です」
と答えており、誰よりもヘリコプターなどの空撮は経験値を持っていたはずだけに、信じられない事故とも言える。
また、インタビューでは製作資金も自ら家を売るほど苦心して作り、映画を撮っていたことも語っていただけに、前作の成功があったにしてもやはり新作の準備にかなりの努力をしていたでしょうから、今回の訃報は悲しみが止まりません。
R.I.P