Cinefilをご覧の皆様、映画「レミニセンティア」の監督の井上雅貴です。

「レミニセンティア」は昨年、ユーロスペースのレイトで上映された作品です。
その後、全国順次公開し、このたび東京での再上映が決定しました。
場所は大手シネコンのユナイテッドシネマ アクアシティアお台場、5/13(土)~上映されます。

以前もCinefilさんでロシアでの映画製作のお話をさせていただきました。

今回はロシアでの撮影の様子と、この映画の配給のお話をさせていただきます。

ロシアの撮影は準備含め約1ヶ月を想定しておりました。実際の撮影は2週間ぐらいです。この映画はスタッフ3人で撮影しております。監督、撮影、照明、録音は私。制作、通訳はプロデューサーのイリーナ(ロシア人で私の妻です。)助監督は私の弟がやっております。その3人でどこまでできるのか?もともとその状況を踏まえたシナリオになっています。

画像1: ”記憶を消す”というテーマで日本人監督が撮ったロシアSF映画『レミニセンティア』東京凱旋上映で監督から特別寄稿が到着!!特別映像もーぜひ応援を!

この映画、制作費を削りに削った作品です。
ロシアといえども物価は高く、油断をするとすぐにお金がかかってしまいます。
撮影場所は宿のとなりに用意し、毎日移動をしなくても良いようにしました。これにより車両が必要ありません。衣装は役者の自前です。しかも大人は基本1パターンのみの衣装です。シーンによって衣装を間違えるというトラブルをなくしています。なので衣装部は存在しません。
どこで日替わり感を出すか?それは子供の衣装で出しています。何パターンか用意し、プロデューサーが管理しています。映画の中でドラマ部分もあればイメージとして出ている所もあります。子供の衣装を変える事によりシーンの変わり目を演出しています。

画像2: ”記憶を消す”というテーマで日本人監督が撮ったロシアSF映画『レミニセンティア』東京凱旋上映で監督から特別寄稿が到着!!特別映像もーぜひ応援を!
画像3: ”記憶を消す”というテーマで日本人監督が撮ったロシアSF映画『レミニセンティア』東京凱旋上映で監督から特別寄稿が到着!!特別映像もーぜひ応援を!

言葉が分からないロシア人の役者を演出をするは大変ではないですか?と良く聞かれますが、プロデューサーが通訳をしてくれて、後はよけいな事を話さなくても良いので非常に楽だったです。
ロシアの俳優は主張も強く、レベルが高い為、余分に説明しなくても自分で考えて演技をしてくれます。こちらは◯か×を判断するだけです。私は監督の言うとおりにする役者はあまり好きではありません。映画はみんなで作り上げているものですし、役者の意見も積極的に取り入れたいと思っています。その為にはテーマをやキャラクターを深く考えてくれる役者が必要です。ロシアの役者は非常に優秀な方ばかりでした。

この映画ではGH3というカメラを使用しています、当時はまだ出たばかりのカメラでした。
何かトラブルがあってはいけないと思い。2台持っていきました。案の定、謎のトラブルで一台電源が入らなくなりました。みなさん海外での撮影のときはケチらず2台持っていきましょう。撮休の時にカメラ屋をまわりGH3を探しました。まだロシアでは販売されておらず、修理も出来ない事が判明し、もう一台が動かなくなった時にはどうしようか?とヒヤヒヤしながら撮影しました。一応他のカメラに目星はつけて、2台目も動かなくなったら他のカメラを買おうと決めていました。(ロシアでカメラは高いので買うことにならなくてホッとしてます。)

画像4: ”記憶を消す”というテーマで日本人監督が撮ったロシアSF映画『レミニセンティア』東京凱旋上映で監督から特別寄稿が到着!!特別映像もーぜひ応援を!
画像5: ”記憶を消す”というテーマで日本人監督が撮ったロシアSF映画『レミニセンティア』東京凱旋上映で監督から特別寄稿が到着!!特別映像もーぜひ応援を!

ロシアは一般の人も文化レベルが高く、映画撮影に協力的です。ほとんど許可無く撮っていても何も言われませんでした。バス停のシーンではもちろん許可は取っていませんでしたが、となりのキヨスクのおばちゃんは興味深く観ているだけで何も言ってきません。逆に何で私を撮らないのと言ってきます。本編では使用していませんが一応キヨスクのおばちゃんを撮っておきました。

街中で撮影する時、一番気を付けないと行けないのは酔っぱらいです。少し前までビールはアルコール飲料に入っていなかったぐらいロシア人は酒好きです。昼間から酔っぱらっている人がいます。もちろんからんで来るのですが、大声だして役者達が追い払っていました。ロシアだと当たり前なのでいちいち丁寧に話してられないそうです。ロシアでの撮影は酔っぱらいに注意しましょう。警察もからんで来ますが、ワイロを渡して対処しましょう。もしかすると逆に協力的になるかも知れません。
ロシアで撮影するのはもちろん大変ですが、日本のように許可と責任の社会では無いので動きやすく、日本では撮れないスケール感のある撮影が出来ました。本当に楽しい時間でした。

