『マネーモンスター』カンヌでプレミア

 カンヌ映画祭の招待作品はハリウッド作品が上映されることが多く、ハリウッド・スターのレッド・カーペットが華やかさを盛り上げます。
今年はその中でも『マネーモンスター』が一番人気。
記者会見も満員でした。
 日本でも6月10日から公開されています。

画像: 『マネーモンスター』カンヌでプレミア

 カンヌ映画祭は社会的な問題や世界的な動きに対してコミットメントしていく映画祭です。
今年も上映作品の数々に、そういう傾向がみられましたが、
『マネーモンスター』も、招待作品ながら、エンタティメントなサスペンス映画でありつつ、社会的なテーマを持つ作品でした。
ハリウッドを代表するリベラル派であるジョージ・クルーニーとジョディ・フォスター、ジュリア・ロバーツがタッグを組んだというところからも、この作品がメッセージ性を強く持っていることがわかると思います。

舞台はニューヨークのテレビ局。財テク番組「マネーモンスター」が番組中にジャックされ、人気司会者のリー・ゲイツが人質にされます。
犯人は、リーが薦めた会社に投資して、全財産を失った、という青年、カイルです。
カイルはその会社が投資者に与えた損失、8億ドルを身代金として要求。番組と司会者のリーが情報操作をしていると訴えます。
事件は生中継され、ディレクターのパティはイヤホンを通してリーに指示を出しながら、この事件の解決のため、小さな調整室で指揮を執り続けます。
お金を儲けることが成功の基準であるアメリカ。一瞬にして行われる取引で目に見えない大金が動き、人々の目をくらませます。
犯人の主張は、1%の人々に富が集中するシステムに対して、99%を自覚する人々が立ち上がった「オキュパイ・ウォール・ストリート」運動を思い出させます。
そこに、この作品のメッセージがあるのですね。
それを、ジョディ・フォスター監督は、テレビがリアルタイムで事件を中継するというスタイルのサスペンス映画に見事に仕立てて見せました。
大統領選挙や中間選挙の年に多くなる、社会派エンタティメントの一本だと思います。

 これをカンヌで上映するということは、カンヌもこのメッセージに共鳴しているということ。
 記者会見でドナルド・トランプについて質問されたジョージ・クルーニーは「トランプを大統領にしてはいけない。そんなことになったらとんでもないことになる」と答えていました。それに対して記者から上がった声が
「ジョージ、あなたが大統領になってよ、まじに!」というもの。会場もクルーニーも笑っていましたが、けっこう本気でそう思っている人もいるんじゃないかな、とちょっと思った次第です。
上映劇場はTOHOシネマズ日本橋など。6月10日からの公開です。

画像: 映画 『マネーモンスター』 予告 youtu.be

映画 『マネーモンスター』 予告

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