河瀬直美監督がエグゼクティブディレクターを務めた「第4回なら国際映画祭2016」が閉幕をむかえコンペティション部門などの各賞が発表された。
インターナショナルコンペティションでは、次世代を担う若手作家を発掘することを目的とし、世界各国から応募された約1700本の中から8本がノミネートされ、受賞監督には、奈良を舞台に映画を製作するプロジェクト「NARAtive」での製作権が与えられている。
今回の最高賞となるゴールデンSHIKA賞受賞に輝いたのは、イランのアイダ・パナハンテ監督作『NAHID(ナヒード)』。そして、審査員特別賞は『チェッカーで(毎回)勝つ方法』ジョッシュ・キム監督、観客から選ばれたのは坂本欣弘監督『真白の恋』だった。
学生映画部門「NARA-wave」の最高賞となる「ゴールデンKOJIKA賞」には、井樫彩監督の「溶ける」となった。
インターナショナルコンペティション部門
ゴールデンSHIKA賞
「NAHID(ナヒード)」アイダ・パナハンデ
アイダ・パナハンデ
アイダ・パナハンデは1979年テヘラン生まれ。フィルム・ディレクティング修士号とフィルム・フォトグラフィー学士号を持ち、テヘラン芸術大学在学中より映画製作を開始し、多くの短編映画を監督している。監督としての才能を認められ、イラン国営テレビでTV映画製作を依頼され、様々な国内TV映画祭で受賞した。短編映画『COCKSCOMB FLOWER』で2009年ベルリン “タレント・キャンパス”にも招待されている。初長編作となるNAHIDは2016カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門・期待すべき新人賞(Prix de l'Avenir)を受賞。女性監督として常に女性問題を取り上げ、多くのドキュメンタリー映画や今回の初長編映画『NAHID』の製作を通じて女性に対する文化的な考えを改善することに全力を傾けている。
審査員特別賞
「チェッカーで(毎回)勝つ方法」ジョッシュ・キム
ジョッシュ・キム
アジアを拠点にする韓国系アメリカ人監督。1981年テキサス州生まれのキムは首都ワシントンのNPRでインターンとしてプロダクションを始める。その後CNN香港を経て、2010年ベニス国際映画祭プレミアを飾った、ジョン・ウー監督『男たちの挽歌』の韓国版リメイク作品で準プロデューサーを務めた。Google、UEFA、Elite Modelのビデオ監督も経験。最近ではGoogle Glass Diariesというマイクロドキュメンタリー・ウェブシリーズ企画を立ち上げ、ウォール・ストリート・ジャーナルやFast Companyにもとり上げられる。『HOW TO WIN AT CHECKERS(EVERY TIME)』は彼の初長編監督作。
観客賞
「真白の恋」坂本欣弘
坂本欣弘
1986年生まれ。 富山県富山市出身。2008年ENBUゼミナール卒。大学在学中より、映像作家の岩井俊二氏が主宰するplayworksにシナリオの陪審員として参加。ENBUゼミナール卒業後は、映画監督の富樫森『おしん』(2013)や呉美保『きみはいい子』(2015)らのもとで助監督として活動。その他、メイキングの撮影やPVにも参加。2010年アミューズソフトより監督デビュー。2011年に映像制作会社を立ち上げ、富山と東京を拠点にCM、PV、VP、テレビ番組などの制作を行う。本作が本格的な映画監督デビュー作。