編集に一年半かかり、映画祭に出品し、映画館で上映をしたいと考えました。
知り合いを通じてユーロスペースの支配人の方を紹介していただき、運良く上映が決まりました。
その時、配給会社の話にはならず、自分で宣伝して配給するという事になりました。映画は作るより出す方が難しい。まわりのプロデューサーからはそう教えられていました。

たしかに勝手に作った作品を宣伝して興味を持ってもらい、わざわざ時間を合わせて、映画館に来てもらう。なかなか大変な事です。まず、宣材作りから始まりました。
チラシ、HP、予告編、プレスシートなど多くの資料が必要です。でもお金がありません。すべて自分で作りました。デザインし、ネットでチラシを発注しました。ドメインを取りHPを作成しました。FBやTwitterのアカウントを取り管理もしました。本編を編集し予告も作りました。
著名人の方と連絡を取り、映画を見てもらいコメントを頂きました。ロシア関係団体に連絡を取り頭を下げて宣伝しました。映画の媒体のみなさんに連絡を取り、記事にしていただきました。個人でそれだけ作業をしているので夜も眠れず、その間収入もありません。はっきり言って映画の撮影より苦しいです。

この映画、関係者もほとんどいません。情報の広がりも少なく、ほとんど知られていません。
人に作品を観てもらうのは本当に至難の業です。しかし、どうにかユーロスペースでの上映も終わり、そこからこの映画の評判が伝わり、地方の映画館が数件決まりました。
もっと増やすため、資料を送り、出来るだけ顔を出し交渉しました。ほとんどが断られましたが、映画を見て興味を持ってくださった劇場が上映してくれる事になり、少しずつ広がっていきました。

東京の再上映をどうするか?

ユーロスペースで映画を観れなかった方から東京で観たいという声がありました。
私はミニシアターに資料を持って挨拶をして検討して頂けないか相談しました。しかし、最近のミニシアターは作品本数が多く、何ヶ月も先まで決まっています。入る余地がありません。有名人を連れてきてイベントができるならと言われた所もありました。連日有名人を連れて来れる人脈は私にはありません。
再上映はあきらめかけていましたが、まだどこかあるはずだとずっと探しておりました。

ある日、ネットで映画情報を観ていて、ユナイテッドシネマ アクアシティアお台場がオープンすると知りました。都内最大13スクリーンもある大手のシネコンで、ハリウッド大作やメジャー作品ばかりが上映される映画館です。もしかしてラインナップはこれから決めるのでないかと考えました。そして13スクリーンもあればどこか隙間があるのではと思ったのです。
早速、知人を通じて担当者の方に連絡を取り、交渉しました。今考えると無謀な交渉だなと思います。交渉後、恥ずかしくなりました。
しかし、予想に反して上映してくれる事になりました。理由は•••良く分かりません。
やっぱり止めますとか言われると思い、怖くて聞いてません。(もちろんそんな事は言われないですが)こうしてユナイテッドシネマ アクアシティお台場での上映が決定しました。

ユナイテッドシネマズの英断には感謝しております。その後、1日1回の上映だったのが1日2回の上映となり、一番小さいスクリーンと思っていたのが、中堅のスクリーンとなり、だんだん規模が多くなっていきました。現在集客にびびっております。

この記事を読んで、映画に興味を持ってくれた方、ぜひ劇場まで来てください。自主製作映画が大手のシネコンで上映される事はなかなか無い事です。応援して頂けると嬉しいです。

無名の日本人監督、無名の俳優、自主製作、自主配給、しかもロシアSF映画という異例づくしの映画が大手シネコンで上映!!

日本人監督が描くロシアSF映画「レミニセンティア」東京凱旋上映。
特別料金1,000円 にて5/13(土)よりユナイテッド・シネマ アクアシティお台場

画像: 日本人の撮った異色のロシアSF映画『レミニセンティア』特別映像 youtu.be

日本人の撮った異色のロシアSF映画『レミニセンティア』特別映像

youtu.be

上映時間 1日2回上映  
5/13(土)、5/14(日) 13:30~/18:30~
5/15(月)~5/19(金)13:30~/18:20~
(動員次第で期間延長あり)初日18:30~上映後舞台挨拶決定!!
チケットはインターネット、劇場チケット売り場で販売中!!

監督:井上雅貴
出演: アレクサンダー・ツィルコフ、井上美麗奈、ユリア・アサードバ、ほか
2016/日本/89分/STEREO/16:9/ロシア語/
配給:NOUE VISUAL DESIGN 

5/13(土)よりユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて東京凱旋上映!

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