今尚、日本に留まらず世界中で愛されている庶民派俳諧師 小林一茶。
風雅を尊ぶ俳句の伝統において、より素朴な世界観のなかに人間の心情を謳った作品の数々は、後世に続く偉人に大きな影響を与え、俳句という文化の可能性を広げた。

画像1: ⓒ2017「一茶」製作委員会

ⓒ2017「一茶」製作委員会

没後20周年を迎える藤沢周平が遺した傑作「一茶」は、世間に知られる一茶のイメージを刷新し、一人の男の破天荒な生きかたを綴った。
長年にわたる家族との愛憎、世間との埋まらない溝への葛藤、時に執拗なまでに求めた愛情―知られざる人間・小林一茶とその家族の物語が「いま観るべき作品」として初映画化される。

画像2: ⓒ2017「一茶」製作委員会

ⓒ2017「一茶」製作委員会

主演・一茶役を、『凶悪』『そして父になる』などの話題作をはじめ、邦画界で欠かすことの出来ない存在感放ち続けるリリー・フランキーが、個性溢れる一人の男として軽妙に、時に滋味深く演じる。
一茶との確執を持ちながらも彼の作品に強い影響を与え続けた母・さつを中村玉緒、一茶思いの異母弟・仙六を伊藤淳史、父・弥五兵衛を石橋蓮司、最初の妻・菊を佐々木希が演じるほか、水川あさみ、立花美優、高橋かおり、内野聖陽、奥田瑛二ら実力派俳優による豪華競演が実現した。

監督は、『かぶき者慶次』『ナイフの行方』『テンペスト』など手がけた吉村芳之。脚本を『武士の献立』『武士の家計簿』など時代劇を得意とする柏田道夫。
本作品は2016年9月15日よりクランクインし、一茶の故郷である長野県を中心に撮影を行い2017年完成・公開予定。
2016文化庁文化芸術振興基金助成作品。

画像3: ⓒ2017「一茶」製作委員会

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あらすじ

感性と環境によって人は作られる。
かつて、環境に根差した感性を武器に、無常を生き抜いた日本人がいた。
稀代の俳諧師、小林一茶。
牧歌的な人物として語られがちな彼の生涯は、孤独と苦悩に満ちたものだった。
継母との折り合いが悪く、家に居場所がなかった一茶は江戸へ奉公に出される。
どこの奉公先でも長続きしない一茶だったが、やがて俳句の世界に独自の感性を表現する術を見出し、俳諧師となった。
しかし、能力を認められる一方で、耽美な表現を評価する当時の俳諧において一茶の句は田舎俳諧と揶揄され、彼の生活は貧しいものだった。
 やがて父が逝去し、その遺言を巡って一茶は自らの家族と争うことになる。
確執を遺しながらも故郷に戻って家庭を持った一茶だったが、若い妻と幼い子に相次いで先立たれてしまう。深い失意の中でも尚、一茶は自らの性分に突き動かされ、句を詠み続けた。
その姿勢は鬼気迫るものであっても、悲壮なものではなかった。
何故、句を詠み続けたのか。
如何にして「天才」は露の世を生き抜いたのか。
そして、人の世に何を見出したのか。
ときに憎しみ、ときに悲しみに打ちのめされながらも、最後には笑うことを選んだ彼の感性は、時代を超え、海を越え、現在に至っても多くの人々を感化している。
250年前、この世を確かに生き抜いた文人の半生が、今観るべき物語として語られる。

画像4: ⓒ2017「一茶」製作委員会

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コメント&プロフィール

リリー・フランキー

一茶の句が、何故、今も人々に愛されるのかを、自分なりに考え、一茶自身の愛しさを伝えることができたらと、恐縮しながら、真摯に向き合いたいと思います。 一茶のように、低い目線で、人間臭く生きてゆくこと。その在り方と、挫けない気持ちを少しでも定着できるよう、無欲の欲で、作品に献身したいと思います。                              

1963年11月4日生まれ、福岡県出身。俳優として数々の映画作品、TVドラマなどに出演するほか、イラストレーター・エッセイスト・小説家、絵本作家・デザイナー・ミュージシャン、作詞家・フォトグラファーなど多岐に渡る活動で人気を博す。主な映画作品は、『モテキ』(11)、『海街diary』(15)、『シェル・コレクター』『海よりもまだ深く』『二重生活』『秘密 THE TOP SECRET』『SCOOP!』『お父さんと伊藤さん』(16)、『美しい星』(17)他多数。2008年『ぐるりのこと。』にて、第51回ブルーリボン賞・新人賞ほか受賞、2013年『そして父になる』の出演にて第37回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、『凶悪』で同年同賞助演男優賞を受賞し話題となる。待機作に『聖の青春』(16)、『美しい星』(17)、『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(17)など多数。

吉村芳之 監督

人は自分の思うままに生きようとすると周囲と衝突し迷惑をかけときには非難を浴びる。で、つい気持ちが萎え遠慮することになる。老いてくるとますますその傾向が強くなる。しかし一茶は、居場所を求め愛を求め思いのままに生涯を貫いた。そこから彼の句が生まれる。「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」、「露の世は露の世ながらさりながら」・・・。正反対に見える作風の根っ子は実はひとつなのだ。愛おしい男の物語である。

1946年 三重県生まれ。京都大学卒業後、NHKに入社し数多くの作品の演出を手がける。
主な演出・監督作品に、「かぶき者 慶次」(2015/TV/演出)、「ナイフの行方」(2014/TV/演出)、「かすていら」(2013 TV/演出)、「テンペスト」(2011 TV/演出)、『テンペスト3D』(2011 映画/監督)、「炎立つ」 (1994/TV/演出)、「独眼竜政宗」 (1987/TV/演出)など。

松田貢 エグゼクティブ・プロデューサー

吉村監督から「一茶」を映画化したいと言われたのがきっかけで、早速原作の藤沢周平「一茶」文春文庫刊を読んでみて、私の想像していた一茶像とはあまりにもかけはなれていました。こんなにも人間臭く、老人になってもバイタリティーのある生き様に衝撃を覚えました。映画化の実現に向けて立ち上がったのが、2年前です。当初資金的にも、興業的にも困難な問題だらけでした。しかし私達の思いに賛同していただける出資社、配給会社が現れ、実現に向けてクランクイン出来た事に感謝します。この映画を見て若者は「一茶」の生き様に衝撃を覚え、中年は困難な人生に前向きに生きる事を再認識し、老年は自分の欲求の追及に自信を深めます。全ての人が感銘する映画になる事を確信しております。来年モントリオール映画祭に出品する予定です。日本人の素晴らしさを海外で分かってもらえる作品になることと思います。

出演:リリー・フランキー 伊藤淳史 石橋蓮司 佐々木希 水川あさみ 立花美優 高橋かおり    内野聖陽 奥田瑛二 中村玉緒
原作:藤沢周平 (文春文庫)  
監督:吉村芳之  
脚本:柏田道夫
ⓒ2017「一茶」製作委員会  
配給:KADOKAWA

2016年9/15クランクイン ~ 11月クランクアップ予定

2017年 公開

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