日活株式会社が1971年に製作を開始した「日活ロマンポルノ」が、本日11月20日に封切り第1弾から45周年を迎えました。
そしてこの日、日活ロマンポルノ第1弾として公開され、社会現象にもなった『団地妻昼下りの情事』を45年目の同日に上映する記念イベントを行い、ゲストには、『団地妻昼下りの情事』の主演を務めたロマンポルノの女王・白川和子、ロマンポルノの隆盛期を代表する女優・風祭ゆき、さらに今回のリブートプロジェクトで製作された新作ロマンポルノ作品に出演された主演女優陣をお迎えし、1971年の製作当時から現在までロマンポルノを支える女優陣を一堂に会したイベントを実施しました。
白川と風祭はシルバーとゴールドの衣装、新作出演の女優たちはそれぞれの作品カラーにあった衣装を身にまとい、華やかな舞台挨拶となりました。以下、舞台挨拶の詳細となります。
白川和子
シルバーグレーのスーツで登壇した白川和子から「45年前、大変な思いで撮影してきました。辛いことのほうが多かったけど、映画の火を消したくない一心で頑張ってきました。先日、NHK(BS「アナザーストーリーズ」)でロマンポルノが特集されているのを見て、一滴がしずくが大河になったんだなと、今になってようやく思うようになったんです。
今日は私の話より、若い女優さん方のお話を聞きたくてきました。それにしても皆さん若くて美しいですね、45年経つとこうなるのよ(笑)」と一言ご挨拶。
風祭ゆき
風祭ゆきからは「私がロマンポルノに出ていた時代は、白川さんたちが頑張ってくれたおかげで、明るいイメージが広がっていましたが、それでも当時、映像で濡れ場をやることにかなり抵抗がありました。出演を断ろうとしていたら、大島渚監督が「役者なんて肉体労働。体操みたいに1、2、3って動けばいいんだよ。主役やらなくてどうするの?」って言われてロマンポルノ出演を決心したことを覚えています。今になって考えるとあの時決心して本当に良かったです。」とご挨拶。
今回のプロジェクトでは、1988年のロマンポルノ終焉から、28年ぶりに新作が制作されました。
それに紐づけて、新作に出演された女優陣には今回<初めて経験したこと>を皆さんに発表してもらいました。
芦那すみれ
「私は行定勲監督の『ジムノペディに乱れる』に出演しました。今回が長編映画の出演が初めてで、濡れ場の経験も初となります。本編に、板尾(創路)さん演じる古谷と立ち食いそば屋でそばを食べるシーンがあるんですが、撮影中に監督から『のれんの下から見える足に表情がほしい』と言われ、試行錯誤しました。結果、少し動きを付けるだけで大きく表現を変えることができるとわかり、素晴らしい経験をさせて頂いたと思っています。」
間宮夕貴
「私は塩田明彦監督の『風に濡れた女』に出演しました。アクションシーンが多い作品だったのですが、なかでも初めてだったのは自転車で海に突っ込むシーンです。自転車で海に突っ込むのも人生で初めてだったし、撮影日数が少ないためミスが許されないのでスタッフから“絶対失敗するなよ”ととてつもないプレッシャーを感じて…あんなに緊張した撮影も初めてでした(笑)」
井端珠里
「私は白石和彌監督の『牝猫たち』に出演しました。この作品では初めて縄で縛られる経験をしました。撮影には本物の“女王様”が来てくれて、人生でもめったにできない経験なのでちょっと楽しみだったんです。監督からは気持ち良かったら気持ち良い表情をしてもいいし、感じるままに演技して良いよと言われていたのですが、やってみたらすごく痛くて…(泣)あまりにも痛すぎて待機中に泣いていたら、現場にいた白川和子さんが優しく抱きしめてくれて…。白川さんが優しすぎてまた涙が出ました」
冨手麻妙
「私は園子温監督の『アンチポルノ』に出演しました。園監督に初めて会ったときに、「お前、脱げるか?」と聞かれて「脱げます!園監督の作品で脱ぎます!」と言ったのを監督が覚えていてくれて、今回の作品に呼んでいただきました。監督は厳しいので、クランクイン前に何度も何度も全編通したリハーサルを繰り返し、クランクインする頃には完璧な状態で仕上げていきました。いざ本番を迎えてリハーサル通りに演じたら監督から『リハーサル通りにやってんじゃねえよ!つまんねえだろ!』と怒られました(笑)あんなにびっくりしたのは初めてです(笑)」
飛鳥
「私は中田秀夫監督の『ホワイトリリー』に出演しました。私の初めては、女同士のラブシーンです。リハーサルでは、緊張してしまい、うまく演じられなくて泣いてしまうほど大変でした。ただ今では女同士のラブシーンに慣れてしまうと、女同士のほうが良いかもって思っています。なんていうか、女性のほうが男の人より肝がすわっているというか…(ここで登壇者一同大きくうなずく)。女って強いんだなって思いました。」
舞台挨拶は、それぞれの個性が炸裂するエピソードが出て大盛り上がりで終了し、最後は白川和子から「本日舞台挨拶に来てみて、辛い経験もしたけれど続けてきて本当に良かったと思いました。こんな若くて素敵な方々にロマンポルノのファンになって頂いて、出演したことに誇りを持っている姿を見るととてもうれしく思います。私はもうお役御免ですね!」との言葉でしめられました。そんな、白川の目には涙がうるんでいました。
イベントの最後はヒラリー・クリントンほかハリウッドセレブの間で大流行中のマネキンチャレンジに登壇者全員で挑戦し、シュールな撮影過程に、和気あいあいとした笑い声が響き、楽しい舞台挨拶となりました。