映画『マネーモンスター(原題: Money Monster)』
『リトルマン・テイト』『それでも、愛してる』で監督としても高い評価を得ているジョディ・フォスターの4作目となる映画監督作でジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが『オーシャンズ12』以来11年ぶりに共演を果たしたリアルタイムサスペンス。
拳銃を手にした男による財テク番組占拠事件の行方と、その裏に隠された驚愕の真実を活写していく。主演の2人の他にアンジェリーナ・ジョリー監督作『不屈の男 アンブロークン』に主演した若手俳優のジャック・オコンネルやドミニク・ウェスト、カイトリオーナ・バルフェらが顔を揃える。
彼らが織り成す濃密なストーリー展開が観る人を引き付ける。
いやぁ、エンタテインメントだなあ、スリリングなエンタテインメントね。良くできてる。予想外の展開が次々と積み重なっていくテンポの良さに絶妙なユーモア、巧みな心理描写、脇役までしっかり魅力的な役者たち、99分間とは思えないボリューム感で飽きることなく最後まで楽しめた、それなりの緊迫感と共に。
ホントただ座席に座って身を任せるだけ。もう冒頭のジョージ・クルーニーのダンスからニンマリ。中盤スタジオを飛び出してからはどんどんスリリングに勢いが増していく。
カメラマンがカメラを背負って犯人とMCを追い掛ける。ボクらも映画を観ているのか、テレビを観ているのかわからないほどライブ感がスゴイ。このあたり、TVのカメラと映画のカメラの使い分けに監督の手腕が光る。
そしてちょっとダメなジョージ・クルーニーとしっかり者のジュリア・ロバーツ、この2人の圧倒的な存在感。脇役たちにまで次々と活躍の場が与えられていく。台詞も全然躊躇なくFワード連発(男女関係なくね)。音楽も見事。
リーマンショック以降の米国社会の歪み、苦みをわかりやすく描くとともに、ウォール街やマネーゲーム、メディア、ネットなどへの皮肉も利いてる。
事件が終わると聴衆は日常に戻り、事件はネットで茶化されていく…。その虚無感が逆に清々しいほど。いろいろ盛りだくさんなのにとっ散らかすこともなくきれいにまとめてて本当に素晴らしい。
ジョディ・フォスター監督‼︎ 素晴らしいじゃないか‼︎
良くできたエンタテインメント作品。
シネフィル編集部 あまぴぃ