ボブ・デュランの受賞でノーベル文学賞が一段と脚光を浴びていますが、1971年ノーベル文学賞を受賞した詩人、作家、外交官、政治家といくつもの顔をもち、謎の多いチリのパブロ・ネルーダの伝記映画の海外予告が公開された。
メガホンを取るのは『The Club』でベルリン映画祭で審査員賞を受賞し『NO』ではカンヌ国際映画祭の監督週間でアートシネマ賞を受賞、その後アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたチリのパブロ・ラライン監督。
新作『ネルーダ(原題) / Neruda』はすでにカンヌ国際映画祭の監督週間などで上映されて、評判の高い映画です。
本作では、ネルーダにチリの俳優ルイス・ニェッコ、妻デリア・デル・カリルにアルゼンチンのメルセデス・モラン、共産党活動家のネルーダを追い回す刑事役オスカルにはメキシコのガエル・ガルシア・ベルナルと国際色豊か配役。
物語は、ネルーダが1945年にチリ共産党に入党し、上院議員に当選したものの、1948年ガブリエル・ゴンサレス・ビデラ政権が共産党を非合法化したために逮捕命令が出て、警察に追われ亡命を余儀なくされて、アンデス山脈を越え隣国アルゼンチンに亡命---その地で新たな詩集を書き始める過程などが描かれています。
ラライン監督は、ネルーダの半生をモチーフにしながらも詩的な映画に仕上がたようです。
過去にパブロ・ネルーダを題材にした映画といえば1994年のイタリア映画『イル・ポスティーノ』というタイトルで映画化されています。
この映画は、イタリア、ナポリに浮かぶ小さな島に、チリ政府に追われたパブロ・ネルーダ(フィリップ・ノワレ)が亡命し、滞在することになり、彼だけに郵便を届ける配達人となった村の貧しい青年マリオ(マッシモ・トロイージ)との、交流の中で、少しずつ詩の世界に触れ、恋を知るというストーリーだった。監督はマイケル・ラドフォード。
ちょうど、今回のラライン監督の映画は『イル・ポスティーノ』の前日譚的な時代背景となりますね。